中山匡 頑張るフリー営業マンは注目! 『在宅秘書』の仕組みを作ろう!

「毎日毎日忙しく働いていて、労働時間はもうめいっぱい。でもこれ以上売上が上がる気配がない」
「大事な家族に対して時間をなかなか使えない。でもその一方で収入が減るんじゃないかという焦りがある」
「で、なんだか幸せ感を得られないまま毎日を過ごしてる」
個人事業主や1人社長のあなた、そんな悩みがありませんか?
実はかつての私(大坪)がそうでした(今は、完全に解決ましたけどね)。
今回の対談は、そんな悩みを持つあなたに対しての朗報になるはずです。
ゲストは、シェアブレインビジネススクール代表の中山匡さんです。

中山氏プロフィール

中山 匡 なかやま ただし

一般社団法人シェア・ブレイン・ビジネス・スクール 代表理事
NPO法人ウーマン・キャリア・デザイン 理事長
アントレプレナー・コーチング株式会社 代表取締役

東京大学大学院工学系研究科 修士課程修了。
専門は「物理学」及び「核融合」。幼少期よりエジソンの伝記を全て読破。
「物理学とは神が創った方程式である」と開眼し、発明家を夢見る。

就職活動中、エジソンの残した最大の発明は研究所で、GEの設立者であることを知り、
事業の発明家を志す。
フランチャイズ本部立ち上げ支援最大手の経営コンサルティング会社に入社。
地場工務店のFC展開に従事。1人のトップ営業マンと半年間寝食を共にし、
その成功の「核」は何であるかを抽出。手法を標準化して広げた結果、年商250億、
従業員400名のハウスメーカーに進化する。

事業化においては、最初に創る事業の「核」が全てを支配することを確信。
31歳で独立。10年かけ1,061個のビジネスモデルを研究し、小資本でスタートアップ
可能なビジネスモデルを7種類22分類に体系化。起業支援社数6,000社。
関連メールマガジン購読者数2万8,000名以上。

「広がる事業には、美しい方程式が秘められている」いう理念のもと、
方程式を創り出す事業家を量産することに力を注ぐ。ビジネスモデルの
ロードマップを描けるコンサルタント養成にも力を入れ、「ビジネスモデル・
デザイナー®プロジェクト」代表に就任。
プロジェクトを通じ、「MBAに代わる国家的資格」を創り、 2025年までに
10万人の起業家を新たに育生し、3兆円のGDP向上(東京オリンピックの
経済効果に相当)に貢献すべく全力投球中。

エジソンと「人を雇うこと」の関係性?

大坪 今日は「バーチャルスタッフ」、あるいは「バーチャルオフィス」についてのお話をうかがっていきます。今までとは全く違うスタッフ、オフィスの仕組みの作り方ですね。中山さんはその専門家です。まずは中山さんご自身の言葉でプロフィールをお話ししてもらってもいいですか?

中山 はじめまして。中山匡と申します。私の本業は「ビジネスモデルをゼロからどうやって構築していくのか」っていうことの支援なんですね。こういう活動を、今まで18年ほどやっています。ただ、元々の出身は物理学でした。

大坪 物理学?

中山 全く逆というか……。でもなんで物理学出身の人間が今そういう活動をしているのかを知っていただければ、非常に興味持っていただけるかと思います。

大坪 へー!? そうなんですか。

中山 私は子どもの頃は、発明王のエジソンがすごく大好きで、もう、いろんな出版社から出ている伝記を買い集めて、もう全て読みまくっていたんです。
で、「将来自分は発明家になる」と決めて、物理学を勉強して、大学院まで行って……「よっしゃー、これから社会人として研究者になっていくぞ!」って就職活動している時に、ある会社で、「エジソンが創った最大の発明は何かというと、それは〝研究所〟である」ということを学んだんですね。

大坪 ほー。電球じゃなくて、研究所なんですか?

