会社を経営していると抱えざるを得ない、さまざまな心配事……。
そのうちの一つが自分自身の、さらには、従業員の健康問題。
特に近年では、うつ病を患う人が増えていることから、「うつ病をいかに予防するか?」という問題に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
経営者というのは悩み事がたくさんあり、さらには、自分の悩み事を相談できる相手がいないという方も少なくありません。そんな背景から、経営者自身がうつ病を発症するケースも多いものです。
さらに「自分の会社の社員がうつ病になってしまったらどうしよう」という心配事もあるでしょう。もうすでに社員がうつ病になってしまって、その対策をどうにかしなければいけないとお考えの経営者も少なくないと思います。
私自身、かつてはサラリーマンとして会社勤めをしていましたが、うつ状態に陥り退職をしたという経験があります。
その後、自分のうつ病と向き合いながら整体師として活動してきました。そして整体師として働いているうちに、心を病んでいる方が非常に多いということを実感するようになり、そういう方々に対処できるようにと、産業カウンセラーの資格を取りました。
そして、現在は、働く人たちのうつ予防に力を入れています。
私は、人事担当者でもなければ医師でもありません。
人事制度上のお話や、医師が考える治療のお話をすることはできません。
しかし、かつて自分もうつ状態に陥って会社をやめ、自分の病と向き合ってきた経験があります。
また、その経験を活かして整体師とカウンセラーとして活動をしてきました。
そんな私が考えるうつ病の実態とその予防方法について、お話ししていきたいと思います。
うつを経験した者として言わせていただきたいのですが、うつ病は「予防する」ことが一番大切です。
一度発症してしまうと、本人はとても苦しい思いをしますし、回復までにかなりの時間を要してしまいます。人によっては、5年、10年と調子が悪い時期を過ごしている人もいます。
これは本当に厄介な病です。
ですから、うつ病は予防することが一番大切なのです。
社員がうつ病になって長期間休業することになった場合、会社側の損失もまた、馬鹿になりません。
また、本人はうつ病が発症するかなり前から辛いストレスを抱えていますから、その時期においても生産性が下がってしまったり、考えられないようなミスをしたりすることがあります。
会社を経営するうえで大切なのは、社員の生産性を上げていって、会社の業績を上げていくことのはずですよね。社員がストレスにさいなまれ、生産性を下げてしまっている状態というのは、会社にとってもいい状態とは言えません。
社員が嬉々として働いている会社は、業績も良く、社員のうつ病も予防できます。
うつ病が予防できる会社というのは、社員を大切にする会社です。
社員を大切に扱えば、社員は会社に対して感謝するようになります。
つまり、エンゲージメントが上がるのです。
エンゲージメントが上がれば、当然のことながら生産性が上がっていきます。
うつ病を予防するということは、ただそれだけにとどまらず、会社の業績を上げていくことにつながるのだということを理解しておいてほしいのです。
つまり、経営者自身と社員の健康にかかるコストは、不必要な支出ではなく会社の将来に対する投資と考えることができます。
会社の業績を上げていくために、うつ予防を必要経費あるいは投資と見るか、不必要だけれども将来のリスクを減らすためには仕方のない支出と見るか。
その支出をどう見るかというのは、高度な経営判断だと言えます。
経営者および社員のうつ予防に力を入れることによって、会社の業績が上がるのであれば、そんなに素晴らしいことはありませんよね。
ぜひともこの機会に、うつ予防に取り組んでいただきたいと思います。
次回は「うつ病の正体」について詳しく見ていきましょう。
トレーナー、整体師、産業カウンセラー
ナショナル整体学院スポーツトレーナー科卒業
一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
株式会社BBコンディショニング代表取締役
33歳の時、うつ病を発症し8年勤めた会社を退社。経営者の健康問題が、会社経営においてリスクになるという考えから、経営者に対するコンディショニングサービスを展開する、株式会社BBコンディショニングを設立。経営者と従業員の健康づくりに関するコンサルティングに力を入れている。
著書『うつ病を出さない環境づくりが会社の業績を上げる』
ブログ「スタイリッシュエイジング」
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会