SDGsと「経営」の関係を考える!
今ビジネス界で話題の「SDGs=Sustainable Development Goals」。でも、企業がSDGsに取り組むことによって、どのような恩恵が得られるのだろうか……。すべての経営者が知っておきたいSDGsのメリットとは!
(徳本昌大氏のブログ「毎日90秒でワクワクな人生をつくる」掲載文を再編集)
SDGsは世界全体の目標なので、一見すると自分にはあまり関係しそうもないような目標に見えるかもしれません。しかしSDGsの達成に向けて、「あなた自身や身の回りのこと」にいかに引き付けて考えられるかが大切だと思います。(村上芽、渡辺珠子)
SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで採択された「持続可能で多様性と包摂性のある社会実現のため、2030年を年限とする17の国際目標」のことです。SDGsを国連が決めた目標だと捉えるとなかなか行動を起こせません。SDGsを実践することで、世の中をよりよくできると考え、自分ごと化しましょう。地球で生きる私たちは、もっと積極的にSDGsを意識し、経営に取り入れるべきです。
『SDGs入門』では、経営者がSDGsを自分ごと化することで、次の3つのメリットを享受できることがわかります。
①新事業開発や既存事業の拡大につながる
②新たな人材獲得のための武器になる
③コミュニケーションツールとして有効
新事業開発や既存事業の拡大につなげることで、利益を増やす原動力になります。SDGsで企業のブランド価値を高めることで、若い世代の採用も可能になります。
SDGsに貢献するような事業で利益を生み出す企業になれれば、環境や社会的課題への関心が高い人、仕事を通じた社会への貢献意欲の強い人、長期的な豊かさを望む人、国際的に通用する仕事をしたい人などからの関心を得られるかもしれません。
SDGsは国際的に共通の目標ですから、世界中どこに行っても通用します。SDGsを活用し、製品や経営戦略の説明をすることで、日本だけでなくグロバール企業との関係も作れます。
またSDGsは全世界共通の人類の豊かさのための目標ですから、これに興味があると言っても誰からも批判されません。経営者がSDGsを企業目標に取り入れても、メリットしかないのですから、すぐに実践した方がよさそうです。
そしてSDGsの目標年は2030年ですから、焦らずに取り組めるのも経営者には嬉しい限りです。SDGsを意識し、長期、中期、短期の視点を持つことで、様々なチャレンジができるようになります。
SDGsのゴールや夕ーゲットに書かれていることをもとに、「これを目指しているということは、逆に言うと、こういうことがまずいと思われているのだな」という思考回路で「つぶしておくべきこと」を見つけることができます。SDGsから新規事業開発のヒントにするというのが「やること」リストだとすれば、こちらは「やらないこと」リスト作りになります。これをやっていくと、企業としての事業リスクを減らすことにもつながり、収益に貢献するでしょう。
SDGsにおいても、「やることリスト」「やらないことリスト」を作ることが重要です。例えば、風力発電所の場合、「地元にとっての悪影響を最小限にする」行動が求められます。まずは、反対者との関係をよくすることを考え、彼らの意見を傾聴します。
地元にとっての悪影響を考える際、「森林伐採を必要以上にしていないか」「地元の住民の健康被害がないか(騒音等)」「建設予定地に、希少な動植物はいないか」などを検討します。SDGsは、こうした「やらないこと」リストを検討する際に、他者視点で物を見ることで、アイデアの幅が広がります。環境を意識し、地域に貢献するうちに、事業を応援してくれる人が増えていきます。SDGsを実践することで、会社のファンを増やせるようになるのです。
SDGsを実践するうちに、社会に貢献できることが増え、会社の評判がよくなります。他者とのWin-Winを作れる会社を作ることで、会社によい人材が集まります。特に「ミレニアル世代」や「Z世代」と呼ばれる、2019年時点で38歳以下の世代は、環境や社会問題への知識が豊富で、かつ関心が高い人が多いですから、SDGsによって若い優秀な人材と出会えるようになります。
若い世代では転職は珍しいことではなく、彼らは知識と経験を積むうちに、自分の働き場所を見極めていきます。20代前半の世代にとっては、SDGsの目標年である2030年は、30代の働き盛りになります。彼らにとって、2030年に目標を置くことは決して長期目標ではなく、すぐ先にある自分の未来と重なります。
2019年時点での15歳は、2030年には26歳、2050年には46歳、2100年でも96歳です。21世紀をまるごと生きていく世代にとって、SDGs達成は生存要件のようなものだからです。
若い世代とよい関係を作り、素晴らしい職場を作るためにも、経営者はSDGsを会社の目標に取り入れるべきです。会社や経営者に「自分たちの未来への共感があるかどうか」の姿勢を示せる企業だけが、人材獲得と人材定着の勝ち組になれるのです。
企業が社外のステークホルダーと持続可能性について話す時にも、SDGsは効果を発揮します。SDGsをきっかけにクライアントやパートナーとの関係をよりよくできます。社会に貢献しようという意思を具体的に示すことで、周りに人が集まり、コミュニケーションも活性化します。
経営者が「SDGsに本業で貢献しよう」と動き始めることで、今まで停滞しがちだった環境配慮製品等の開発や、ブランド戦略、リクルート対策が動き始めます。SDGsを取り入れることで、会社のブランド価値を高めるだけでなく、社員や顧客、パートナーとの関係を改善できるのです。
複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。
サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
https://tokumoto.jp/