中国人富裕層相手の貿易スペシャリストが語る、中国貿易ビジネスの実態

様々なビジネスチャンスを秘めた貿易ビジネス。特に、昨今は中国人の富裕層が好んで日本製品を購入したり、訪日客の爆買いを目にする事も増えていますよね。

今回は、そんな中国人の富裕層を相手に貿易ビジネスをされ、現在、様々な国でグローバルに活躍されている高橋ゆづきさんにお話を伺うことができました。

高橋ゆづきさんと言えば、ご存知の方も多いと思います。8歳の時に芸能活動を開始し、16歳の時に上京以降、有名事務所イエローキャブに所属。グラビアから時代劇まで幅広く活躍される、芸能界歴20年のベテランタレントなんです。

そんな彼女は現在、芸能活動と並行して、香港のとある法人の社長も務める程のやり手の貿易ビジネスパーソンなんですね。さて、ではどのようにして彼女が芸能界から貿易の世界に足を踏み入れ、今ここまで国際的に活躍できているのか。また、貿易ビジネスというと、どうしても何千万円と元手が無ければできないのではないか、というイメージがありますが、果たしてそんなにハードルが高いものなのか。本日は彼女に中国人富裕層相手の貿易ビジネスの実態について聞いてみましょう。対中国ビジネスに興味のある方には是非ご参考にして頂ければと思います。

高橋ゆづき氏プロフィール

AsianLeaderz合同会社 代表
asiaビジネスプロモーター

NHK朝の連続テレビ小説「すずらん」で芸能界デビュー。「キッズウォー3」では、井上真央と戦ういじめっ子役で注目を集め、その後もドラマ、映画、舞台、グラビアなどで活躍。
タレント活動と並行して海外ビジネスを行っていたが現在は「芸能界より面白い」と海外ビジネス、コンテンツプロデュースで国際社会に通用する「稼ぐプロ」の人材育成に力を入れ、「他人を稼がせる」ことで社会貢献を行っている。

10代で芸能界の楽しさも厳しさも経験し、20代前半で結婚。
しかし、結婚相手が「働く」ということに理解を示さず苦しい時期が続き「結婚した方が金銭的に苦しくなる」ということを実体験し離婚。
精神的にも金銭的にも一度どん底を経験するが、
芸能界に復帰し並行して海外ビジネスを開始する。

タレント・家事・育児と多忙の中時間を作り行っていた海外ビジネスで再現性の高いノウハウを確立。他者を稼がせるためプロデュースを行い、自身の情報やノウハウ、人脈を惜しむことなくシェアするコミュニティも運営している。

タフでしなやかな生き方に20代の若い女性の憧れとなっていて、独立起業を目指している30代男性たちからもビジネススキルが注目され「尊敬する女性」との声も多く聞かれる。
また、プロデュースのみならず
「ビジネスは誰とアライアンスするかが勝負」とベストなマッチングが行える
コミュニティの運営や交流会の主宰・運営も行なっている。
日本と海外の橋渡しの役割を担い素晴らしいコンテンツ、ビジネスモデルを日本、海外共に広める活動をし多くのビジネスパーソンに影響を与えている。

携わったプロモーションでは3億3000万円の売り上げ、主宰するコミュニティは100名以上が参加している。

第1章 子供時代から芸能界デビューまで

◎子役で芸能界デビュー

さて、貿易ビジネスの話に入る前に、高橋さんが芸能活動を始めたきっかけから、貿易ビジネスに移行していった経緯について少し伺ってみましょう。

高橋さんが、まだ11歳だった頃、彼女はNHKの朝の連続ドラマ小説「すずらん」で、山田まりあさんの子役時代の役に抜擢されました。これが彼女の全国デビューになります。しかし、小学5年生の少女には過酷な、3カ月に及ぶ北海道ロケと東京での撮影。
岐阜県にいるお母様が常に同行され、北海道と東京の撮影現場を行ったり来たりする日々が続きました。忙しい一方で、とても充実した日々を過ごされたそうです。

