2025年には3人に1人が65歳以上になるという深刻な少子高齢化が進む日本。労働人口の減少と年金を受け取る高齢者の増加で、老後に受け取る年金の額やもらえる年齢の引き上げが生じることが予想されます。老後にかかる費用は、持ち家で月14万6千円(平成29年度総務省家計調査)。一方年金の収入も月14万6千円(平成28年度厚生労働省厚生年金保険・国民年金事業の概況)になっています。つまり生活は非常に苦しくなってしまいます。
そこで今回は働いているうちにできる様々な貯蓄方法や、貯蓄以外の老後に向けたお金を貯める方法をご紹介いたします。
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日本では、医療の進歩や介護施設の充実などによって平均寿命が年々伸びており、世界でもトップクラスです。2018年時点では男性で約80歳、女性は約86歳となっています。今後も平均寿命は伸び続けることが予想されます。
今後、人生100年時代に突入すると老後に一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
例えば60歳に退職をして、持ち家で返済はすでに終了している場合で考えてみましょう。
生活費は月14万6千円で計算します。デイサービスを月2万円と想定し、10年間利用したとします。趣味には月3万円、医療費には年間25万円(平成14年度厚生労働省統計より)あてるとします。すると定年後に総額で「約1億円弱」かかることになります。
家の返済がまだだったり賃貸の場合はこの金額よりもさらに上回ります。年金をもらっていても、年金だけでは貯金を切り崩して生活をしなければなりません。
まず一番最初に思いつく老後資金の準備方法としては働いているうちに貯金をすることです。例えば40歳から月に5万円貯金できれば、60歳には1200万円貯めることができます。主に銀行口座に貯蓄すると思いますが、金利が大手銀行で年0.01%程度しかありません。すると、1200万円預けていても利息はわずか年間1200円しかもらえません。
銀行に預けることは、株やFXのように元本割れすることはありませんが、金額が増えることもほとんどありません。30年ほど前は1億円銀行に預けていれば利息だけで生活していける(当時の金利約3%)と言われていましたが、今はそんな時代ではありません。
会社にお金を貯金できる、財形貯蓄制度がある会社も存在します。給料から天引きとなってはしまいますが、強制的に貯蓄ができるので貯めやすいです。また利息が元利合計550万円を超えない限り非課税であることも嬉しい点です。
退職金にはいくつか種類があります。
退職時に一括で支払われます。勤続年数や会社への貢献度、年齢などに金額が左右されます。
退職後に一定期間や生涯にわたり一定額が支払われる、年金に似たような制度です。確定給付年金や確定拠出年金制度、厚生年金などがこれにあたります。
毎月の給与やボーナスに上乗せされる、働いているうちに貰える前払い制度です。
20年以上勤務した場合の定年退職における平均退職給付額は平成25年に厚生労働省が発表したデータによれば大卒で約2000万円弱です。会社都合や自己都合の場合でも退職金はもらえますが、金額は定年退職にくらべて10%から20%ほど低くなっています。
イデコは端的に言うと個人で年金を運用する制度です。60歳まで一定額の金額を出してそのお金で投資信託や定期預金などの商品を選択して運用します。そして60歳以降に運用した資産を受け取るという制度です。
イデコには元本確保型商品と投資信託型商品の2種類があります。元本確保型商品は満期時(60歳)に受け取るときに元本を割ることがない商品を指します。つまり非常に安定した資産運用を行うことができます。その分利率は低く、保証利率は0.01~0.05%程度です。
投資信託型商品は元本を割る恐れがあります。株などと同じです。しかし月や年度によっても異なりますが高い利率を出すこともあります。比較的変動が小さいインデックス型(平均年率0.2%程度)と変動の大きいアクティブ型(平均年利1.5%程度)がありますが、他にもバランス型やREIT型などがあります。
イデコのメリットは運用益が非課税であることです。これによって所得税や住民税などの税金を減らすことができます。デメリットは自由に引き出すことができない点があげられます。
近年話題になっている仮想通貨を利用する方法です。仮想通貨は価格変動が非常に激しいため短期間で利益を上げようとすると、一瞬の価格変動に精神が摩耗したりハイリスクハイリターンの世界になってしまいます。
そこで、仮想通貨こそ積立を行い長期的に運用することがおすすめです。一時的に価格が安くなってしまい損をしてしまっても、利益がでるまで運用を続ければ良いのです。セキュリティの脆弱性によって様々な仮想通貨が流出してしまった事件もありましたが、それによって、金融庁の管理基準が強化されオフラインでの管理を含めたセキュリティ強化が実施されています。
長期運用のコツとしては高い時に少なく購入し、安い時に多く購入することです。毎月定額購入することをお勧めします。
株式の長期投資を行う時の1つの基準が配当金になります。そのためには配当利回りの高い株を対象にするといいでしょう。しかし利回りが高いということは配当金を減らしてしまう可能性も高いです。会社によっては利回りは低いものの、配当金を必ず減らさない株式も存在します。その場合は安定した収入が望めるでしょう。
配当金の受け取りできる基準についてはまず、権利確定日と権利付き最終日を理解することが重要です。権利確定日は、配当を受け取る権利が確定する日を指します。例えば10/1に配当の支給日と仮定すると、10/1時点で株主であれば配当金を受け取ることができます。つまり10/2に株式を手放しても配当を受け取る事ができます。
権利付き最終日は権利確定日の3営業日前と決まっています。その日までに株式を所有していないと配当が受け取ることができません。
個人年金とは、公的に払っている国民年金や企業に属しているともらえる厚生年金とは違います。個人年金保険は民間の保険会社の商品として運営されています。また将来に向けての個人での積立方式なので、将来確実に到来する少子高齢化などの影響は受けません。
種類は主に以下の3つに分けられます。
被保険者が死亡するまで一生涯年金が支払われ続けます。一方で早期に亡くなってしまった場合は受け取る金額は支払った保険料を下回る場合があります。保険料は比較的高い傾向にあります。
あらかじめ受け取る期間が決まっています。その期間に被保険者が亡くなってしまっても遺族の方が年金を受け取ることができます。そのため支払った保険料を下回ることは無いです。
受け取る期間が決まっていることは確定年金タイプと同様ですが、被保険者が亡くなってしまうと年金を受け取れなくなってしまいます。その分保険料が安いです。
外貨建て保険とは、保険料の支払いや受け取りが外貨ベースによって行われる保険です。
メリットとしては保険料が割安であることです。日本で販売されている保険と比べると割安ですが、これは金利差が原因です。日本は超低金利なため保険の運用が難しい状況ですが、海外は日本よりも金利が高い場合があるのでそのぶん安く抑えられます。また海外の通貨でやりとりするので資産の分散が可能です。
デメリットは円高になってしまった場合、受取額が減少してしまうほかに、手数料が契約者負担のため多くかかってしまうことが挙げられます。
老後資金準備の選択肢を増やし、人生100年時代を謳歌できるよう備えていきましょう!
【文責:編集部】