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  • 『ポール・ゲティの大富豪になる方法』の書評 その② (ジャン・ポール・ゲティ著 長谷川圭訳 パンローリング株式会社)
  • 『ポール・ゲティの大富豪になる方法』の書評 その② (ジャン・ポール・ゲティ著 長谷川圭訳 パンローリング株式会社)

    2019/09/28  マネジメント

    経営者が「難局」を乗り越えるためには!?

     

    人生に〝難局〟はつきもの。それは経営だって同じこと。どんなときでも順風満帆なんてあり得ない。大切なのは、難局・逆境を「どう乗り越えるか」だ! 前回に引き続き『ポール・ゲティの大富豪になる方法』の書評をお届けします。

    (徳本昌大氏のブログ「毎日90秒でワクワクな人生をつくる」掲載文を再編集)

    『ポール・ゲティの大富豪になる方法』の書評 その①

     

    逆境を乗り越える6つの方法

     

    ストレスにさらされているときも、難局に直面したときにも、平静さを失わない能力を身につけた者が、成功するビジネスマン、すなわち真のビジネスリーダ一になれる。若い経営者は、この能力や私がこれまで紹介してきた関連能力を身につけるよう努力すべきだ。早ければ早いほうがいい。そのうち必ず逆境に遭遇するときが来るのだから。(ポール・ゲティ)

     

    ポール・ゲティの『大富豪になる方法』では、経営者の〝逆境の乗り越え方〟についても語られています。

    経営者はいくつもの難局を乗り越えなければなりません。置かれている状況は人によって異なりますが、多くのケースで逆境を跳ね返し、成功をサポートする原則が存在します。石油王ポール・ゲティはそれを6つに整理し、列挙しています。

     

    1、何が起こってもパニックに陥らない。

    パニック状態にある者は効果的に考えたり、行動することができません。ビジネスにある程度のトラブルはつきものですから、遭遇してしまった時には、焦らず穏やかな気持ちで対処しましょう。

     

    2,「難局にはまり込んだとき、いったん撤退するのは悪いアイデアではない。

    状況を客観的に見つめて評価できるまで距離を取り、冷静になり、別の視点からトラブルを再考します。時には撤退を考えましょう。

     

    3、雲行きが怪しくなり始めたとき、重要度の低いものやなくてもやっていける何かを切り捨てることが有効あるいは不可欠な場合がある。

    時には戦術的撤退をすることもありですが、全てをやめてはいけません。優先度の低いことで一旦撤退し、いつでも攻められるように準備を怠らないようにしましょう。

     

    4、状況に含まれるあらゆる要素を細心の注意を払って吟味する。

    選択できる行動を一つ残らず検討し、リスト化します。アイデアや資金、人材などのリソースのすべてを創造的かつ現実的に整理し、次の機会に狙いを定めます。

     

    5、反撃は細心の注意を払って計画すること。

    不測の事態が生じたときに別の進路を取ることも選択肢にします。使えるリソースにふさわしい反撃計画を立て、達成可能だと思える目標を設定します。これがうまくいくと当初の計画より、大きな結果を残せます。

     

    6、すべての準備が整ったら、自信と目的意識を持って攻撃的に、そして何より情熱的に行動を開始しよう。

    リーダーはいつでも気持ち、人格、そしてエネルギーが試されていますから、逆境を恐れてはいけません。トラブルに遭遇したときにこれらの原則に従って行動する経営者は、すぐに窮地から脱出できます。

     

    逆境の中で可能性を見いだせる経営者は成功を収める!