全国放送の子役というと、地元・岐阜県の田舎の小学校では、やはり目立つ存在になってしまいます。実際、特別視される事をどう思われたのか伺ったところ、高橋さんは、お芝居は大好きでしたが、特別扱いされてしまう事にどこか違和感を感じていたそうです。

一方、近所で「どこかで見たことがあるね」なんて言われると、自分の作品を見てくださっている人が身近にいることに対して、子供心に嬉しかったそうです。

そして中学生になると、あの有名な学園青春ドラマ「キッズ・ウォー」でいじめっこ役を演じます。トイレで水をかけるシーンや、ハサミを持って「髪の毛を切るぞ!」と脅したり。この配役をきっかけに芸能界で様々な仕事を頂くようになっていったそうです。まさに順風満帆な芸能界スタートだったんですね。

◎東京での芸能生活と引退

さて、中学生時代に出演した「キッズウォー」を機に、芸能界での自分の存在を自覚していった高橋さん。上京への思いが募り始めます。しかし東京とその周辺には親戚もおらず、サラリーマンのお父様とアルバイトをするお母様のごく普通の一般家庭で育った高橋さん。もちろんご両親は「高校までは卒業しなさい」と言って大反対だったそうです。

しかしながら「若い時にこそ実績を作らねば」という高橋さんの強い信念が彼女の運命を動かしていきます。電話帳やオーディション雑誌を使って、自身で芸能事務所へオーディションの申し込みを始めたんですね。この時から、彼女の人並み外れた行動力と強い信念が垣間見れますよね。

そうこうしていると、ちょうど中学生時代に撮影したDVDを通してつながった人間関係を経由して、芸能事務所を紹介して頂けることになったそうです。結局、そんな彼女の強い思いに根負けしたご両親は「給料制の芸能事務所ならば入ってもいいけれど、高校は都内の私立高校になるだろうから、高校と大学に行ったつもりで上京しなさい。」と言って、彼女の上京を許して下さったそうです。

そして、東京での高校生活と芸能生活がスタートしました。実際、東京での生活はどうでしたか?と伺ったところ、想像と随分違ったそうですね。岐阜県の田舎町ではずば抜けて可愛く目立っていた高橋さん。

しかし都会の東京には、自分より可愛い子がいっぱいいたそうです。この現実を目の当たりにした時、高校生の高橋さんは「上には上がいる。自分の持つ個性でいくしかない」という事を学び、この経験が彼女を1つ大人にしてくれたそうです。そうして、徐々に、司会やラジオなど話をする仕事を頂く機会が増え、時代劇の町娘役や女郎屋の娘役など着物を着るお仕事を頂く機会にも恵まれていったそうです。

高校卒業後、プロの芸能人として歩み始めた高橋さん。私たちからすると、芸能界といえばとても華やかな世界に見えますが、実際はとても地味なお仕事だそうです。例えば、配役が決まり台本を頂いた後は、ひたすら家で1人、台本の音読をして練習をする日々なんですね。

そして数年後、22歳の時、結婚を機に所属事務所イエローキャブを辞め、芸能界も一旦引退する事になります。しかし、実はこの芸能生活の間に、彼女は、貿易ビジネスへの道へと後につながっていく、物販ビジネスについて学び始めていったのです。

第2章 海外ロケをきっかけに、物販ビジネスの世界へ

◎海外ロケのお土産購入から始まった物販ビジネス

このように芸能生活一筋だった高橋さん。では、ここからは彼女が貿易ビジネスへの道を志すきっかけになったとも言える、インターネットを使った物販ビジネスの話について触れていきたいと思います。実はとても意外なところから、この物販ビジネスとの出会いがあるんですね。

高橋さんがイエローキャブに所属していた頃は、グラビアのDVD撮影などで海外ロケに行く機会が多かったそうです。その度に、タレント仲間やモデル仲間の方々から、免税店で売られている化粧品や、免税店の限定商品を買ってきてほしいと頼まれて購入して帰ったそうです。そんな時、お土産品を少し多めに買って帰り、試しにヤフーオークションで転売してみたところ、少し利益が出ました。

