「コロナでテレワークになり、地方に移住した」というニュースをよく見聞きするようになりました。
比較的メディアに取り上げられやすい話題ですが、今回こそ本当に地方移住の波は起こるのでしょうか?
【日本で地方移住の波って起こるのかな?】
バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、今回の新型コロナ…何らかの危機が起こるたび、「今に東京から人口が地方に大量流出する!」みたいなこと言う人が現れますけど、現実にそうなった例を私は知りません。
日本の国内人口移動は、マクロでいえば「より都会への移動」一択。具体的には「地方の小都市・町村から地方ブロック中核都市への移動」(eg.北海道の田舎から札幌へ)、「中核都市を含む地方から東京への移動」(eg.札幌から東京へ)は太い。その逆ってあるんだろうか?
確かに、「都会に出た地方出身者のUターン」は常に一定数ありますし、都会→地方のIターンでは「すでに都会のビジネス基盤がある人(≒エスタブリッシュ層)の地方拠点追加」、「都会の価値観からの離脱派(≒意識高い系)」はありますけど、前述「都会への移動」を凌駕するムーブメントは近年の日本では皆無。
欧米圏に行くと、例えばアメリカの「ニューヨークからフロリダへ」、「カリフォルニアからアリゾナへ」みたいな、都会→地方の太い人口移動があります。その背景として、「都会はマイホームが1億円するけど地方なら3000万円で買える」といった圧倒的な生活コスト差とか、民間企業がビジネスと雇用を地方に移す大規模な動きがあります。テキサス、アトランタ、アリゾナなど「企業に選ばれる地方都市」には、専門職などハイレベル雇用も移転していきますし、彼らのニーズに合わせた教育・医療サービスも選択肢が広がります。
それに相当する動きが、日本には見られません(アジア圏を見渡しても結局日本と似たようなもの…)。日本の首都圏では、埼玉千葉に行けば住宅コストも割安で済むし、鉄道網で繋がった先の東京には、雇用、教育、エンターテインメント…オールラウンドに幅広い選択肢があります。東京以外では、100万人以上の大都市ならそれなりに揃いますが、それ以下の、一般的な地方県庁所在地レベルだと、東京との差が圧倒的についてしまいます。
コロナやテレワーク普及をきっかけに、「エスタブリッシュ層」「意識高い系」以外の「都会→地方」の人口移動ムーブメントが起こるのか、今後に注視していきたいです。
最後に、私は首都圏(千葉県柏市)出身ですが、中学時代の同級生で、地方出身者との結婚以外の理由で、首都圏外に移り住んだ者は私の知る限り一人もいません。全体の7割は柏~松戸エリアに住み続け、3割弱が首都圏の他地域(都内、川崎、千葉市など)に住んでますね。正直な話、首都圏で育つと地方に出る動機が無いです。
引用:鈴木学氏(株式会社国際不動産エージェント)のFB投稿より
「地方移住の波」という話題はメディアには取り上げられやすいのですが、結局のところ大した波ではないと私も思います。
すでに多様性の時代ですから、東京に住みたい人は東京に住み、地方都市に住みたい人は地方都市に住み、地方に住みたい人は地方に住めば良いだけです。複数の拠点を持っても良いですしね。
ネットが日本に来た(96~98年)頃、おしゃれ未来学者風味な人達は口を揃えて『東京一極集中がなくなる=地方の時代になる』って言ってたけど、全くならなかった。
むしろ渋谷六本木に人ものカネ情報が集中した20年だった。職住近接の流れで、野心ある者、成功者は港区に住んだ。
それが新コロで変わる。嬉しい。
引用:加藤順彦氏(事業家)のFB投稿より
加藤さんの仰るように、「全くならなかった」地方の時代が、新型コロナによって来るのでしょうか。
10年後・20年後に「やっぱり、そうはならなかったね」となるのか、「あれが転換期だった」となるのか。今はまだわかりませんが、いずれ歴史が証明してくれるでしょう。
いずれにしても、多様化が進み、たくさんの価値観が芽生えるのは良いことだと思います。さまざまな価値観を越境していくのも愉しいです。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
|