「求人広告を出し続けているけど応募がない」「なかなか良い人材を採用できない」「人がすぐに辞めてしまう」。そんな悩みを抱えている社長さんは多いと思います。しかし私は、「人材不足」という言葉はやがて過去のもの、死語になると考えています。人材不足問題は、そう長くは続きません。
会社を経営する社長さんの悩み事は、大きく3つに集約されるといわれています。「資金繰り」「売上」「人材」の問題です。そのなかでも、「人材」に関する問題は、より大きなウェイトを占めるようになっているでしょう。
それもそのはず、考えてみれば当たり前のことなのですが、労働人口が減っているわけですから人手不足なのは当然です。かつては、有名な求人媒体に求人広告を出していれば、それなりに応募はあったでしょう。しかし今は、ただでさえ労働人口が減っており、さらに求職者が見るメディアは多様化しています。採用活動は、「この求人媒体に出しておけばOK」という簡単なことではなくなりました。
仮に採用できたとしても、研修制度や人事評価制度が整っておらず、モチベーションが下がって辞めてしまったり、入社前のイメージと入社後の実態にギャップがあり、一人前に育った頃に辞めてしまったり、コアな社員に見限られてしまうこともあるでしょう。「育った頃に辞めてしまう」「長く一緒にがんばってきた人に辞められてしまう」というのは、本当に辛いですよね。
経営者の悩みの種ともいえる人材不足問題ですが、AIやフィンテック、RPAなどの普及によって、あと5年か10年もすれば過去のことになるかもしれません。『究極の技術! AI(人工知能)、そしてシンギュラリティとは』でご紹介したように、AI(人工知能)の開発は世界中で進んでいます。汎用型AIの普及にはまだまだ時間がかかりそうですが、特化型AIと特化型AIをAI(人工知能)でつなぐような開発もされるでしょうし、フィンテックやRPAによって「これまで10人必要だった仕事が、3人でよくなる」などの省人化が可能になるでしょう。フィンテックやRPAの普及の方が、AI(人工知能)の普及よりも早いかもしれません。
すでにメガバンクなどでは、大規模なリストラが行われています。三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀行は、2019年2月に、2018年9月末の時点で800人分(160万時間)の業務の自動化が完了したことを発表しました。さらに2020年3月末までに1500人分(300万時間)の業務を自動化すると計画しています。また、みずほフィナンシャルグループは同じ月に、AIやRPA、OCR(光学的文字認識)を活用して、口座振替依頼書に関する処理の約8割を自動化する目処が立ったことを発表しています。同年4月には、三菱UFJフィナンシャルグループの三菱UFJ銀行が、銀行本部に在籍する約6000名の社員を圧縮し、約3000名の規模に縮小させる方針を表明しました。
AIやフィンテック、RPAが普及すれば、多くの事務作業は自動化されていくでしょう。銀行員や事務員だけでなく、士業の方々もやがてはその影響を強く受けるはずです。リストラされた人や転職する人が溢れてきますから、「人材不足」と問題視されるのはひと時だと思います。
テクノロジーの発達によって、なくなる仕事もあれば新しく生まれる仕事もあります。現状維持を貫くのか、新しいことに挑戦するのかは自分次第です。しかし、仕事の在り方は着実に変化しています。
これまでは、「仕事とは嫌なことをすること」「稼ぐために仕方なく仕事をする」と思いながら働く人が大多数だったかもしれませんが、そのような仕事はAI(人工知能)やロボティクスに徐々に置き換わるでしょう。時間やお金の自由を得たとき、あなたはなにをしたいでしょうか? 「好きなことをして良いよ」といわれたとき、なにをするでしょうか? 「趣味に没頭したい」という人もいれば、「無趣味」という人もいるでしょう。私は後者ですね。没頭できるくらい好きなことがある人の方が稀で、見栄やかっこつけでない本当に心底好きなこと、やりたいことがある人は、それだけで人生の成功者です。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
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