実は当時所属していたイエローキャブは、アルバイトが禁止だった上、タレントとはいえ、十分にお給料を稼げる状態でもなかった高橋さん。顔を出さなくてもお金を稼ぐことができる物販ビジネスは、まさに彼女のそんな状況にピッタリのビジネスだったんですね。そうして、高橋さんは芸能生活と並行して、物販ビジネスをスタートしたのです。

結婚して芸能界引退後は更に高橋さんの物販ビジネスは本格化していきます。当時5歳と4歳の子供がいた高橋さんは、子育て、物販ビジネスに加えて、アルバイトもしていたそうです。しかし、やはり小さなお子さんがいると、なかなか思うようには働けませんよね。

例えば、上のお子さんが風邪をひいて、幼稚園から「迎えに来てください」と連絡が来ると、次は下のお子さんも風邪をひいて「迎えに来てください」の連絡。そんな事が頻繁になって、結局2週間もアルバイトを休まざるを得ない事もありました。もちろん、バイト先にも居づらくなってきてしまい、辞めざるを得なかったそうです。それからは、なんとか自分で家の中で仕事をやろうと心に決め、並行輸入品を扱った物販ビジネスを本格化していくことになります。

◎オンラインを活用した物販ビジネス

さて、では高橋さんはどのようにして物販ビジネスを行っていったのでしょうか?この章ではより具体的な高橋さん流のオンライン物販ビジネスについてお伝えしていきましょう。

まず高橋さんが目をつけたのが、日本のAmazonのウェブサイトを使った物販でした。Amazonには有料サービスで、販売者向けのリサーチ機能があります。例えば、そのリサーチ機能を使うと、ある商品が前日に売れた個数や、1週間で売れた個数、その商品の販売者の数、販売価格など、リサーチができるそうです。

彼女はそれを使って、どの商品の販売ならば自分は参入して稼げる可能性があるのか、徹底的にリサーチしたそうです。そして、販売したい商品を見極めた後は、その商品の販売元である、例えばアメリカのネットショップ会社に「御社の製品を買いたい」と直接交渉をしていったそうです。当時の高橋さんは、特に安価〜高価格帯まで幅広く時計を販売していました。

しかし、この物販ビジネスで彼女の頭を常に悩ませていたのが、資金繰りでした。というのも、販売商品を仕入れて実際の販売収入を得るまで、一時的に資金が寝てしまうんですね。つまり、自分がこの商品販売に参入して、これだけ売れる見通しが立っていても、仕入れをする資金がない、という事でした。

特に、主婦の場合、契約できるクレジットカードの使用可能額は最大30万円が普通なので、カードを2枚作って「利益が出るとリサーチで見えているのだから、やるしかない」と心に決めて、前回払った商品の販売回収ができていないうちに仕入れを始めたそうです。

大量在庫を抱えないよう、注文数を慎重に調整をしていらっしゃったので、過剰在庫を抱える事はなかったそうですが、想像するだけでも大変なリサーチと準備が必要になりそうですよね。実際、ここまでリスクを最小に抑えて利益を確実に出すため、商品リサーチに最低1週間はかけ、時には2週間もの間、販売者たちの人数を追って傾向値をとっていったそうです。

とはいえ、巷ではよく「今売れている物を売りましょう」というコンセプトを謳った転売に関するセミナーや塾を見かけますよね。例えば、震災の後の電池販売のブームなんてものもその典型例です。そういった販売手法はどうなのでしょう?彼女に意見を伺ってみました。

高橋さんによると、もちろん、売れる確率が高いということで、多くの販売者がそういった販売手法を好み、確実に売れる商品をリサーチして傾向を見て飛び込んでいくのです。すると、それこそ今月はライバルが50人しかいなかったところに、翌月ライバルが250人に跳ね上がる、なんて現象が起こるそうです。

ですので、結局こういった販売手法は、追いかけっこでしかなく、高橋さんはこの手法を敢えて取らず、もうワンランク上のビジネス手法で戦いたいと思ったそうです。そして結果的に、彼女なりの徹底的なリサーチに基づいた物販ビジネスで月収50万円、利益10万円を稼げるようになっていったのです。

第3章 中国人との初めての貿易ビジネス-車の販売

◎仕事で出会った、中国人富裕層たち

さて、物販ビジネスの実態を学んでいった彼女。ここでは、少し芸能界時代に戻って、彼女がどのようにして、中国人富裕層たちと出会い、貿易ビジネスを始めていったのか触れていきましょう。

