4月に入り「花粉症のピークもそろそろ終わりかな」とホッとしているそこのあなた。油断は大敵。花粉症のシーズンはまだまだ続きます。
「もう5月なのに…。ゴールデンウィークを過ぎても鼻がムズムズする。ティッシュが手放せない」という場合、それはもしかしたら「他の種類の花粉症」かもしれません。
今回は、花粉の時期を種類別にご紹介します。
アレルギー症状を引き起こす花粉の種類は多く、種類によって花粉を飛散させる時期や地域が異なるため、一年中日本のどこかで花粉が飛んでいるといっても過言ではありません。その中でも代表的なものをいくつかご説明しましょう。
初夏はカモガヤやハルガヤ、スズメノテッポウなどのイネ科の花粉が飛散します。それらの花粉は鼻のムズムズや目のかゆみといった症状のほか、呼吸困難やじんましんなどのアナフィラキシー症状を招く恐れがあります。また、同じイネ科である小麦に対して食物アレルギーを誘発する可能性もあるので要注意。カモガヤは河川敷や空き地などさまざまな場所に生えているため、散歩やジョギングの際はそのような場所を通るのは避けたほうがいいでしょう。
カバノキ科のハンノキやシラカンバの花粉のタンパク質は、リンゴやキウイなどの口腔アレルギー症候群を起こす果物のタンパク質と構造が似ています。そのため、口の中がかゆい、喉がつまるなどの症状が出ることも。外出時はマスクを装着し、口腔アレルギーを予防しましょう。
その他、ブナ科のコナラやクリ、イチョウ科のイチョウ、モクセイ科のオリーブなどの植物も春~夏にかけて花粉を飛散させます。
飛散量の多さでいえばやはりスギとヒノキ。このふたつは花粉症を引き起こす原因の代表格といっていいでしょう。スギ花粉は2月~4月下旬ごろまで、ヒノキ花粉は3月~5月ごろまで飛散します。
スギとヒノキの花粉飛散量がなぜ多いのか。それは戦争によって大量の木材が軍需物資や焼失した家屋の再建などに必要となり、スギやヒノキが造林に重宝されたことが考えられます。特にスギは成長が早いため、当時さかんに植林されました。しかし、1964年の木材輸入の全面自由化により価格の安い海外の木材が日本に入ってきたためスギやヒノキの需要は減少。木々は伐採されないまま放置されてしまいました。そしてスギが樹齢30年を、ヒノキが樹齢20年を越えて花粉を大量に飛散させるようになり、花粉症を起こす人が急増したのです。
特に都会では道路がアスファルト舗装されているところが多いため、花粉が土に吸収されず、車が通るたびに巻き上がってしまいます。しかもその花粉が車の排気ガスに結びつき、アレルゲンとなってくしゃみや鼻づまり、目のかゆみなどの症状を招いてしまうのです。
「秋も鼻がムズムズし、くしゃみが出る」という人は、ブタクサアレルギーの可能性があります。ブタクサはキク科の植物で、8月から飛散し始め9月にピークを迎えます。スギやヒノキと比べると飛散範囲は広くないものの、ブタクサの花粉はスギやヒノキと比べて小さく、吸い込んでしまうと肺炎や喘息を起こしてしまいかねません。咳が長引いてしまう人は「季節の変わり目だから風邪かもしれない」と思いこまず、しっかりマスクをして花粉から身体を守ることが大切です。
イネ科のススキやキク科のヨモギ、アサ科のカナムグラなどの植物も秋に花粉を飛ばし、アレルギー症状を誘発します。それらの植物が生えていそうな道端や河原などを通る場合はマスクや眼鏡でガードし、上着に付着した花粉をしっかり落としましょう。
「花粉の時期は春だけでない」ということがおわかりいただけたでしょうか?「咳やくしゃみがなかなか治らない」「目のかゆみがずっととれない」と思ったら、早めの花粉症対策を心がけてください。
【文責:編集部】