会社に勤める傍、月に一度東京、御茶ノ水エリアで「サードプレイス・ラボ」というイベントを開催する安斎氏。
今では「人生を主体的に生き、輝いている大人」が集まる第三の居場所となっています。
前回の記事に続き、安斎氏が「わからないことがありながらも行動した先に見えたもの」に迫ります。
安斎氏が見つめる未来から見える「ストスマ的な」生き方とはどのようなものなのでしょうか。
目次
──活動を続ける中で何か変化はありましたか?
安斎氏 はい、段々自分の中でやりたいことが少しずつクリアになっていきました。
私自身が、いろんなところで出会った人から面白いエピソードを聞くようになって、そこから得られるヒントなどをもとに、みんなで話を聴きながら、「学べるものっていろいろあるよね」と思いました。サードプレイス・ラボにゲストを呼ぶようになってから変わりましたね。
最初にお呼びしたのは、小林一行さんというダイエット本などを書かれている方だったのですが、内容はダイエットではなく、人生の波と言うか、あえて専門分野ではなく「その人自身」の話をしてもらおうと。
こういう人生の話って文章で残すとどうしても重くなっちゃうので、「イベントで楽しくやりましょうか」という展開になりました。
回を重ねるうちに「ゲストを呼ぶと自分も気づけるし、その方との接点が深まるし、面白いな」とワクワクして楽しめるようになって。
そのうちに、いろいろなつながりから人が集まるようになりました。その流れでサードプレイス・ラボの形もできてきましたね。
──サードプレイスはどんな役割を果たしているのでしょうか。
仕事、家庭だけではなく、人生のバランスを取る役割があると思います。
仕事上、人材業界を見ていて、メンタルが病んでしまった人をいっぱい見てきたのですが、仕事と家庭、どっちかが悪くなるとバランスが崩れて、病んでいってしまうのだと思いました。
それだったら、2点じゃなくて3点の方がトライアングルとして、しっかりバランスが取れた生き方ができるんじゃないかなと。
それって逃げ場じゃないのって言われても、「逃げ場でもいいんじゃない?」と答えますね。ただ、その3点目が大きくなり過ぎちゃうとおかしな人になっていくのですが。
この3点目って、趣味でもいいと思ってるし、ボランティアでもいいだろうし。
楽しんで夢中になってやれることに、一日の中なのか、一生の中にどれぐらい時間が使えるか。
それが、「生きてる」っていう感覚と言うか、それがサードプレイスの本質というか、コアな部分なのかな、と。
こういうものを持ってない人、本当みんな辛そうなんですよね。
仕事で成績が出ているのに、家庭が不幸せそうだとか、何かみんな不満を持っていて。
楽しくない人って周りにいませんか?つくづく、バランスは大切だと感じます。
──私は何事も「チャレンジ」が大事だと思っているんですけど、チャレンジって歳を重ねるにつれてハードルが高くなる印象があります
安斎氏 ちょっとした背伸びのチャレンジが、子どものときならいたずら半分でできたのに、大人になるとそれができなくなっちゃうんですね。
それが「仕方ない」とか、「お金がない」「時間がない」「自分には合わない」…「ないないないない」ってできない理由をつくって、納得をしようとする。それがすごく増えちゃったなって。
「でもなんかさ、楽しそうだよね」と思ったら、やってみればいいじゃないですか。
初心者コースで習って転びながらやったっていいじゃないですかって思うんです。
一緒にやれたなら体験してみて面白いし。やってる人に、「すごいなあ」って言いたいし。
やるかやらないか迷ってる人に、「やっちゃえばいいじゃん」って言えるような存在でありたいですね。
ただ恐怖を持っている人に、「恐怖をおっぱらえ」っていうのは正直言い切れなくて。
自分も怖かったし、今も怖いことも当然あるから。ただ、1回やったぐらいは誰も見てないし、ちょっと転んだぐらいは気にしなくていいと思うんです。
だって、みんな転んでいるし、「べつに失敗してもいいんじゃん、何事も経験だよ」っていうぐらいの軽い気持ちでまず一歩踏み出ることが大事でしょう。
残業しててもいいし、同僚と飲みに行くのもいいんだけど、それってなんか同じ池の中と言うか、同じ水槽の中のどこにいるのか……高いとこにいるか低いとこにいるかの違いだけで、同じ世界の中にいることは変わらない、外の世界を知らない。
だったら、ピョンと飛び出てみて、「あ、空は青いんだ」って気付く魚になった方が楽しいんじゃないかな。それぐらいの気持ちでいいと思っています。
そりゃ、魚に「空を飛べ」とは言わないですよ。それって無茶苦茶すぎるから。
ただ、水じゃない世界があるって知れるぐらいピョンと跳ねるぐらいは、ちょっとやってみてもいい。それで、水の中に潜ったときに、「水の外、面白いんだよ」って言える魚がいたら、面白いじゃないですか。
好きなことを我慢するとかやってみたいことやらないで人生終わるのはもったいないし。
知らないことがまだまだいっぱい世の中にあるんだなっていうことを、いくつになっても知っていることが、幸せなのかなと考えています。
──これから先の展望などありましたら教えてください
安斎氏 「サードプレイス」というとNPO団体、地域活動とかいろんなサードプレイスがあるなって思っていて。
そうなると、自分がいろんなサードプレイスを見つけてちゃんと繋げるような役割になれたら面白いかなと思っています。
──サードプレイス同士を繋げるっていうことですよね。
安斎氏 そうそう。何故ならば、地域とかその特定のところでやっていると、グルーピングがされてきて、ロックされてきて、段々縮小していって、なんとなく解散するみたいになってしまうことがいっぱいあると思うんですけど、そうではなくて、「ここにはこういう良さがあって、似たようなのがこっちにあって、それらを組み合わせる、コラボする」ことで新しい何かが生まれたら、きっと面白いのかなと思います。
──サードプレイス・ラボの魅力やサードプレイスの役割についてよく知ることができました。ありがとうございました。
実は筆者もこのイベントをきっかけにこのメディアを運営する会社に出会い、就職するというご縁をいただきました。
筆者が安斎氏に出会って一年半。サードプレイス・ラボで知り合った方々がイベント後もそれぞれ応援し合い、そこからご縁が繋がって世界が広がっていく、まさに人生を“拡張する”場所。
安斎氏は「わからないことがありながらも行動」をしたことで、やりたいことが少しずつクリアになっていったそう。
一歩目を踏み出すことはとても勇気がいるように感じてしまいますが、安斎氏のインタビューからその「一歩」はやりたいことを明確にする上でも大きな意味を持つのではないかと感じました。
これぞ実践を重ねて学びを得、価値を生み出していく「ストスマな生き方」そのものなのではないでしょうか。
「いくつになっても夢を追い続けるかっこいい大人になりたい」、将来に不安を抱えていた大学生の筆者にそんな夢を与えてくれたサードプレイス・ラボ、そして安斎氏の今後の飛躍に目が離せません。
【文責:編集部】