「上場会社は独立社外取締役を少なくとも2人以上選任すべき」という金融庁と東京証券取引所の声によって、社外取締役のニーズが高まっています。しかし、しっかり機能しているのでしょうか? 高い報酬の割には…という声もすでにあがっているようです。せっかく社外取締役になるなら、役割をしっかり果たしたいですよね。
企業のあるべき姿を示した「コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)」の上場企業に対する適用が開始されました。金融庁と東京証券取引所によって、「上場会社は独立社外取締役を少なくとも2人以上選任すべき」と示されています。
これには、「日本企業の透明性を高めてグローバルな投資を呼び込み、成長を促す」という狙いがあるようです。
これまで社外取締役を2人以上置いていた上場企業は、「全体の3割以下」。つまり、東証一部の企業だけでも、今後2000人以上の社外取締役が必要になるという計算です。東証二部や東証マザーズ、ジャスダック(JASDAQ)、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)を含めれば、もっとニーズがあるということですね。
また、すでに上場している企業だけではなく、これからIPOを目指す企業やM&A・CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を狙うベンチャー企業でも、社外取締役のニーズは高まるでしょう。
今後活躍の場が増えそうな社外取締役ですが、その報酬はどれくらいなのでしょうか?
朝日新聞と東京商工リサーチの調査によると、
東京証券取引所第1部に上場する企業の社外取締役が、平均で年663万円の報酬を受けていることが、朝日新聞と東京商工リサーチの調査で分かった。
引用元:『社外取締役、報酬は年平均663万円 兼務で高額報酬も(朝日新聞デジタル 2019年2月14日)』
とあります。月55万円ほどの報酬ということですね。あくまでも平均ですので、もっともらっている社外取締役もいるでしょう。
月に1度か2度しか会議に参加しないのかもしれませんし、週に何度か会議に参加しているかもしれません。参加頻度はそれぞれでしょうけど、高報酬といえると思います。
中小企業やベンチャー企業であれば、月に1~2回の会議参加で月20万~30万円ほどの報酬が多いようです。
比較的高い報酬を取る社外取締役ですが、ちゃんと機能しているのか、役割を果たしているのかというと疑問です。プレジデントの記事によると、
新しい社外取締役は、学者、弁護士、元官僚、他社の経営者が想定される。
引用元:『社外取締役は日本企業をダメにする(PRESIDENT 2015年7月13日号)』
とあります。他社の経営者であればまだわかるのですが、学者や弁護士、元官僚が社外取締役として会社経営のアドバイスができるかというと、そうではないように思います。全員がそうではないですが、どの人たちもプライドが高そうですしね。
学者も弁護士も元官僚も、頭脳明晰な人たちばかりです。しかし、会社経営は泥臭いことの方が多い。一般論や理想論、正論だけでは語れないことも多くあります。あまり声を大にしては言えませんが、頭脳明晰な人たちは「頭の良い自分なら、経営など簡単にできる」と考えている節もあります。親身になってくれる社外取締役でなければ、正直ジャマなだけなのです。
会社経営には、アクセルとブレーキが必要でしょう。ときには鼓舞してくれるアクセル役に。ときにはビジョンやミッションなどの原点に引き戻してくれるブレーキ役に。そんな風に立ち居振舞ってくれる社外取締役であれば、その役割を果たせるように思います。
経営者の方は日々忙しく忙殺されていますから、ふとした気づきを与えてくれたり、視界を広げたりパッと明るくしてくれる人であれば、側にいてほしいと思うでしょう。特に中小企業やベンチャー企業にとって、社外取締役はそのような役割だと思います。
社外取締役は、自分のコア事業と両立しながらでもできる仕事ですから、自分の強みを磨いて社外取締役を目指してみるのも良いかもしれませんね。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
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