最近注目されている、「M&A」という出口戦略。後継者不在に悩む中小企業の社長たちの課題解決手段となり得るのか? どのような業界・業種で、M&Aは盛んになってきているのか? その動向と実態とは? 今後さらにM&Aが盛んになるであろう業界とは? 売り手、あるいは買い手としてM&Aを検討したい経営者の方々のためにご紹介します。
M&Aが積極的に行われている業種は、どのような業種だと思いますか? 一例を挙げてみましょう。
など
これらの業種は、会社規模の大小にかかわらず積極的にM&Aが行われています。もしもあなたがこれらの業種の経営者で後継者に悩んでいるのであれば、売り手になることを検討しても良いかもしれません。例えば、私の親戚は人材派遣会社を数年前に売却しています。60歳の頃から後継者については考えていましたが、社内継承はうまくいかず、もともと子どもが継ぐという発想はなかったため、70歳を過ぎてからM&Aを決断しました。会社への愛着から、なかなか売却額の面で妥協できなかったようですが、社員さんや自分たち家族の今後を考えて決断できたそうです。上記の業種の経営者も高齢化が進んでいますので、M&Aによって若い世代に経営をバトンタッチしていくことは価値のある英断だと思います。
M&Aは、かつては大手企業間だけの話でした。だれもが知っているような大企業やグローバル企業だけに関係するものとM&Aは長らく考えられてきたわけです。中小企業の経営者にとっては、「うちには関係ないよ」というのがM&Aでした。しかし、リーマンショック以降、その動向は変わり続けています。大型M&Aから中型M&A、小型M&Aへとすそ野が広がってきており、中小企業間でもM&Aが行われるようになりました。その背景にあるのは、中小企業の後継者問題やマッチングサイトの充実などです。
日本の経営者の平均年齢は60歳を超えてきており、今後も社長の高齢化は進んでいくでしょう。社長が高齢になれば、働く社員の方たちも不安になります。後継者が明確な中小企業は3割ほどともいわれていますので、この問題は極めて深刻です。その社会問題を解決する手段として、M&Aが注目されているわけです。また、M&Aを専業とする会社も増えており、業界全体が盛り上がってきているともいえるでしょう。M&A業界の各社がマッチングサイトをつくったことで、オンラインでも会社の売り情報をある程度得られるようになってきました。今後は、さまざまな業界の案件を扱うマッチングサイトだけでなく、特定の業界に特化した業界特化型M&Aマッチングサイトも増えてくると考えられます。
では、今後どのような業界でM&Aが盛んになっていくのでしょうか? ランキング形式で、注目のM&A業界をご紹介したいと思います。なお、すでにM&Aが盛んになっている上記に記載した警備会社、人材派遣会社、医療法人などは除外し、ニッチな業界のランキングベスト10をご紹介します。
第10位 資産管理会社(部門)
第9位 広告代理店
第8位 広告制作会社(部門)
第7位 キャンプ場
第6位 教育(幼稚園、幼児教育教室、大学、語学学校など)
第5位 農業
第4位 寺院
第3位 酒蔵、醤油蔵、味噌蔵
第2位 会計事務所、士業事務所
第1位 小規模旅館
ランキングに挙げたこれらの業界は、いずれも人材不足に悩む業界です。労働人口が減少していますから、後継者だけでなく働き手も不足しています。人材獲得の手段として、M&Aが注目されているともいえます。また、M&Aは会社のリノベーションやリニューアルともいえますので、新しい経営者やアイディアを入れることで、これまで活かせていなかった経営資源を活用できる可能性も秘めています。農業とITの融合、キャンプ場とアートの融合、寺院と観光業の融合など、事業を組み合わせることで生まれるシナジーもあるでしょう。M&Aによって、会社の可能性は広がっていきます。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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