ハローワークで保険の営業をしていた外交員たち…30代男性の体験談。

営業マンの体験談

ハローワークで保険の営業をしていた外交員たち…30代男性の体験談。

私が30代の頃、派遣社員をして福岡県に住んでいた時の話です。いくつかの会社に登録して、短期の仕事から長期の仕事まで、色々請け負って働いていました。しかし派遣だけでは、なかなか安定しないのも事実です。そのため、できたら正社員にと思い、仕事を見つけるためにハローワークに通っていました。

ある時ハローワークの出口に、40代から50代と思しき女性、少々身なりは派手ですが、近所のおばさんといった女性たちが3人ほど固まって、中を覗いているのに気がつきました。求職だったら、中に入ればいいのにと思っていたのですが、どうやらそうでもなさそうです。あるいは、仕事を探しに来ている人の連れかとも思いましたが、その場合も中には入れるはずです。気になったので、その人たちをそれとなく見ていたら、ハローワークを出て行った人たちに、何やら声をかけているようです。そして私も声をかけられました。相手は生命保険の営業員で、名刺を見せて、ちょっとお話しませんかといわれたので、悪いけれど興味がないと断りました。それでも向こうはしつこく誘いかけて来ます。いざという時のために、入っておいた方がいいといわれ、うち一人が腕をつかもうとしますので、やめてくださいと言って振りほどきました。しかし相手も強者で、なかなかひるむ様子がありません。とりあえず話でも聞いてくれないかと言うのですが、私はあまり応じる気になれませんでしたので、無視して歩き出しました。すると今度は、ハローワークに来ているのなら仕事がないのでしょう、うちに来ませんかなどといわれたので、保険の外交員だけはなりたくありませんと言い、その後は完全に無視しました。相手もそこでやっと諦めたようで、また別の人に声をかけていたようです。営業実績を上げたいのだろうなと思いましたが、やり方が何だかあざといようにも思いました。

実はその後、仕事が入ったために、ハローワーク通いをお休みして、1年くらい勤めていました。ハローワーク通いもご無沙汰していて、その仕事が終わる頃、再び通い始めました。あの外交員の人たちはまだいいるかなと思って、ハローワークに着いたところ、入り口に張り紙があって、保険外交員に注意する旨が書かれていました。どうやらあの勧誘で迷惑した人たちが、少なからずいたようです。その後数回ハローワークに行きましたが、外交員の人たちを見ることはありませんでした。

保険営業というのは、確かに成績を上げるのも大事ではありますが、だからといって必要としていない、考えていない人たちに無理に加入させるものではありません。実際そういう人は、加入してもすぐ解約することもあり、結局会社のためにならないことも多いのです。また勧誘も、一人で来ていて、もう少し丁寧な口調で話しかけるのであればまだしも、半ばタメ口のようにして、あなたちょっと話聞いてみないといった感じで押しまくられては、いくらいい保険であっても、乗り気がしなくなるのも事実です。それ以前に、この会社はどのような社員教育をしているのか、そちらの方が気になってしまいます。さらに、今は保険の無料相談も充実しています。特定の保険会社に相談すると、どうしてもそこの商品に加入せざるをえなくなるようで、中立的な立場から保険を選びたいという人もいます。そのような時代にあって、この手の保険の営業は、どうも逆効果ではないのかと考えてしまいます。むろん、中にはこういう形で勧誘されて、話をしているうちにその気になり、加入してしまうという人もいるでしょう。しかし、すべての人がそうではないのです。勧誘がしつこくて、二度とその会社の商品には入らないと決めた人もいます。せめて、今後加入するであろう人々が、不快に思わないセールスを心がけていただきたい、保険会社にはそのように望んでいます。