芸能界ではいろんなお仕事があり、ある日彼女は中国・上海で行われる富裕層のパーティに招待され、中国人の富裕層たちに出会います。一体、彼らがどんな風貌なのか、私たちには想像もつきませんが、日本の典型的なビジネスマンとは違って、ビジネススーツなんて誰も着用しておらず、いたってカジュアルに、例えばオシャレで高級なトレーナーとブーツ姿で颯爽と現れるそうです。年齢層は40代〜50代を中心に、30代前半の若い中国人もいて、工場の社長さんだったり、経歴や職種も様々でした。

そんな会食の席で、お酒好きな高橋さんは彼らと意気投合し、偶然、車の話になりました。ご自身も中型免許を持っていて、バイクやアメ車が好きな高橋さんは、話が盛り上がる中、1人の中国人に「そう言えば、ある国に、日本車を送りたいから手伝ってくれないか?」と突如お願いをされました。

日本人からしたら、目が点になってしまうようなお願いですよね。しかし高橋さんによると、中国人富裕層の間ではこんな会話は日常茶飯事だそうで、「この車を買いたいから、今度買ってきてくれ。」。このたった一言で、ビジネスが成り立ってしまう、それが中国人富裕層のビジネスの世界だそうです。

しかし当時、小売の物販業しか経験がなかった高橋さんは、この依頼に戸惑います。もちろん、今まで扱ってきた時計と車では、扱う金額だって全く違いますしね。そういうわけで、断ろうとした高橋さんに、その中国人は「僕、日本人で貿易をやっている知り合いがいるから、紹介してあげるよ」と言って、貿易業に精通した日本人M氏を紹介されたそうです。

◎中国貿易ビジネスの師匠・M氏との出会い

実は、この貿易王M氏こそが、中国人との貿易ビジネスノウハウを高橋さんに授けてくれた、師匠なんですね。さて、そんな師匠との出会いはどうだったのでしょう?第一印象、高橋さんは「上海に住んでいる日本人?」と思ったそうです。

一般的な日本の若い男性には決していないような、いかにも貫禄があって、独特な風貌を持った貿易王M氏。車の物販経験が無い高橋さんは、この時、M氏にこの仕事を完全にお願いするつもりでした。また、こういった案件は結局労働収入で、仕事の持続性が分からないというご自身の不安についても相談をしました。

しかし彼から返ってきた返事は「いや、高橋さん。それは、あなたが頼まれた案件でしょう?だったら、あなたが完結させるのが筋です。」という厳しい一言だったそうです。しかし「わからないことは教えてあげます」とも言ってくださったそうです。この時、高橋さんは直感的に「この人についていこう。ワンランク上の仕事に上がれるチャンスかもしれない」と思いました。まさにこの直感は正しかったのです。そして高橋さんはM氏の指導の下、車の貿易業を始めました。

◎初めての車販売

ここからは、彼女が実際どうやって車の貿易を成功させたのか触れていきましょう。中国人からのオーダーは中古の自動車3台を日本で買って、なんとパキスタンに送ることでした。この大胆な依頼を聞いた瞬間、高橋さんの思考はもちろん停止状態。とはいえ、高橋さんはM氏から車の仕入れ先を教えてもらい、なるべく調達に時間をかけず、1カ月弱で車3台の仕入れを完了することができました。

さて、その具体的な仕入れ先ですが、高橋さんはM氏が取引をしている車関係の業者やオークションを使ったそうです。オークションというと、ネットオークションと市場のオークションの双方が存在しますが、後者の場合、専用の免許や許可証が必要になるそうです。

ですので、高橋さんが、車の貿易従事者にお勧めするのは、そういったプロしか入れない市場のオークションではなく、ヤフーオークションを始めとした車専用のネットオークション。そこから始めるのも手かもしれない、ということです。

次に、車3台という莫大な購入費用をどうやって捻出するか、気になるところですよね。一般的に、こういった案件は契約によりますが、大体7:3の割合で、着手金と、搬送後の残金支払いが決まっているそうです。ですので、高橋さんは、この着手金を元手に車3台を購入することができたんです。

