「新人研修」……大企業なら必ずと言っていいほど実地されているものです。最近では中小企業でも実地されることが多くなってきました。
企業にとっては、新人を雇うのであれば即戦力になってほしいもの。即戦力となる、ビジネスマナーやビジネスマインドを身につけてもらうには、研修の時間を設けることが一番の近道と考えられています。
研修を企画する経営者や人事担当者にとって、どうやって研修に前向きに参加してもらい、
研修の効果を最大限に活かしてもらうかは悩みどころです。
そこで、一風変わった新人研修を行う企業が増えてきているようです。こうした研修を行っていることを社内外へ知らせることで、会社自体のブランディングにもつながります。
今回は実際に取り入れられているユニークな新人研修を紹介していきたいと思います。
幼稚園研修では、子ども達と一緒に遊んだりお弁当を食べたりなどして、先生と一緒に園生活のサポートをし、子ども達への関わり方を実践的に学びます。
研修の前には、座学で子ども達との接し方などを学んでから実践へ入るようです。
元気な子ども達に対応するには、油断する暇もなく全力で向き合うこととなります。
子ども達と全力で向き合うことにより、アドリブ力やコミニケーションスキルを鍛えられるでしょう。
株式会社栃木ダイハツ販売会社や、青森ダイハツモータースでは、子連れの来店が多く、お客様が子どもの対応に追われて商品説明が満足にできない状況を打破するため、
幼稚園研修を始めました。
子どもが楽しく過ごせるショールームを作ることが、顧客満足度の向上、新規のお客様獲得にもつながります。子どもへの対応力だけでなく、子ども用の名刺を作成したり、子ども目線で店内を作り直したりと、研修の効果をさらに活かす取り組みも行われたようです。
様々な事態に対応できる力と、コミュニケーション能力を身につけるために行われているのがヒッチハイク研修です。
新入社員はまず、研修担当者に連れられて本社から100kmほど離れた場所まで車で移動します。
現地に到着したら、そこで財布と携帯電話を担当者に預けて、車から降ります。
現金も連絡手段も持たない新入社員が本社に戻る方法は、ヒッチハイクのみ。
行き交う車を止め、初対面の人に何とか頼みこんで車に乗せてもらい、本社や研修会場などの目的地を目指します。
入社早々に極限状態に追い込まれて、携帯電話もお金もなく、自分の力だけで解決しなくてはならないというのは、くじけてしまいそうな厳しい試練です。なんとか本社にたどり着く頃には、交渉力やコミュニケーション能力、そしてくじけない心などビジネスシーンで必要な力が身についている様です。
〝日本一の請負会社〟を標榜する企業であるイカイは、ヒッチハイク研修を実地している企業の一つです。製造請負や製造派遣などの事業を行っているため、多種多様な業種に対応できる即戦力となる人物を派遣しています。
初見の現場でもすぐに対応し、適応する力が求められるイカイの業務についていけるように、このヒッチハイク研修が開発されました。
研修の参加者からは「多少のことではへこたれない自信が付いた」などの感想が寄せられているようです。
わらしべ長者研修では、道を行き交う人々に突然声をかけ、次々と物々交換をしていきます。
元の品物は100円ショップの商品で、物々交換をしていくうちに、より高価なものや価値の高いものになるよう計画を立てます。
服装や話し方などの第一印象に加えて、交渉力や根気強さが重要となってくるため、この研修を通して社会人として必要なビジネスマインドを身につけられます。
また、誰よりも高価なものに変えるなどの目標を立てて試行錯誤することで、PDCAサイクルの考え方も自然と身につけることができます。
医療・福祉ベンチャーのエストコーポレーションでは、エクセルや電話対応などの基本的な研修に加えて、社長による「人間力研修」として、わらしべ長者研修を行っています。このような変わった研修で交渉力などのマインドを鍛えられたためか、研修を行った代からはチームリーダーや事業責任者に就任するなど、新人でも活躍することが増えていったようです。
この他にも、“モノマネで自分を捨てる研修”や、“暗闇空間で視覚以外の感覚を研ぎ澄ます研修”など、ユニークな研修はいろいろ存在します。
しかし、研修をただユニークにすればいいというわけではありません。
新人研修を実地する上では、新人のモチベーションを高め、楽しく学び、感情と知識を紐付けて記憶を定着させるために、楽しさやユニークさが必要になってくるのです。
ただ面白いかどうかだけでなく、効果的で目的に合ったもの、何を目指して研修を行うのかを明確にするのが重要です。ユニークな研修によって、新人がビジネスマインドを身につけ、
社風や企業文化の醸成にもつなげられることを目指し、自社ならではのユニークでクリエイティブな新人研修を考えてみてはいかがでしょうか。
【文責:編集部】