「レバレッジ」「ノマド・ライフ」など、ビジネスパーソンの新しい生き方、働き方を紹介し続けてきた本田直之氏の最新刊は、「50歳からの生き方」についてのもの。それは「老後の資金」や「安定した生活を送る方法」などではなく、時代(テクノロジーの進化等)を味方にして、やりたいことをやる、という痛快な生き方だ!
(徳本昌大氏のブログ「毎日90秒でワクワクな人生をつくる」掲載文を再編集)
あの頃、「俺はガラケーで十分だから」「スマホなんかいらない」と言っていた人は完全に時流から置き去りになっています。時代の流れを無視し、新たなデジタルツールを「自分には必要ない」と思ってしまったら、そこで進化が止まってしまうからです。(本田直之)
私が自分のことを〝ゼロ・リセット〟したのは、今から12年前の2007年のこと。ちょうどスティーブ・ジョブズがiPhoneをリリースし、ソーシャルメディアがアメリカで流行り始めていた年です。TwitterとiPhoneが情報発信のスタイルを変え、広告ビジネスの未来に危機を感じた私は、変化を選択しました。翌年、日本でiPhoneが発売されると同時に、私はソーシャルメディアでの情報発信を強化し、そのことで本を出版するまでになりました。今ではサラリーマンをやめ、社外取締役やコンサルタントとして、充実した時間を過ごしています。
自分にとって2007年は別の意味でも変化の一年でした。44歳だった私は「断酒」にもチャレンジし、生活スタイルを変え、人生をリセットしました。悪い習慣にサヨナラし、アウトプットを強化することで、過去の自分とは違う自分に生まれ変われたのです。
今回、本田直之氏の『50歳からのゼロ・リセット』を読むことで、当時の自分を思い出しました。あの時に〝変化〟を選んでいなければ、今もサラリーマンを続けていたはずで、未来を悲観していたことでしょう。
本田直之氏は「好奇心を持って行動すること」の重要性を指摘します。
大切なのは、「試しにやってみよう」という気持ちです。年齢に関係なく、この気持ちを持ち続けないと結果的に損をすることになります。試してみた結果、自分には必要ないと感じたら取り入れなければいいだけの話です。
テクノロジーは進化を続け、人々はそれをどんどん取り入れます。喰わず嫌いがあなたを劣化させてしまうのです。だからiPhoneでもソーシャルメディアでも、新しいことにチャレンジする。試しにやってみて、自分の仕事や生活が便利になると感じたら、それを取り入れ、周りの人にもそれを伝えるようにすればいい。それを徹底的に使い倒すうちに、自分のブランドを変えることができます。私はソーシャルメディアとiPhoneをビジネスに活用することで、出版ができ、自分のパーソナルブランドを強化し、独立につなげることができました。
ビジネスの中心世代は30代にシフトしています。彼らはネットネイティブな働き方に対応し、新しいものを取り入れ、より効率的な手法に切り替えています。変化に適応できる世代とビジネスを始めるためには、自分を変える必要があります。
50歳をーつの区切りに新入社員のような気持ちでやり直すなら、経験してきたやり方をすべて捨てるくらいの覚悟を持ちましょう。その代わりに、若い人たちの言葉に耳を傾けることです。彼らの世代には、わたしたちの時代にはいなかったようなレベルで優秀な人材が揃っています。
自分の今までの価値感を一旦捨てて、新たなテクノロジーや働き方を認め、自分をリセットしましょう。若い世代の価値と自分の価値を交換することで、新たなビジネスがスタートします。そこから起業や複業が始まり、自分の価値を今まで以上に高めることができます。
「変わるのは嫌だ」「このままでじゅうぶん」と変化を否定する人の人生は、ゆるやかに、でも確実に後退しています。
私は最近、定年後や50代での転職の相談を受けることが多いのですが、そんな場合は若い頃のことを思い出し、「本当にやりたいことに時間を使うように」と伝えています。やりたいことに時間を使うことで、本職以外の新しい価値を生み出せます。幾つかの強みを掛け合わせることで、新たな自分の価値が生まれ、そこからお金を稼げるようになります。
まずは、副業・複業からスタートし、そこから起業するのもアリでしょう。
人生は壮大な実験です。何が功を奏すか誰にもわかりません。だから、小さな試行錯誤を続けることです。幸い、わたしたちが若い頃よりも、ネットなどのインフラやデジタルツールの発展で、選択肢は増え、いろいろなことがやれる環境が整っています。
50代のビジネスパーソンがインターネットを使ったり、海外に出ることで、面白いビジネスが始まります。
私の場合、ネットの技術を活用したビジネスを思いつき、ドバイで起業したことがあります。ドバイという全く異なる環境に身を置き、チャレンジすることで、自分の可能性を広げることができました。ドバイでのビジネスは結局うまくいきませんでしたが、その時の異国での強烈な体験が、私のマインドセットを強化してくれました。
今はインターネット上のさまざまなサービスを駆使することで、お金と時間の両方のコストを限りなくゼロに近い形でビジネスをスタートできます。LCCで海外も身近になりました。これまで「なかなかできない」と躊躇していたことも、容易にできるような環境があるのです。当然、50代のビジネスパーソンにもチャンスは転がっています。
日本のマーケットがシュリンクする中で、経営者も既存のビジネス以外の新しい分野にチャレンジする必要があります。成長する海外に出るのも一つの選択肢だと思います。
たとえば私は最近、ベトナム・ホーチミンに大きなビジネスの可能性を感じています。人口が伸び、若い世代が元気なベトナムに、今月再び行こうと思っています。
「柔軟な発想を持ち、積極的に動く」……これはもはや若い人だけの特権ではありません。ネット活用や海外進出をすることで、50代以降の生活の選択肢と可能性を拡大できます。その流れに乗り、変化を楽しむことで、人生の後半戦をエンジョイできるようになるのです。本書はそのきっかけを与えてくれる良書です。
50代……〝人生100年時代〟と考えれば、先はまだまだ長い! 過去の自分のマインドやスキルをリセットして、新しいことにチャレンジしましょう。
複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。
サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
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