ここで、高橋さんがおっしゃられていたのは、私たち日本人のビジネスアドバンテージについてです。海外でこのようにビジネスをする際、日本人というだけで信頼を得やすいんですね。

実際、今回この中国人が、高額物販の経験が無い高橋さんに仕事を依頼してくれたのも、契約交渉がスムーズにいって着手金を手にできたのも「自分が日本人だから」という部分が大きかったと言われています。師匠M氏も、ご自身の上海での長い仕事経験をもとに、同じように「(お客様は)日本製品ではなく、日本人の高橋さん自身を見て、依頼をしたんだ。」と、おっしゃられていたそうです。

このようにして、何とか仕入れる事が出来た車3台。あとはM氏に紹介してもらったプロの代行業者に頼み、ヤードまで直接運んでもらったそうです。ちなみに、この際の支払いは現金振込みだそうです。

販売物によっては様々な条件があるので、実際に現物をヤードまで見に行く貿易業者もいるそうですが、高橋さんは現物を見ないまま、輸出を開始しました。そして、日本の港を出た瞬間、残り3割の費用が中国人客から支払われました。

◎月商12倍を獲得。中国人とのビジネスで学んだこと

このようにして完結する事が出来た車の販売。一体どのくらいの利益が出たのでしょう?ネット物販ビジネス時代の月商が50万円だったのに対し、この車3台の販売利益はなんと600万円。

つまり月商約12倍の利益を手にしてしまったんです。日本のサラリーマンの平均年収が450万ですから、たった1回の取引でその1.5倍の収入を得てしまったんですね。そして彼女は「芸能界以外で好きになった仕事はこの貿易業以外にない。この道で行こう」と一点の迷いもなく心に決めました

高橋さんに、この取引の経験を通して一番嬉しかった事について伺ってみました。彼女が嬉しかったのは「自分が日本人である事を買ってくれて、そこでビジネスができる」というのを知ったことだそうです。

また、彼女が感じたのは、日本社会は沢山のルールがあって、ビジネスが堅く複雑な傾向がありますが、中国人富裕層とのビジネスは、そんなに複雑ではないということ。ただ、一方で彼女が深く学んだことがあります。彼らとビジネスをする際に心得ておかねばならないのは、中国人富裕層とのビジネスのためには、彼らと常に密な関係を作り、保っておかなくてはいけない。ということなんです。

第4章 中国人との貿易ビジネスの実態

◎マーケットインの考え方でビジネスチャンスは無限大

このように、シンプルに物を売り買いする貿易業というよりは、上海にいる中国人富裕層相手のビジネスに参入したとも言える高橋さんのビジネス。彼らとのビジネスを通して、彼女は「売れる商品」についての考え方が抜本的に変わったと述べています。

例えば、今までは「この商品は売れるだろうか?」と、売るまで可能性が分からない、つまりお客様が出口と思っていました。しかし、M氏からの教えもあって、そうではないと彼女は学びました。全ての商品には、それを待っているお客様がいくらでも存在するんです。

つまりマーケットインの考え方ですよね。特に、中国人富裕層を絡めたビジネス案件の場合、中古車だけに限らず、それこそ、飲物、時計・・・と、可能性は無限に広がっていくのです。

◎物販ビジネスと中国人向け貿易ビジネスの違い

ここでは、物販ビジネスと中国人向け貿易ビジネスの違いについて明らかにしましょう。まず、物販ビジネスの場合、売れるかどうか、売ってみないと分からない状況の中、自分の資金で商品を仕入れなければいけません。

高橋さんの場合、並行輸入品の物販をしていた頃、緻密な商品リサーチを行い、在庫管理をするため、3時間睡眠が2~3ヶ月続いたこともあったそうで、持続性という意味でもとても難しいビジネスですよね。

一方、現在行っている中国人富裕層向けの貿易ビジネスの場合、先に彼らから「これを買いたいから、探してきて欲しい」と、お客様自身から依頼が入ります。まさに、売れ残りのリスクがないという面で、一般的な物販ビジネスとは大きく異なりますよね。

