「ドリームキラー」とは、誰かに夢を語った時にその夢を否定してしまう人のことを言います。
直訳すると「夢を殺す人」。
実に怖い言葉ですが、皆さんの身近にたくさんいるのも事実です。上司や友人のみならず、親や恋人までもがこのドリームキラーになりえます。
また自分自身でさえも時には最大のドリームキラーとして立ちはだかったりするのです。このドリームキラーの存在はそのままの意味の通り、あなたの夢を殺してしまいます。
ではドリームキラーに対してどうしたら良いのか?
今回は、そんなドリームキラーにまつわるお話を、3つの事例とともに紹介したいと思います。
30代男性Rさんは企業の会社員です。職場での人間関係に悩んでいて連絡をいただき、それが思わぬ方向へ展開していたので相談に訪れました。
Rさん「最近、上司に反対されたことがあり、それで自分自身ですごく考えるようになってしまって、出口が見えなくなってしまったんです」
コーチ「上司にどういったことを反対されたのですか?」
Rさん「実は仕事を辞めてカフェを開きたいなと思っていて、今の仕事を辞めたいという相談をしました」
コーチ「なるほど、今現在はカフェのお仕事ではないんですか?」
Rさん「はい、全く違う職種で営業職です。なので、上司からは今からじゃ遅くて無理だよと。もう少し我慢すれば見えてくる景色が変わってくるから頑張れと、言われました」
コーチ「上司との関係は良好なのが伺えますね、Rさんのことを親身になって考えているのが伝わります」
Rさん「そうですね、ただやりたい事とは違う仕事をしているのもあって、すぐに頑張りますとは言えませんでした」
Rさんは、上司に自分のやりたい事(夢)を語ったところ、否定されてしまいました。
これは上司がドリームキラーになったという事を意味しています。
恐らく、上司は自分自身が我慢に我慢を重ねて今の地位や景色が見えているから、Rさんにも頑張れと言っているのですが、それは上司の生き方・価値観をRさんに押し付けているのです。
それもRさんのことを親身に思い、良かれと思ってそうしているのです。
ですから、Rさんは困惑してしまいます。自分にカフェなんてできないのではないかと、自信を失くしたに違いありません。
Rさん「自分のやりたいカフェのことだけなら、まだ良かったのですが、それに付随してというかもう一つ悩んでしまったんです」
コーチ「それはどういったことでしょうか?」
Rさん「上司の会話を自分の中で整理しようと反芻していたら、この言い方ってもしかしたら僕が彼女に対してしていたのと同じなんじゃないかと」
コーチ「なるほど、彼女さんも何かRさんに相談されていて、上司と同じような対応してしまったと思ったわけですね」
Rさん「はい。彼女もやりたいことがあって、意を決して打ち明けてくれたのですが、その時僕は賛成できずに反対をしてしまいました」
Rさんの上司がRさんのドリームキラーになったことで、Rさん自身も彼女に対してドリームキラーであったことを認識してしまいました。
コーチ「では、それから彼女さんに対して気持ちの変化はあったのでしょうか?」
Rさん「正直言うと、まだわかりません。彼女の夢を否定せずに応援できるのかどうか、ただもう一度その件について2人で話し合おうと思っています」
コーチ「それが良いと思います。一番は自分の心に素直になることです。応援したくないと思っているのに、応援するのはむしろお互いに無理してよくありませんから」
その後、Rさんは彼女さんとよく話し合い、決着をつけた後に上司と再度話し合って、今ではカフェ経営を目指しているとのことでした。
今回の例では、Rさんが上司に夢を打ち明けると否定されてしまうという、「上司がドリームキラー」であったパターン。
それをきっかけにRさんが彼女に対してドリームキラーだった「恋人がドリームキラー」のパターン、2つご紹介しました。
しかしこの2つ以外に、最も意識して気を付けなければ対処できない最大のドリームキラーが顔を出すことがあります。それは、自分自身です。
夢を否定されたことで自分に対して自信を失くしてしまい、どうせ自分には無理だと、「自分自身がドリームキラー」となることもあるのです。
二次的なドリームキラーですが、距離を置くこともできない一番やっかいなドリームキラーです。
では、どうしたらいいのでしょうか。
自分の夢を他人に否定されたとしても、相手よりも高い視点と広い視野で冷静に思考し、それを上手に受け流すことです。
これをコーチングでは「抽象度を上げる」と表現します。物事の概念をひと段階上から見るということです。
これは自分一人の時でも「常に抽象度を高くしよう」と推奨される考え方です。
相手がいる場合は、相手よりも高い視点と広い視野で対応していれば、相手の考えや発言がいかに子供っぽく、狭い視野にとらわれたものであるかがよく分かります。
自分自身を信じてあなた自身がドリームキラーになってしまわないように注意しましょう。
「抽象度」に関しては、別記事でまた詳しくご紹介したいと思います。
他人がドリームキラーになるかどうかは、実際に話してみないとわからないことです。
ですので、簡単に言えば、夢を他人に言わないことが大事です。言わなければ否定も賛成もありません。
もし言わなければいけない・共有したいと思うタイミングがあれば、その時初めて夢を共有してください。
夢を熱く語り、相手を説得するように話してください。それでも、その夢を応援されずに相手がドリームキラーとなった場合は、残念ながら距離を置くことをお勧めします。
あなたの身近にいる親しい大事な人はドリームキラーではありませんか?
そして、あなた自身が自分のドリームキラーになってはいませんか?
【文責:編集部】