「……はだめだ」「……はいけない」「……できない」などの否定的な表現。ついつい使ってしまう、という人もいることでしょう。
しかし、時と場合によっては文章からとげとげしい印象を与えてしまうことがあります。
否定的な表現がもたらすネガティブな印象と、そのような印象を回避するコツをご説明します。
以前の記事で、『伝わるWebライティング -スタイルと目的をもって共感をあつめる文章を書く方法』(Nicole Fenton&Kate Kiefer Lee著 ビー・エヌ・エヌ新社)という本の中の一文をご紹介しました。
すぐれた文章は、わかりやすく、役に立ち、フレンドリーです。
「フレンドリー」な文章とは一体どういうものを指すのでしょうか。
次の2つの文章を読み比べてみてください。
後者のほうがやさしい印象を受けますね。
『伝わるWebライティング』の中に
どんな内容の文章であれ、あらゆる人を含み、誰をも排除しないような言葉を用い、タイミングを図ること
とあります。
クレーム処理や規約、ポリシー作成など扱いにくい問題に関する説明のひとつですが、あらゆるシーンにおいて上記の一文を気に留めておいたほうがよいでしょう。
1.暗い
例)
●●さんと同じ販売方法はできない。無理だ
2.上から目線
例)
○○開発チームは、そういう営業スタイルをとっているからダメだ。
3.逆のことがしたくなる
例)
ダイエット中なのだからビールばかり飲んでいてはダメだ。
4.やる気がそがれる
例)
来年までに試合に出たいのなら、週3回はトレーニングしないといけない。
そもそも「否定的な表現が好きではない」という人もいます。
幼少期を振り返って、親や教師から「……はダメだ」「……してはならない」と言われることについ反発してしまった、という経験も一度や二度はあるのではないでしょうか。
文章も同様です。
そのようにネガティブな印象を与えてしまわないよう、そのような表現の使用を控え別の表現に言い換えるスキルを身に着ける必要があります
最後に、どのような表現に置き換えるといいかご説明します。
1.やんわりと断り、そのうえで代替案を丁寧に提示する
例)
「●●はするな」
↓
「●●はできないけれど、□△なら大丈夫」
「××はダメだ、してはならない」
↓
「××はしてはならないが、○○でいこう」
「バスは無理だ」
↓
「バスは無理だけど、タクシーでなら行ける」
前半を端折って「□△なら大丈夫」「○○でいこう」「タクシーでなら行ける」としてもいいかもしれません。
2.まったく異なる言葉に置き換える
例)
「22時以降に仕事の連絡を入れるな」
↓
「仕事の連絡は22時までに入れよう」
「筋トレが終わったらプロテインを飲まないとダメだ」
↓
「筋トレが終わったらプロテインを飲むのがオススメだ」
否定的な表現を使わなくてもいいのなら、使わない方が無難です。
使用を避けたほうが印象もよくなります。
記事のタイトルにパンチのある言葉を使いたいとき、あえて否定的な表現を使うこともあります。
「買ってはいけない●●」「食べてはいけない○□」などです。
しかし、本文を作成する際はそのような表現の多用は避けたほうがいいでしょう。
文章を受け取る読み手のことを思いやれているか、ということをお伝えしました。
「自分が読者だったら、この文章からどのような印象を受けるだろうか」と常に意識し、読者への思いやりをもって書くことが大切です。