初めの自己紹介で全てが決まる? 見込み客の心を掴む自己紹介の仕方

「保険の営業をしています」このような一言で自己紹介、名刺交換を行っていませんか? これでは「保険売りつけられるかもしれない」と見込み客のガードが固くなる一方です。見込み客を自分の顧客にするには「信頼関係」が欠かせません。

第一印象が悪いとそこから挽回するのはほぼ「不可能」と言ってもよいほど挽回は難しいのです。そのようなことにならないよう「相手の心を掴む自己紹介の方法」を学んで実践しましょう。

◎自己紹介「軽く」見ていませんか?

保険の営業マンであれば、様々な場面で自己紹介する機会があると思います。自己紹介は次のアポを取り、契約につなげていくために非常に重要なものです。しかし、毎日顧客に会っているため、自己紹介が疎かになったり、パターン化してしまったりしていませんか?

自己紹介する時は、お客様と初めて会う機会であり、そこで第一印象が形成されます。ビジネスにおいて、第一印象はその後の取引を左右するとても大切なものです。もし自己紹介の時に、ネガティブな印象を抱かれてしまったら、あなたの言動や行動はネガティブに捉えられる可能性があります。また、ネガティブな印象を払拭するには、かなりの時間とエネルギーが必要となります。逆に、良い印象を持ってもらうことができれば、会ってもらえる機会を作ってもらったり、人を紹介してもらえたりするなど、契約を取る可能性が広がっていきます。このように、自己紹介の時に良い印象を抱いてもらうことは、営業活動において欠かせないことなのです。

それでは、お客様に良い印象を抱いてもらう自己紹介とはどのようなものでしょうか? 最初に考えるべきものは外面です。心理学者のアルバート・メラビアンは「メラビアンの法則」というものを提唱しました。メラビアンの法則では、第一印象に影響を与える要素を、視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%としています。つまり、話している内容よりも、外見と声のトーンで9割以上の印象が決まってしまうということです。清潔感のある身だしなみ、笑顔と明るい表情を心がけ、相手にとって心地よい声のトーンを意識しましょう。

続いて、自己紹介の内容ですが、他の営業マンと同じような自己紹介をしていては、お客様の印象に残ることはありません。特に、保険業界は、商品を他社と差別化するのが難しい業界です。そのため、商品で差別化するのではなく、自分自身を差別化する必要があります。単に「保険の営業をしています」ではなく、「私は保険の営業をしているこのような人間で、お客様にこのようなお手伝いができます」という風にして、他の営業マンにはない自分だけの特徴を伝えることがポイントです。

◎意外と効果的プレゼント作戦

営業マンにとって、お客様との信頼関係を構築することは大切です。信頼関係を構築する一つの方法として、プレゼントを贈るというものがあります。最近では用いられることが少ない手法ですが、意外と効果があります。

誰でも誕生日などの記念日にプレゼントをもらうと嬉しいものです。高価なプレゼントでなくても、ちょっとしたプレゼントを贈ることで、お客様のことを大切にしているという気持ちを伝えることができます。

社会心理学の名著「影響力の武器」という本をご存じでしょうか? この本は、人がどのように説得され、望まれた行動を取るかについて、心理的側面から解き明かしています。本書の中で、人を動かし望む結果を手に入れる法則の一つとして、「返報性の原理」が紹介されています。「返報性の原理」とは、人は何かしらの施しを受けた時、返したい気持ちを持つというものです。

気持ち程度のプレゼントであっても、プレゼントを贈り続けることで、お客様の中に何か返したいという気持ちが生じます。契約につながったり、新たなお客様を紹介してくれたり、思わぬビジネスチャンスを掴める可能性があります。

◎プロフィールだけで「売れる」

プロフィールとは、あなたがどのような人物で、顧客に対して何が提供できるのかを簡潔にまとめたものです。一般的には、出身地や学歴などの基本情報、経歴や実績など仕事に関する情報、趣味などについて記載します。

プロフィールは簡潔でわかりやすく書くことが求められますが、他者と同じようなプロフィールであればお客様の記憶には残りません。自己紹介と同じように、いかに他者と差別化するかがポイントになります。

では、他者と差別化することができるプロフィールとはどのようなものでしょうか? それはあなたの人間性を伝えることができるプロフィールです。例えば、○○年〇〇月にこれだけの売上を上げたと書かれていても、読み手の記憶に残ることはありません。しかし、自分はお客様に対して一生懸命で、どのお客様にも誠実に対応することで売上を上げたといった魅力が盛り込まれていると、お客様にあなたの人間性を伝えることができます。

◎信頼構築の第一歩「自己開示」

営業マンはお客様と信頼関係を築くことが必要ですが、お客様の信頼を得るにはどうすればよいでしょうか? それは自分のことをよく知ってもらうということです。そもそも、相手のことをよく知らないのに、その人から商品を買うことはありませんよね。

自分のことを知ってもらうには、自己開示が有効です。自己開示とは、自分に関する情報について、相手に伝えるということです。営業で自社のことや商品のことばかり説明していると、あなた自身のことは伝わりません。しかし、自己開示によって、プライベートや趣味、性格や家族について知ってもらうと、相手はあなたに対して親近感を抱きます。

親近感を抱いてもらえると、お客様はいろいろと話をしてくれるようになります。ビジネスを進める上で、顧客のニーズや課題を知ることは重要ですが、自分のことを理解してくれるかどうかわからない人に、誰も心の内を話そうとは思いません。この人には安心して話せる、この人ならわかってもらえると思ってもらうためには、自己開示をして自分のことをよく知ってもらうことが大切です。

◎あなただけのストーリーが効果的

自己紹介や自己開示は自分のことを相手に伝えるということですが、その際に効果的なのが「ストーリー」です。ストーリー形式で自分のことを伝えると、聞き手が自分のことのように感じ、共感してもらいやすくなります。

ストーリー形式で物事を伝える手法を「ストーリーテリング」といいます。ストーリーテリングは体験談やエピソード等の物語を用いることで、相手に強い印象を与えることができるため、ビジネスでも使用されることが増えてきています。

自己紹介をストーリー形式で行うというと、難しく感じるかもしれませんが、ストーリーには型があります。それは「問題発生」→「挫折を乗り越える」→「成長」という型です。小説や映画でも失敗を克服して成長していく人間の姿が描かれることが多く、それは「問題発生」→「挫折を乗り越える」→「成長」という型に沿っています。挫折を乗り越えて、成長していく人間の姿には共感をおぼえやすいのです。

これを自己紹介に応用し、営業の仕事を始めた頃からスタートし、仕事上で遭遇した問題、その問題をどのようにして乗り越え、どのように成長したかについて、ストーリー形式で組み立ててみましょう。なぜあなたは保険の営業をしているのか、一本筋の通ったストーリーに仕上げることで、共感しやすく印象に残る自己紹介をすることができます。

【まとめ】

さて、今回は自己紹介やプロフィール、自己開示について解説してきました。営業マンであれば、自己紹介する機会は多いと思いますが、自己紹介の良し悪しによって営業成績が左右されるといっても過言ではありません。常日頃行うものだからこそ、しっかりと準備して、自分の人柄が伝わるようなものを用意しておきましょう。

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この記事を書いた人

【コンテンツプロデューサー】