中山 そうです。「1人だけで頑張るのではなく、人が集まって、人と人とが繋がって共に何かを創っていく」っていう、あの仕組みを創ったっていうのがエジソンが最初だったんです。だから、かの有名なGE(General Electric Company)を創ったのがエジソンなんです。
これが伝記に書いてあることが全て繋がった瞬間で、「そうか!自分は技術じゃなくて、事業の発明をすればいいか!」と思ったんです。そして今、この道にきたということなんですね。

大坪 なるほどね。

中山 最初に「事業の発明をするためにはどこで働けばいいか」と考え、経営コンサルティング会社なら、いろんな事業の経験ができるだろうということで、そこで6年間ほど修行を積みました。
ただ、そこでやりたかったことが全てできたわけじゃなくて。ゼロから新しいものを生み出していくことは、なかなか会社の中ではできなかったので、自分で独立してやろうと思ったのが、今から12年前になるわけです。

大坪 なるほど。

経営者・独立営業マンの福音?「在宅秘書」スタートの背景

中山 ただ、そうして本当にたった1人の経営コンサルタントとしてやっていたわけなんですけど、やがては、段々お陰様で忙しくなっていく。忙しくなっていくと、どうしても「本当はこの仕事やりたいんだけれど、忙しくてとてもできないんだよな」っていうことが増えてきますよね。

大坪 そういうこと、ありますよね。

中山 だったら普通は「人を雇えばいいじゃん」って思うわけですけど……それができなかったんです。

大坪 ああ、それわかります。初めて〝人を雇う〟時って、気持ちのハードルが高いですよね。

中山 そうなんです。そもそも私、独立するまでは毎月400時間から500時間ぐらい働いていて、もういつ電話かかってくるかわからないみたいな感じで……。

大坪 普通、200時間過ぎたら、もうかなりの残業ですよね。それを400時間?

中山 マックスで540時間。基本的に「土日は休み」という概念はなくて、仕事があればもうどこでも全国飛んで行くっていうふうな。夜は当然眠れないので、移動時間に寝るって感じですね。

大坪 じゃあ、布団に入って寝るんじゃなくて、仕事していて、その合間に寝るみたいな感じ?

中山 そんな感じ。仕事して、合間に睡眠時間がある、みたいな。

大坪 へー。その当時は楽しかったんですか?

中山 ええ、それはそれですごく充実していましたね。でも1人でコンサルタントとして活動することになると、ある意味、いろんなものから解放されて自由になったな、と。

大坪 ああ、組織から解放されて。

中山 ええ。スタッフがいなければ、何時までに出社しなければいけないなんてこともないし、すごく自由でいいなって思いました。ただ、そう思いながらもいろんな意味で疑問が生じてきたんです。先ほどお話しした「忙し過ぎてやりたいことができない」ってこともある。また、自由はいいんだけれど「本当にこれでいいのかな?」っていうことも考えて……。収入的にも非常に恵まれていたけれど、それがちょっと虚しさを覚えるような……。

大坪 へー。

中山 で、何かちょっと突破口がないかなって思って、シンガポールのジェイ・エイブラハムのセミナーにわざわざってみたら、すごく優秀な経営者の方がいたんです。自分の将来の手本になるような。
それで、先ほどのエジソンの研究所のように、やはり1人でやることには限界があるっていうことも考えて、「誰かとやるんだな」ということをその瞬間に決めたんです。それでその際の選択肢が2つあって……。ひとつは普通に「正社員を雇えばいい」って話ですね。

大坪 なるほど。

中山 でも、これまでも雇おうと思えば雇うことはできたわけです。しかしそのハードルが高かったっていうことは、多くの人、特にコンサルタントの優秀な方や営業マンとして1人で頑張ってきたような方は、たぶん同じ苦しみを味わうんじゃないかな、と。

大坪 そう、その通りです。

中山 ってことは、そういう人でも何かもっと敷居が低いものが必要じゃないか、思った。そこで「在宅秘書」という考え方を、その時に試してみようと。

大坪 最初はある意味ユーザーとして入ったっていうことですよね。自分にそういうニーズがあることに気が付いて。世の中にもいっぱいそういう同じ気持ちを持つ人がいるんじゃないかという仮説を検証したっていうことですか?