また、どうしても、一般人の目線からすると、貿易ビジネスには数千万円単位で、自己資金がないと仕入れができないし、キャッシュが回らないと思いますよね。私自身も、今回高橋さんの話を伺うまでそういうイメージを持っていました。しかし、このような中国人富裕層向けの貿易ビジネスの場合、彼らはオーダーと同時に着手金を前払いするので、苦労して手元のキャッシュを回していく必要性がなくなるのです。

しかし、このような好条件が成り立つのは、結局、彼らと自分との間で、強い信頼関係・人間関係があるからこそ。だからこそ、この相手ならお金を貸そうかな、と思ってもらえるんですね。

◎中国人富裕層との関係作りの極意

では一体、高橋さんはどのようにして中国人富裕層たちと強固な人間関係を築いてきたのでしょう?高橋さんは、月に1回は上海に出向き、彼らと食事やお酒の時間を持つそうです。私たちが想像するように、中国の会食の席では、「あれ?商談はいつやるの?」と思ってしまうくらいに、乾杯からガンガンとにかく飲み始めるそうです。

お酒がもともと大好きで、お強い高橋さんには、このスタイルがとても合っているそうです。芸能界出身というのも、関係づくりにプラスに働いているのか伺ってみましたが、そこはそんなに影響を感じていないそうです。

むしろ、芸能人の自分だから関係づくりができたのではなく、中国人富裕層たちは高橋さんを「1人の日本人・高橋ゆづきとして見て下さっている」と感じるそうです。つまり、お酒や食事の席を通して、互いの心を開き、1人の人と人として付き合っていく、そういうビジネススタイルなんですね。そして、ここで私たちが日本人である、という事でスタートラインから私たちは大きなビジネスアドバンテージを持っているんです。

ここで、高橋さんはビジネスにおける人間関係の大切さについて、改めて強調されていました。というのも、貿易ビジネスはもちろん、芸能界でも今もなお高橋さんが仕事をやって稼いでいけるのは、作り上げてきた人間関係とその強い繋がりがあるからこそ。彼女はこうやって人とのつながりを通して、様々な芸能界の仕事を頂けることに感謝していると述べていました。

第5章 今後ビジネスの可能性がある商材とは?

◎食品関連の商品

車の物販後、色々なビジネスを経験したり見聞きしてきた高橋さんに、今後、中国人富裕層とのビジネスチャンスがありそうな商材について伺ってみました。まず、中国人富裕層がオーダーしてくる商材としては、日本産のワインがあるそうです。例えば、サンノワインなど。私たちからすれば、ワインと言えばフランスやドイツでは?と思いますよね。

しかし、世界的に有名なフランスやドイツのワインは、既に彼らは仕入れてしまっているから、まだ誰もが知らない日本産ワインに希少価値を置くわけです。また、日本食はどうでしょう?まず日本産の精肉を求める富裕層も多いそうです。また、日本の鮮魚に対するオーダーもあります。

こういった食品関連の商品は、法律上輸出できないものもあるそうですが、調べていけば、うまく輸出する仕組みも実は存在しているそうですね。

◎日本企画のコスプレ商品

またその他にも面白い商品オーダーがあるようです。今、上海は空前のコスプレブームが到来しているため、「コスプレの衣装を沢山送って欲しい。」なんてオーダーもあるそうです。本当に色々なオーダーが舞い込んでくるんですね。

高橋さんにとって、コスプレ衣装のオーダーはかなり意外でした。というのも、コスプレ衣装の多くは中国で生産されています。しかし、生産元が中国でも、日本企画だから、彼らにとっては日本の商品として目に映るようなんです。確かに、爆買いを目的に日本に訪れる中国人観光客も「明らかに中国製では?」という商品を一気に爆買いして帰るわけじゃないですか。

しかし、これも同じことで、結局中国製であっても、彼らが大量購入するのは、商品の企画が日本で、つまり日本の発想でできた商品だから、彼らにとっては全く違う商品に見える。そういう仕組みなんですね。

