「過去に一度読んだことのあるはずのビジネス書を数年後に読み返した時に、
全く別の内容に感じた…」
「全く同じ企画書なのに、ウケがいい取引先と、なぜか全く反応がない取引先がある…」
あなたにもそんな経験がありませんか?
これは脳の仕組みを理解すれば単純な話です。
ビジネス書の例でいうと、数年前の自分にとってはそんなに重要でなかったから脳に届いていなかったのです。記憶力がいいとか悪いとかの話ではありません。企画書の例でいうと、相手にとっては重要だと認識されなかっただけなのです。脳には重要なものとそうでないものを、その時々の状態に応じて巧みに仕分けする機能があるのです。しかしこの機能についてよく知り、利用することでゴール達成に近づけることができます。
目次
脳には情報を取捨選択するフィルターシステムがあり、重要な情報しか脳に届かないのです。それは視覚情報だけではなく、全ての五感でも言えます。このフィルターのことを「RAS=毛様体賦活系(もうようたいふかつけい)」と呼びます。読み方は“ラス”が一般的です。
RAS=毛様体賦活系は、正しくは脳幹網様体賦活系(のうかんもうようたいふかつけい)といいます。脳幹には脳へと続く神経の束があり、これを毛様体と呼びます。特に脳幹内の網様体は「脳幹網様体」といい、ここの働きを示す言葉となります。毛様体賦活系がどのような働きをするかというと、必要な情報だけをピックアップして、脳に取り込みます。
私たち人間は、目に入る全ての情報を認識しているわけではありません。興味のある情報しか、目や耳に入ってこないということです。
例えば「歯が痛くなって初めて、普段利用している街に歯科医がたくさんあることに気づくというようなことがあるでしょう。これはまさに、毛様体賦活系が、不必要だった歯医者という情報を、必要な情報と判断し直して、脳に情報を送った例でしょう。RASとは重要だと感じたものだけをふるいにかけるザルのようなものなのです。
RASとスコトーマは非常に似ています。現状の外側のゴール設定、つまり現状では達成方法が全く分からないほどの大きいゴール設定だとしても、ゴールを達成したときのセルフイメージをどんどん高めていくと、勝手に脳がゴールを達成する方法を見つけてきてくれます。これが「スコトーマが外れた瞬間」です。
まさにRASがゴール達成のための情報を探すように、からくりが動き出します。これまで重要ではなかった情報が、ゴールを達成するための情報として、次から次へと脳に届けてくるようになるのです。
達成したら本気で嬉しい本音のゴール、達成方法がわからない大きいゴールでも、イメージの力で脳がクリエイティブに達成方法を次々に運んで来てくれます。無理やりアイデアを絞り出すというよりは、そのような情報がどんどん飛び込んでくるという現象が起きます。
このように、RASとスコトーマには密接な関係があります。「スコトーマが生まれてしまうのは、RASという機能があるせい」と言っても過言ではありません。しかし、逆に言えばRASを利用することで、スコトーマ外しにもなるということです。
ゴールに向かってどのようにチャンスを見つければいいのか。それはまさに、RASのフィルターシステムを稼働させればいいのです。
チャンスというものに重要性が当たるようにする、もしくはゴールを常にイメージすることによって、脳に届く情報をコントロールすることができます。それは、変化を自分で内面から起こすことができるということです。
誰でも実際に内面から変化を起こすことができて、チャンスを見つけたらすかさず掴む。そのことによって、本当にゴールを達成できてしまう。このような順番を踏めば、達成方法がわからないような大きなゴールでも達成することができるでしょう。マインドのからくりを知れば、次から次へとゴールを達成できる自分になれるのです。内面の変化を起こすために、上記のようなRASのフィルターシステムを知ること、どのようなカラクリかを知ることが重要です。
「こういう人間になるんだ」「こういう夢を実現するんだ」という、ゴールを達成するための情報を、どんどん脳に届ける。そのために、RASを味方につけましょう。コーチングではRASをオープンするという言い方もします。ゴール側に向けてRASを開くことによって、ゴール達成に関係する情報を脳に届ける。ゴールを設定することによって認識が生まれる、ゴール設定することによって、次々に新しい情報が脳に届くのです。
そして、脳の中で情報を統合することで、新しいアイデアが出てくるようになります。新しいアイデアというのはゴールを達成するのにプラスに働くので、これがまたどんどんチャンスになってきます。そのようなカラクリを理解した上で実際に日々実践していく。そういうマインドの使い方をし、脳を徹底的に活性化していきましょう。
脳を活性化して、どんどんアイデアが出せるような背景を高めていくためにも、リラックス状態を作り、楽しむことが重要です。辛いことばかりやっていると、脳が萎縮してしまいます。そうすると、ゴールを設定してもなかなかアイデアが出てきませんし、新しい情報も入ってきません。RASを理解することで、自分を変えるきっかけを十分につくることができるのです。
【文責:編集部】