中山 そうですね。まずは、誰もやったことがないと思って、自分でそういう、本当にメルマガとか求人媒体とか、ありとあらゆる方法を使って、求人をしたわけです。そうしたら、ありがたいことに3人ほどすごく優秀な人を雇えて。これがまたすごく優秀だったんですね。

大坪 ほう、そうですか。

中山 1人はまず、全日空のビジネスクラスでキャビンアテンダントを長年やってきたという女性。こういう接客のプロに、たとえばメール対応とか電話対応という仕事をしてもらえたら、やっぱり楽なわけです。本当にこれは助かった覚えがありますね。

大坪 なるほど。

中山 もう1人は、学生時代に起業した経験があって、ベンチャー企業で経験を積んできて、結婚をきっかけに会社を売却したという女性。結婚でお仕事を辞めなきゃいけないということで、在宅で働きたいと。私の代わりにメルマガを書いてくれたり、プロモーションを代わりにしてくれましたね。

大坪 えー、そうなんですか。

中山 はい、そしてもう1人は、デザイナーの方です。

大坪 デザイナー! すごいプロ集団って感じですね。

働き手は多い。でも「初体験同士」は難しい?

大坪 そもそもの話なんですけど、在宅秘書というような方って、日本の社会には多いんですか? つまり〝自宅なら働ける〟という女性……女性に限らないと思うけど……。

中山 それは本当に多いですね。
「専業主婦」といわれる方は、今、統計的には800万人いるという状況なんです。この中には積極的な専業主婦の方もいれば、本当は働きたいけれど働けないという方も。
たとえば大手企業だったら、フルタイムでないと働けないわけですよね。まあ最近は変わってきていますけど。基本的には、結婚して子ども産んだら、もう「辞めなさい」っていうかたちで、企業はまた新卒を採ってくるっていう、そういうサイクルがあるわけです。なので、実際の統計的な数値はわからないですけど、少なくとも当社で今50名の社員がいる中で、そういうかたちで入ってきた方が10人いるんです。

大坪 へー。働きたいのに、会社から事実上許されなかったということで、辞めざるを得なかったという方? 結婚、育児という女性特有の変化というものをある意味背負わされたかたちというか。その背負わされた結果として、自宅でも仕事したいっていう方が少なくないってことですね。

中山 そうですね。これ、本当に潜在的にはまだまだ眠っているなって思いますね。

大坪 そうですか。ちなみに、アメリカとかでは、そういう人を組織化して労働化するっていうシステムは、もっと発達しているんですか?

中山 そうですね。在宅ワーカーという括りになってきますけど。
日本でも最近、クラウドワークスとかランサーズとかが上場っていうことで有名になってきてますけれど、元々はそういうネットワークというものは、海外を含めてあったわけです。
ただ、私もそれは知っていたんですけども「ちょっと違うな」って思ったんですね。

大坪 ほう!? とおっしゃいますと?

中山 働きたいと思って登録する人と、発注企業がいて、それが基本的にオンラインで繋がっていくという仕組みが多いんですけど、この時、それぞれお互いがある意味初体験っていうケースが多いんですね。

大坪 ああ、在宅で働くのは初めてだっていう方もいるし、初めて在宅の方を雇うという企業もある。それはそうですね。

中山 なので、初体験同士ってなかなか繋がらないわけであって、それは繋ぐ人が〝卑怯じゃないか〟って思ったんです。

大坪 確かに。僕も最初に(在宅秘書を)お願いする時に、何をお願いしていいかわからなかったですね。軌道に乗るまでにはすごく時間がかかりましたね。

中山 そうですよね。なので、今では社内の教育によって〝繋ぐ人〟っていうものを育ててきたわけなんです。ただそれだと追いつかないので。今度〝繋ぐ人〟っていう職業をつくってしまおうかって思っているぐらいです。初体験の方同士を繋ぐ資格みたいなのをつくって、たとえば協会のようなかたちにしていく予定ではあるんです。

主夫になって実感した在宅スタッフの事情と気持ち

大坪 1人コンサルタントをやって、3人の優秀な方を雇ったその後は、どんな変化があったんですか?

中山 そうですね……これは今だからこそ言えるんですけど……。最初は、全然上手くいかなかったんです。

大坪 ええ? そうなんですか。そんな優秀な方々なのに?

