(素材提供 株式会社タネノチカラ) 写真:「共創循環型ファームビレッジ“Seedbed”」完成予定図
近年、企業の取り組みとして世界的に注目される「SDGs」。これを機に、同じく注目を集める「持続可能な社会」を体現している企業があります。今回はその企業に訪問した筆者が体感した、持続可能な社会に向けて「行動する」重要性についてレポートします!
(素材提供 株式会社タネノチカラ) 写真:アースバックハウス
兵庫県、淡路島。「国生みの神話」など数々の歴史があることでも知られるこの島に、共生社会を作り、その価値を発信する活動を行う企業があります。その名も「タネノチカラ」。彼らが取り組むのは農業ではなく、”農”。
「みんなで作ってみんなで食べるという、農を前提とした持続可能な社会を作る」ということ。
5年後には800種類の野菜と200種類の雑草や虫、合わせて1,000種の動植物が共生する場所を作ることを目標にしています。
昨年、立ち上がったこの事業は、約3haの耕作放棄地を様々な方の協力のもと開墾し、会社内外の人々が「共創」するというコンセプトで進んでおり、筆者も月に一度足を運び関わっています。
畑でひときわ目立つ可愛らしい建物は「アースバッグハウス」と呼ばれる、土と砂利と石灰で作られたもの。熊本地震が起きた際、県内にあったアースバッグハウスは倒壊することがなく、その驚くべき強度でも注目を集めています。2019年3月に着工した第一棟の建設には国内外から60人超が集まり、「持続可能な社会の体現」というテーマに対する世界での注目の高さも伺えます。
農作業のお手伝いをしようと畑にお邪魔し、目に入った雑草を抜こうとしたときのこと。
「それ!抜かないでそのままにしておいて」
と社員の方にご指摘を受け、驚いて畑全体を見渡すとそこにはたくさんの雑草が。
実は「雑草」と言っても、すべてに役割があり、野菜にとって必要な雑草も多くあるとのこと。そして、その土壌で役割が終えた雑草は、自然と消えていくそう。
自分が消えていく場所を作りながら、他の植物が多様に生きられる環境を整える雑草に、自然界の儚さと愛情が感じられる気がします。
無農薬、無肥料で栽培を行うこの畑では多くの種類の植物や虫が生息しています。その一つひとつに役割がありそれぞれが存在して初めて社会が成り立つとのこと。
農作業をお手伝いし、「共生」の現場を目にすることで、日頃ニュースで取りざたされている地球環境の問題を身近に感じました。また、循環型社会に生きている自覚に欠けたまま、自然環境を破壊しながら生活している現状に危機感を抱かざるを得ませんでした。
「とはいえSDGsを知っても自分1人じゃ何も変わらない…」
ということはもちろんありません。
必要なのは「体験」すること。例えば、無農薬・無肥料の野菜とスーパーで出回っている野菜を食べ比べ、どんなに味が違うのか体験してみたり、イベントなどを通じて自然の循環に触れたり。
文字で見ただけではなかなか行動に移せない人も多いはず。
でも、初めは1人の力でもその想いに共感してムーブメントが起き、社会が変わる。社会が変わるきっかけは意外と些細なこと、1人の少しの変化だと筆者は考えています。
持続可能な社会を作って行くために「文字ではなく体験」で実感することが大切だと感じた今回の訪問。
頭で理解するのと体験するのとではその後の行動に比較できないほどの差が出ます。筆者は、今回の体験をした結果、日本や世界が置かれている状況の深刻さを目の当たりにし、SDGsや持続可能な社会に向けたムーブメントを加速させるために「投資家」「求職者」「企業」の3つに対した啓蒙活動を行う事業を立ち上げようと考えています。
上手く行くかどうか悩むよりもまず行動。このメディアがテーマとしている「ストスマ」な生き方を筆者自身も体現していきます。
日本、世界がおかれている状況を一人一人が「自分ごと」として考えることでSDGsの達成をみんなの力で成し遂げたいものです。
【文責:編集部】