最近、「ディープテック」という言葉がIT業界の方々の注目を集めています。ディープテックとは、そもそも何なのでしょうか? ディープテックは、日本に、そして世界にどんな影響を与えていくのでしょうか?
コンサルタントの佐藤隆之氏によれば、ディープテックとは「科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」のことと定義付けられています。
技術の力で世界の大きな課題を解決していくということですね。
一見難しいことのように感じますが、人類の歴史は、ほぼずっとこれです。
狩猟生活時代、確実に獲物を狩って食料を確保するために石器を作ったり。
夜も明るく過ごせるように電気ができたり。
遠くの人とも話せるように電話ができたり。
“世界”や“科学”、“技術”、“大きな課題”の定義はそれぞれの時代によって異なりますが、「不便だなぁ」とか「もっとこうなれば良いのに」ということを解消・解決し続けて人類は発展してきたわけですから、特段ディープテックが新しいことというわけではありませんね。
生命科学こそ最高の経営指南書である~枯れた技術・眠れる技術を新興国発で活かし日本再建
”あとがき”の一節が腑に落ちた。
「私は経営者だが、いわゆる経営書を読んだことがほとんどない。私にとっての経営の教科書は生命科学の書であった」
「生命科学とは、可能な限りエネルギーを使わず、うまくリサイクルしながら状態を維持していくことで完全な循環型を作っていくこと」
持てる資源の最高の効率活用を説くのが経営学や経済学の要諦だと思うが、それを生まれた時から実践しているのが、実は、われわれ生物そのものなのである。
「いかに維持され、拡張していくのか」という”生命の本質”こそが今後の企業経営にも問われる。
そこに立ち返ることに今世紀以降の未来を切り開いていくカギがある。そして”枯れた”と思われる日本にこそ大きなチャンスが訪れていることも実感できる。
本書では以下のような側面を持ったものをディープテックと言っているようだ
・社会的インパクトが大きく
・根本的な研究開発が必要とされ
・相当な資本投入が必要で
・社会的地球環境的な課題解決の在り方を変えるもの
課題の宝庫である東南アジア。無電力地域、洪水・冠水、置き去りにされる障がい者、水不足、過酷な地域での高齢化する食糧生産、大量廃棄問題等々。
これらの課題に果敢に立ち向かう起業家がどんどん登場している。しかし、彼らをもってしまって最後のソリューション提供に苦戦している。
そこに日本の「眠れる技術」「枯れた技術」が結びつくことによって課題は解決へと向かう。そんな事例が本書たくさん紹介されている。皆さんの周りにもそういう事例はあふれているはずだ。
「枯れた技術」「眠れる技術」を東南アジアを筆頭に新興国で活かしていくには以下のような視点が不可欠となってくる
- 自分たちの常識を捨てる
日本の素材メーカーや製鉄会社やポンプメーカー、町工場が持つ技術がその用途を変えるだけで、多くの人や環境を救う課題解決となると同時に、巨大な事業機会をもたらす事例は本書に枚挙に暇がない。今後もっとたくさん出てくるだろう。
しかし、「ブラウン管製造技術はテレビにしか活かせない」と開発者・研究者が視野を狭めてしまうと、液晶技術にせん滅される未来しか残っていない。
日本が持つ技術、蓄積された知恵に立ち返れば、チャンスが多く見えてくるだろう。
- 短期的な収益を負わない、しかし、長期にだけこだわらない
新興国の深刻な課題に直面したときに我々日本人は「すぐには売り上げにならない、儲からない。」と多くの場合思うに違いない。しかし、そんな環境で課題解決を目指す地元起業家の情熱に90年代の世界的成功者の長期的な投資が結びつきつつある昨今、そこに賭ける意義は今までとは違ってきていると思う。それに日本には「眠れる資金」もたくさんある。これらが動き始めている。
だからといって「いつかできればいいね」という視点だけでなく、「長期的解決のために今は何ができるのか」というイメージ蓄積も重要である。イケている最新技術やこれから生まれる革新技術も素晴らしいが、既存の、いや「忘れさられ、枯れた」と思われている技術にこそ「再利用して輝く技術になる」チャンスがあるかもしれない。「100分の1の才能を4つ掛け合わせることで一億人に一人の人材になれ、5つ掛け合わせれば世界人類で一人しかない人材になれる」という話がよくあるが、「枯れた技術」にも同じ可能性がある。
「枯れた技術」をかけわせることで全く新しい製品やサービスなれる。その代表例が爆発的に世界にひろがり、われわれの生活を一変させ、たくさんの事業機会を生み出し続けるスマートフォンである。日本の各地の中小企業に、地方大学の研究室に、たくさんの「宝」が眠っている。
それらを世界の課題解決仕様にちょっとだけチューンアップして、眠れるお金とセットで、課題にあふれる新興国に向かわせるだけで、それは課題解決とビジネス機会と日本を立て直す資源として生まれ変わる。これから今までの西洋的思想の経営や経済運営だけでやっていくと今の地球環境はもたない。
循環型経営という、事業が生み出す副産物を余すところなくリサイクルして事業を回し続けていくという、古来、日本が得意としてきて考え方を、経営に活かすべき時である。もちろん、その過程もどんどんデジタル化されていくとは思うが。こちらも元気が出る本です。
引用:田村耕太郎さんのフェイスブック投稿より
投稿のもととなっている書籍はこの『ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』 丸幸弘+尾原和啓 著です。
ちなみにビジネス+ITというサイトでは、ディープテックにおける注目の13分野として、
・人工知能、機械学習、ロボット
・3Dプリンター
・自動運転、空飛ぶクルマ
・宇宙飛行、月面探査
・クリーン電力、代替エネルギー
・ゲノム編集、寿命延長技術
・埋め込み技術、人間拡張(ヒューマン・オーグメンテーション)
・IoT、センサー、ウェアラブル
・精密医療(プレシジョン・メディシン)
・ニューラルネットワーク
・量子コンピューティング
・ナノ・テクノロジー、合成生物学
・没入技術、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)
これらの分野が挙げられています。どれも、よくニュースで取り上げられる分野ですね。
別に、ディープテック企業だから優れているとか、ディープテック企業だから有望だとか、ディープテック企業になれば成功するとか、そういうわけではありません。
最近は、SDGsなどで注目されているように“持続可能性”がキーワードになっています。
いかに続けるか?
会社であれば、「どう生き残り続けるか」ですね。
私は、まずは知ることが大切と思います。
足るを知るという言葉がありますが、私たちの生きている社会の富のストックはすでに充分です。
お金よりも時間を重視する人が増えてきていますし、必死に働かなくとも良いはずです。
ただ、すでに充分な富のストックがあることに気づきにくいのでしょうね。
「常に何かを生産し続けないと不安」
という心理が背景にはあるのではないかと思います。
新しいものを生み出すことばかりに注力しないで、すでにあるものに眼差しを向け、向き合ってみれば良いのかもしれませんね。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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