中山 そうなんです。
どうしてかと言うと、まず、私も初めて、スタッフも初めてだったということです。私は女性が、たとえば子どもが家にいる状態で、どんなふうに仕事してるのかっていうことの想像はできたわけです。ただ、現実的には仕事がある。納期がある。でもたとえば「すいません、社長。今日までの納期だったんですけど、子ども熱出しちゃって、できなかったんです」みたいなことがあるわけです。そうすると、「でも、仕事だろう、これは!」と思って……。

大坪 思うでしょうね。

中山 とは言え、そうは言えないので。感情を殺してですね、「そりゃ、しょうがないよね」みたいな、そういうふうな感じで。

大坪 なるほどね。「しょうがないよね」と言いつつ、「困るよそれは」という思いもあると。

中山 そうですね。連絡のメールを書く時も、「しょうがないよね」って書いてるのに、その上でああだこうだ言って責めてるっていう……。

大坪 (笑)うーん、経営者の責任があって、そういう気持ちになるのも理解できますけどね。

中山 でもやっぱり、そういうことが続いていたので、スタッフが辞めてくんです。
それで新しい方を採用する。採用して、「じゃあ、辞めた人の仕事を引き継いでくださいね」って言って引き継いでいる最中に、なんかもうお互い嫌になってしまうんですね。

大坪 なるほど、なるほど。

中山 それが、大体2年ぐらいは続いたんです。私もお願いする側としてストレスがかかりまくって。「自分がやった方が早いんじゃないか」って。

大坪 なるほど。

中山 ちょうどそんな矢先に、私の子どもが生まれたんです。この活動を始めて2年ぐらい経ったタイミングですね。そこで〝子どもが家にいる状態〟がどういうことなのかがわかったんです。「(子どもって)こんなに病気するんだ」っていうような。
その時に、この状況の中でずっと家にいたら大変だなということがわかった。自分は嫌になったらオフィス行って「ああ、静かに仕事できるな」ってところを、主婦の立場からすれば、こんなに泣いてるところで仕事をするのかっていうのが、身をもってわかりました。

 

大坪 在宅の方はもう逃げ場がないわけですもんね。

中山 ですね。「仕事と家庭の両立って、こういうものか」っていうのが、痛みをもってわかった。で、その現実から逃げちゃいけないなと思って「よし、じゃあ女性と同じ状態で自分も、もうオフィスなしにして育児しながら在宅で仕事しよう」と。

大坪 逃げ場を自分から絶った。

中山 絶ちました。それから主夫という形で、1日6時間から8時間は家事育児をやるようになったわけです。

大坪 へー。

中山 うちの妻、銀行員なので、6カ月の育休が明けた後は仕事復帰ですね。

大坪 へー! じゃあ、本当に逃げ場がない主夫に…。

中山 なりました。子どもの病院の健診とか、保育園の保護者会とか。当然食事を作ったりとかも当たり前。

大坪 そういうのは、元々される方だったんですか?

中山 全くやってないですね。

大坪 500時間働いてたらできませんよね。その時から学び始めた?

中山 学び始めました。

月に180時間の「自分でやらなくてもいい仕事」

大坪 在宅秘書やバーチャルオフィスを活用するのが向いている人って、どんな人でしょう?

中山 基本的に〝身一つ〟で活動されている方ですね。営業、コンサルタント、研修講師とか……。

大坪 保険会社の営業職員や保険代理店のエージェント、あるいは個人事業主、士業とかも?

中山 そうですね。なぜなら、そういう方って仕事を全部自前、自力でやっているケースが多いからなんです。

大坪 僕も12年間個人事業主をやっていましたけど、やっぱりそうでしたね。完結させるのは、全部自分。〝人には投げない〟っていう前提でしたね。

中山 仕事の特性上、全部自分でやるという傾向がある。何か発生しても自分でやるっていうふうなマインドが最初から出来上がっているケースが多かったりする。私もそうでした。逆に「物販」などをやっている方は、そもそも外注を使うことに慣れていたりするので、人に任せたりするんですけど。

大坪 なるほど。

中山 ただ、仕事がちょっといっぱいになりそうな気がするな、ブレーキかけてるなって自分で感じ始めたら。これはもう〝人に任せるステージ〟の準備に入った方がいいですね。

大坪 そういうサインなんですね。

中山 大体、計算するとわかります。まず「何の業務を何時間やっているか?」を書き出すことをお勧めします。

大坪 本人が何を何時間やっているのか? この業務は外に任せられるか否か? ってことをチェックしていく。自己診断をしていくのが大事ということですね。

中山 そうです。私自身の経験でいうと、私は月に180時間ほど、自分じゃなくてもできる仕事やってることがわかりました。ざっくりと半分以上の時間ですね。平均的に見ても、多くの方にやっぱり100時間ぐらいは自分じゃなくてできることがあるんですね。

大坪 これは何百人もコンサルティングをされてきて、実際今現在もクライアントの方に電子秘書、在宅秘書を提供している上での実感のある数字なんですよね。

中山 そうですね、その業務に携わる時間を手放すことによって何が起こるかというと、当然ですけど、今までできなかったこと……たとえば「新しい商品創り」とか、「この事業をやりたかったんだよね」っていうのが、できるようになるわけです。
そもそも多くの方が、自分の業務この時間って計ったことがないと思います。1週間でもいいので記録をしてみると、いかに自分でもなくてもできることをやっているのかということがわかる。

いつまでも「個人商店」ではいられない

大坪 これ、私も早速やってみたいんですけど、何かツールを使うんですか?