     

    ゲティ自身も上手に逆境を乗り越えています。

    彼が株式の大部分を所有していたある会社が採掘権を持つ中東地域で探査と試掘を行ったところ、その土地から膨大な量の原油を採掘できることが分かりました。しかし、さまざまな要因や制限が絡まり合い、産出できる原油のごく一部しかアメリカに輸入できなくなったのです。

     

    まもなく採掘が始まり、中東の地下から大量の原油が汲み上げられる中で、早く手を打たないと損失が拡大します。原油を市場に送り出すにためには、精製して製品の形にしなければなりません。時間が経つにつれ、生産を始めた油井が増えていき、ゲティのリスクは拡大し、彼を見放す人も増えました。採掘権獲得、探査、採掘などに大金を費やした会社は、売るあてのない原油の在庫に苦しみ、ゲティは危機的な財政難に陥るに違いないと多くの人が噂しました。

     

    しかし、彼は諦めずに自分の可能性に賭けました。アメリカへ原油を運んで精製・販売ができないのなら、新しい販路を作れば良いと考え、アクションを起こしたのです。彼らはイタリアで新しい精製所を買収し、さらにデンマークでは新たな施設を建造しました。ほかにもいろいろな場所で精製所を買い上げ、原油の売り先を作りました。その結果、ゲティ財閥はさらに多くの原油を中東や世界各地で産出できるようになったのです。

     

    さまざまな経験が私に、向かい風にさらされて将来が真っ暗闇に見えるときこそ、経営者はよく考えて全力で戦わなければならないことを教えてくれた。最悪中の最悪と思われる状況ですら、会社の、株主の、そして自分自身の利益に変えることができる。

     

    ほかの者が不可能とみなすことに可能性を見いだせる経営者が、多大な成功を収めることができます。アメリカの過去の歴史がそれを何度も証明しています。ピンチをチャンスに変えた経営者が、イノベーションを起こしているのです。

     

    経営にトラブルはつきものだから

     

    ゲティは、失敗するリスクを減らす方法も紹介しています。

    不可能か可能かのやっかいな問題に直面したとき、熟練した経営者は自分の考えを整理し、状況を細心の注意を払って徹底的に分析します。彼らは以下の質問を自分に投げかけ、答えを考えることで、試練を乗り越え、チャンスを掴んでいきます。

    • 今の”正確”な状況は?前提、問題は何?
    • 何がかかっているか?コストは?会社が見込める利益と耐えられる損失の最小と最大は?
    • 前例はあるだろうか?もしあるなら、それを今回のケースに応用できるだろうか?
    • ほかの関係者(買い手、売り手、ブローカー、ライバル、顧客など)における利益と損失は?
    • もし計画を推し進めるなら、その際に会社が直面することが分かっている障害や困難はどういったものか?どうすればそれらを克服できるだろうか?
    • ほかに起こりうる問題はあるだろうか?もしあるなら、それらに対処するためにどのようなリソースと手段が必要になるだろう?
    • 事実の”すべて”が明らかになっているだろうか?それとも、まだ隠れた落とし穴があるだろうか?
    • もし計画を実行することに決めたなら、目標を達成するまでにどれぐらいの期間が必要だろう?
    • それと同じだけの時間と努力をほかのことに費やせば、会社はどれぐらいの利益を得ることができるだろか?
    • 担当者は課題に取り組むだけの能力があるか?信頼できるか?

     

    経営者はこれらの疑問に答えを見つけたうえで、計画を可能か不可能か判断します。過去の知識と経験を徹底的に活用し、自らの進む道を追い求めていきます。もし、あなたが優秀なアドバイザーになりたいなら、ゲティの質問を使いながら、経営者との対話を行いましょう。この質問を繰り返し、共に答えを見つけるうちに経営者から信頼を得られ、社外役員型コーチと言う新たなポジションを獲得できるはずです。

     

    経営にトラブルはつきもの。経営者は過去の知識と体験を活用し、逆境を乗り越えなければなりません。最悪と思われる状況ですら、強いマインドセットを持ち、可能性を引き出す質問を繰り返すことで、解決のヒントが見つかります。逆境の時こそ、焦らず冷静に対処しましょう。

    この記事を書いた人の情報
    徳本昌大
    徳本 昌大

    複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。
     サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
    https://tokumoto.jp/

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