インターネットが普及して以来、距離の壁はほとんどなくなり、言葉さえ話せれば世界中のだれとでもコミュニケーションを取れるようになりました。
地域を超え、国境を超え、さまざまなコミュニティが生まれています。そんな超国家コミュニティの時代では、どんなことが大切になるのでしょうか。
多くの先進国は、成長社会から成熟社会に移行しています。
成長社会時代は、比較的画一的な価値観がみられます。例えば、「学歴重視」「エリート志向」「マイホーム購入」「高級車に乗り、高級ディナーを愉しむ」などのある種バブリーな価値観です。
しかし成熟社会では、価値観やライフスタイル、人生観もさまざま。多様化がますます進み、隣りの人の価値観を理解できないこともあるでしょう。
住まいにこだわる人、食事にこだわる人、洋服にこだわる人、ガジェットにこだわる人、とことん趣味にこだわる人など、その人それぞれのこだわりがあります。
そこに優劣はありません。
各々がそれらの情報を発信することで、その価値観に共感・共鳴する人が集まり、小さなコミュニティを形成します。
コミュニティは、必ずしもオフラインの存在ではありません。
フェイスブックなどのSNSでは、実にさまざまな志向のグループ(コミュニティ)がありますよね。
さまざまな国や地域の人が参加しているグループもありますから、すでに国家を超えた超国家コミュニティです。
距離に関係なく、離れていても深いつながりを持つことはできます。
画一的な成長社会の価値観は、ある意味では階級的です。
「上へ上へ」と上流階級を目指す、三角形型社会と言い換えても良いかもしれません。
一方、成熟社会の価値観は、価値観に共感・共鳴する人が緩やかに集まる楕円型社会と言い換えられるかもしれません。
それぞれの人に多様な価値観がある楕円型社会では、その世界観が重要になります。
世界観のすべてを言葉で言い表せるわけではなく、デザインや音楽などの非言語表現も大切になるでしょう。
「なんとなく好き」という直感を言葉で表現するのは難しいですよね。
音楽や絵画、写真、映画、メディアアートなどの芸術から表現力を吸収することが、ビジネスの世界でも大切になっていくのかもしれません。
自分の価値観・世界観を表現できれば、それに共感・共鳴する人たちが集まってきます。
上下関係ではなく、緩やかな楕円的な関係性ですから、三角形の上のポジションを取る必要もありません。
そんな楕円型社会では、ハブ的な存在が重宝されるでしょう。
コミュニティの垣根を軽々と超え、コミュニティ同士をつなげ合うような存在です。
とは言っても、人からお金や知識・ノウハウを搾取しようとするようなブローカー気質の人は、人からもコミュニティからも嫌われるでしょう。
楕円型社会では、「学歴」「経歴」「肩書き」「資金力」などの前時代的なものはあまり意味を成しません。
信頼はなによりも武器になりますが、信頼は言葉だけでは言い表せませんし、日々の積み重ねの中で生まれてくるものです。
崩れるのは一瞬ですけどね。
成熟社会・楕円型社会では、世界観をデザインできる表現力や、コミュニティの垣根を超える信頼が武器になるでしょう。
これらは、お金よりも大切な資産です。すでにそんな時代は始まっています。
「ワークライフバランス」という言葉が使われるようになって随分と経ちますが、仕事とプライベートや趣味を分ける考え方も、すでに古くなっているのかもしれません。
もっと本質的なこと、「何のために生き、何のために働くのか」という視点や思考の探求が大切になっているはずです。
本質的な答えは、人それぞれです。明確な答えはありません。
「これ」という正解もありません。わかりやすい答えが望まれがちな現代ですが、自分と真摯に向き合い、自分の答えを自分で導き出すしかないでしょう。
そのためには、ひたすら歩き、見つめ、感じ、考え、表現することです。
その積み重ねが、信頼につながるでしょうから。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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