中山 いろんなやり方がありますが、基本はエクセルに業務の項目だけ書き出していって……それも面倒だというなら、全部手書きメモでも構いません。

大坪 じゃあ、まずは業務の分類が必要なわけですね。「こういうことやってる」っていう分類があって。あとは費やす時間を記録していくんですね。

中山 はい。こうして〝手放す〟っていうことを前提にしてしまうと、いかに時間が生まれるか? 「あれ?自分がやることってないな」っていうことに気付くんです。

大坪 たとえばメール対応を人に任せたとするじゃないですか? でも、そのメールの相手や仕事内容を誰よりも知ってるのは自分ですよね。人に任せると、どうしても仕上がりのクオリティ……メールの書き方、ニュアンスなどが気に入らないとか、そういうことはなかったですか?

中山 もちろんありましたね。

大坪 へー、そこはどうやって解決するんですか?

中山 2つ方法があると思うんですけど。ひとつは、「社長はスーパーセールスマンであって、人が真似することは不可能である」と割り切る。社長はスタッフの10倍すごいから、スタッフは社長にはなれない。なので、「スタッフから見たら最高のクオリティ」というところを標準点、合格ラインにしようっていう考え方ですね。

大坪 なるほど。

中山 2つ目はやっぱり究極はスタッフも社長のクオリティを目指した方がいいという考えで、これはちょっと上のステージになるんですけど、人事評価制度というものを作って、各スタッフがどこまでできたら上に昇格できるかっていう仕組みも今別途作っています。

大坪 ああ、役職、時給とか月給とリンクさせていくわけですね?

中山 そうですね。たとえば一般社員よりはマネージャーのほうが「より社長に近い文章を書ける」っていう基準を満たす必要がある。

大坪 社長の仕事ぶりがひとつの基準点か。でも今の話は、最初から100点満点の100点を目指さない、っていうこと、100点は取れないことを受け入れると?

中山 そうですね。なので、一時期はお客さんから、「最近社長が対応してくれなくなった」とか言われたり、あとは「質が落ちた」ということもあるわけですけど……でもこれって、企業として、次のステージにいく時には必ず通らなきゃいけない道だと思います。いつまでも〝個人商店〟ではいられないタイミングってものがあるのかなと。

大坪 本当にそうですよね。たとえば飛行機のチケットを取るにしても、航空会社の社長から「確かに承りました」みたいなメールは来ませんよね(笑)。

中山 そうですね(笑)

大坪 そういうのも言われてみれば当たり前の話なんだけど、でもこれは、個人事業主を長くやっていると、なかなか……頭ではわかっていても、越えにくいハードルではありますよね。

大企業も注目する「バーチャルスタッフ」

大坪 全部自分で完結させるのでなく、人に任せる……。その際にまず取り組むこととしたら、なんですか?

中山 まずは先ほどの話の現状分析。仕事を書き出すことです。
業務を分類して、次に時間です。どの業務に月に何時間かかっているのかということを書き出す。

大坪 それは絶対にやらないとダメ?

中山 面倒だいう人はスルーしてもいいと思いますが、逆に「本当に自分ってそんなに人に任せることってあるのかな」って半信半疑の人は、ぜひ試していただくといいでしょう。

大坪 ご自身でやってみて、気付きがありましたか?

中山 メチャメチャありますね。やっぱり、ただ頭でわかっているものを、実態感覚として、「これ、任せなきゃいけないな」って思うのは、この作業をやったからです。

大坪 なるほど。たとえばもう既に任せている人がいる場合も、実はまだまだ任せられることがあったりするわけですよね?

中山 そうですね。

大坪 ひとつの目安として、先ほどの中山さんの〝180時間〟というのがあるんですけども、大体、身一つでやっている人が上手に在宅秘書などを活用しているケースでは、何時間ぐらい外に仕事を任せているんですか?