◎ヘルスケア商品

さて、他にもビジネスチャンスの可能性を秘めた商品について聞いてみました。例えば、昨今の日本での健康ブームは中国の富裕層の間でも同じなんです。例えば、サプリメントや健康食品は以前オーダーを頂いたことがあるそうです。また、日本の医療にかかりたいという富裕層の方々も結構いらっしゃるそうで、今後もヘルスケアは人気なテーマであるわけです。

◎値付け交渉

では、このような商品オーダーに対して、どのようにして値付け交渉がなされるのでしょう?高橋さんのご経験では、先方からの指値注文の場合もあれば、トータルでの注文金額が提示される場合あるそうです。

つまり、注文金額より安く仕入れれば差分がそのまま利益になるということですね。もしくは、最近比較的多いケースは、仕入れた分のパーセンテージで買取額を支払われるというケース。つまり、いずれにしてもこちらとしてはリスクがなくて済むんです。

このように様々な値付け方法があるわけですが、高橋さんの師匠M氏は値付け額を7:3で考え、7割の時点で利益を生むよう値付けをしていると伺いました。しかし、そこは依頼者との強い信頼関係あってのものだそうで、高橋さんも修行中であるそうです。

◎今後のビジョン

さて、中国人富裕層との貿易ビジネスの極意について、色々と伺ってきましたが、最後に高橋さんの将来のビジョンについて聞いてみました。

海外でビジネスを開始して初めて、日本の良いところを知り、悪いところも知った高橋さん。彼女の視点からすると、今の日本の課題は平和ボケしている、という事だそうです。実際、日本人の若年層であっても、平和な日本を好んで、海外に出るのを怖がったり、とても大きな事だと思ってる方が依然として多い傾向はありますよね。

また、高橋さんは不動産業でカンボジアやタイにも訪れましたが、そこで、大きな貧富の差や、発展途上国が未だに沢山存在する事を目の当たりにしました。ですので、今後は、そういった国々に雇用を生ませて、その国の発展に少しでも協力できるような事を、自分の会社やビジネスを通してして行っていきたいと思っているそうです。

まとめ

さて、このように中国人富裕層を相手にした貿易ビジネスの実態についてお伝えして参りましたがいかがでしたでしょうか?最後に本日のまとめに入りましょう。

まず、物販ビジネスとは、決して「売れている物を売れば成功する」ということではないのです。売れている物の販売には必ずとんでもない数のライバルが存在し、結局持続的なビジネスとしては脆弱なものなのです。よって自らの力と、リサーチ機能などを駆使して、「売れる潜在能力を持った商品」を見つけ出すのが大切なのです。

次に、中国人富裕層とのビジネスにおいては「密な人間関係」こそが彼らとのビジネスのキーワードなのです。彼らが「信頼して仕事を任せられる」と思ってくれるよう、彼らの心に入っていき、密な人間関係を作ることが一番大事です。

また、彼らとの強固な人間関係によって、低リスクで好条件な取引が可能になりますし、次のビジネスの可能性が見出せたり、思いもしなかったビジネスチャンスに出会うのです。

どんな商品にも、「売れる商品」「売れない商品」なんて枠組みはありません。販売する相手が変われば、売れる商品だってもちろん変わるのです。つまり常に「マーケットイン」の考え方を忘れず柔軟に、目の前の商品の可能性を考えてみましょう。

そして「自分が日本人である」事は、海外を相手にした取引において、非常に大きな武器になる事を自らも自覚し、決して臆してはいけません。日本人の真面目で几帳面な気質は、どの国のビジネスマンも買ってくれます。だからこそ、その気持ちにしっかり応えていきましょう。

このように、貿易ビジネスというのは、とても難しそうで、資金のある限られた人間にしかできないという固定概念が私にもありましたが、実際はそんな事はないのです。そして私たちが思っている以上に、「日本人とのビジネス」を世界のビジネスパーソンたちが手を広げて待ってくれているのです。是非、今回の記事を読まれた1人でも多くの方が、それをしっかり心に持って、世界を舞台にした貿易ビジネスにチャレンジして頂ければと思っています。

大坪 勇二

この記事を書いた人

【仕事のプロを育てるプロ】 コンテンツプロデューサー。人脈術と交渉術の専門家。

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