プロデューサーの返事が一転しスポンサーが激怒…TV番組制作営業マンの失敗談。

営業マンの体験談

プロデューサーの返事が一転しスポンサーが激怒…TV番組制作営業マンの失敗談。

私は新卒で就職した会社が地方のテレビ番組の制作会社でした。配属は営業部で仕事の中心は7割方が営業でしたが、営業以外にもCM作りのスタッフとして駆り出されたり、着ぐるみに入れられたりなど、色々なことを経験しました。
入社前、就職活動中に労働条件の休日欄に完全週休二日制、祝日休みとあったのですが、土日は何かとイベントがあり、手伝いやお客さんの接待、番組の収録等々で実質月の休みは3日ほどでした。休日手当は無かったのですが、その代わりに代休が貰えるという仕組みでした。私は3年間、ここの会社で働いたのですが、辞める頃、約3カ月分の代休が溜まっていたので、この3カ月を消化し終わる頃に退職日を設定して受理されました。

営業に関わらず、マスコミ関係に携わる人は休日に関しては求人票を疑り深く見て、面接時に確認を取らなければ正確な情報は出てこないと思います。私の知るかぎり、この業界で週休二日は総務部以外、聞いたことがありません。ヤリガイを本当に心の底から感じる場合のみ就職してもいいかもしれません。休日で文句を言おうものなら、「代わりはいくらでもいる」と言われるのがオチです、私の場合もそうですし、他の同業の社員も同じようなことを言われています。
年収は新卒で20万円でしたがボーナスが年に100万円貰えたので、この年の平均よりも給料は良かったと思います。ただ、精神的に色々とすり減らしましたが。私がなぜ、この会社の営業部に就職したかというとマスコミ系という華やかさ、地方とは言え地元では知名度があったこと、それと制作部や総務部より営業部が給料が良かったこと、この3点です。

希望が叶い、入りたかった会社の希望の部署に配属された私は言い渡される売上目標金額の遥か上をいってやろう、という野心で満々でした。最初のうちは先輩について営業のノウハウを学び、2カ月ほど経つ頃、独り立ちします。最初は飛び込み営業中心で、追い返されることが前提で営業を掛けましたが、知名度のある会社だったため、邪険には扱われませんでした。飛び込み営業は数をこなすうちに引き際、粘るべきタイミング、打たれ強さなど、自分の営業マンとしての様々なパラメーターが上がったと思います。精神的にあまり落ち込まない、という人はまずは飛び込みで鍛えるのが営業マンとして成長する一番の近道のような気がします。

そういう飛び込みの中でも友情が芽生えるまでになったお客様も出来ました。仕事を越え、友人にまでなれたのは嬉しかったです。仕事を辞めたあとも友人関係は続きます。営業を取るまでは数と経験を積んで、ヘコたれなければ成績は少しずつ上がっていくかと思います。問題はそのあとです。商品を買ってもらったあとのフォロー次第で今後の定着客になるかが決まるので、営業を掛けるときよりも慎重に事に当たりましょう。私はここの部分をおろそかにしたために、大切なお客様の信頼を失いかけました。

ある番組の提供スポンサーを紹介するところでお客様の会社のロゴを使うことになっていて、「色も指定できるか」を問われ、制作責任者であるプロデューサーに問い合わせ、色は指定できるとのことだったので、その旨お客様に伝えました。いざ番組の制作がスタートし、完成品をチェックしたところで、私のお客様の会社ロゴに指定した色が付けられていませんでした。そこで制作にクレームを付けたのですが、皆白色で統一してるんだから例外は認められないとのことで、その点をお客様に説明にあがりました。指定できるとの回答をくれたプロデューサーは「そんなこと言った覚えはない」とのこと。お客様は激怒され、私はひたすらその逆鱗を身に浴び続け、後日上司がフォローに回って、なんとかスポンサー料はいただくことができました。

複数人で制作にあたるような物を作っている場合、意思決定はだれにあるのか、はっきり認識しておく必要があります。私もはっきりしているつもりでしたが、営業の上司からは仕方のないケースだから落ち込むな、と励まされました。営業では頼れる上司が居るととても心強いです。もし営業に配属されたならば、上司なり同僚なりでフォローしてもらえる人を探しましょう。失敗は必ずとまでは言いませんが、往々にしてあると思います。助けあいましょう。これからは人口が減少し、高齢化社会を本格的に迎えるので、どの企業も売上は減少していくでしょう。その現実をちゃんと見た目標設定が出来る会社であれば営業に就く、今就いている人は続けるのもいいかもしれません。しかし、現実を見ない夢のような売上目標を掲げるところ、なんでも精神力のせいにするところ、やたらと標語が書いてあるところなどはそのうち沈むと思うので早めに次の身の振り方を考えておきましょう。やり直すには若ければ若いほどいいです。とくに精神論で語るところは要注意です。具体的で現実をちゃんと見る会社を選びましょう。