中山 本当に上手くやっている方は、100時間任せていますね。平均するとやはり30時間から50時間ぐらい任せているという方が多いですかね。

大坪 なるほど。じゃあ、任せれば任せるほど、運営……自分を含めた〝仕組みの運営〟が上手いといえるんですか?

中山 そうですね。本当に、一番大きい方では、年収が8倍から9倍ぐらいになっている方もいるんで。

大坪 へー!

大坪 それくらい大きな価値を持ったこの「バーチャルスタッフ」「バーチャルオフィス」のようなビジネスの形態ですが、今後、こういう仕組みっていうのは増えていくと思いますか?

中山 そうですね。今後は、むしろ大手企業からも、逆に在宅を増やしたいというニーズが増えてくると思います。
先日もある人事の専門誌から寄稿の依頼がありました。「人事部が在宅秘書を採用する時にどうするか、何に気を付けたらいいのか」というテーマです。

大坪 まさにお得意なところですね。ずっと今まで研究されたことですもんね。

中山 ええ。今はそういった大手企業の人事部の方々が読むような雑誌でも取り上げられる傾向にあるので、今後は全体的に増えてくると思います。

大坪 今でもアウトソーシングが進んでいると思いますけども、それでもまだきっと増えるということでしょうね。

中山 そうですね。

スタッフとの一体感が「新しいことをやる」ための動機付けに

大坪 中山さんご自身がこの仕組みでビジネスを展開する上で、経営者としての幸福というか、チームとしての幸福についても発見があったかと思いますが……。

中山 自分が創った会社でずっと自分1人で営業してサービスも提供していく中で、初めて〝嬉しいな〟と思ったことがあっったんです……。ある時うちの在宅スタッフが、セミナー開催の際に会場に来て電話対応をしてくれて……。

大坪 セミナーの時は、在宅の方とは基本的にオンラインでやり取りするんですよね?

中山 ええ。でも、リアルで来てもらえるスタッフもいます。その会場で「今日は行けなくなりました」とか、問い合わせとかの電話に対応するスタッフの様子を見て、「自分の会社の社名を名乗って対応してくれてる」っていうことが、当たり前ですけど、それを見た時にすごく新鮮だったんですね。

大坪 ああ、その気持ちわかりますね。わかる、わかる。

中山 これって何かというと、「あ、これってひとつの同じ会社という、家族のようなもの」……でも家族とはちょっと違う「法人としての新しい家族のようなかたち」というものが見えたんです。

大坪 なるほど。

中山 すごく一体感というものを感じたんですね。今まで1人でやってきた。1人の方が気楽でいいっていうふうに思っていた……でも、そうではない。自分1人ではやはり限界があって、スタッフとお互い支え合うことで、やっぱりお互いプラスになっているわけです。
それがわかったときに、〝新しい充実感〟って言うんでしょうか……なんかすごく心が満たされていくような感じがしたんです。子どもが生まれた時の喜びのような……それに近いものを感じたんですね。

大坪 なるほど、なるほど。

中山 そういうことを感じるのって、1人でやっている方こそ、実は潜在的に可能性を持ってらっしゃると思いますし、それに気付いた時に、自分1人じゃなくてチームをまとめて、より1人の限界を超えた大きなことをやっていこうという動機付けに繋がっていくんじゃないかと思うんですね。

最後に

もしあなたが今、1人社長か個人事業主ならば、この働き方……バーチャルスタッフの活用というものを、ぜひ考えていただきたいですよね。
まずは業務分析ですよね。1ヶ月単位で自分が何の仕事をしているかということを挙げて、分類して、それらにどれだけ時間を使っているかというのを、ぜひ記録していただきたいです。そして、それらの仕事が「自分がやらなきゃ絶対ダメなのか? 他の人はやれないのか?」ということを分析します。これをすることによってあなたは、もっと幸せになれる可能性があるというわけですね。
大体月平均で100時間程度の業務時間を手放す。手放して、年商を大幅に上げた方が、中山さんの周りには大勢いるんです。ぜひ、こんなスタイルを、あなたも検討していただければと思います。

大坪 勇二

この記事を書いた人

【仕事のプロを育てるプロ】 コンテンツプロデューサー。人脈術と交渉術の専門家。

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