「『文章が読みにくい』と言われる。いい文章を書けるようになりたい」
「いい文章が書ける人、と思われたい」
このような声はよく耳にします。
しかし「どういう文章ならいいと言えるのか」を考えてみたことはありますか?
そもそも「いい文章」とは、どのようなものを指すのでしょうか。
『伝わるWebライティング -スタイルと目的をもって共感をあつめる文章を書く方法』(Nicole Fenton&Kate Kiefer Lee著 ビー・エヌ・エヌ新社)という本があります。
FacebookやMailChimp、Appleといった名だたる企業でライティングを担当してきたふたりの女性による共著なのですが、その中で「これほど端的に、いい文章について言い当てている一文はない!」と思わず膝を打った言葉があります。
すぐれた文章は、わかりやすく、役に立ち、フレンドリーです。
逆に、不明瞭かつ役に立たない文章とは、読者に「どういう意味だろうか」「もしかしてこういうことを言いたいのかな……」「いや、他の意味があるのかもしれない。
本当のところはどうなんだろう?」と要らぬ労力を強いるようなもの。
それでは、読む側にも書く側にもメリットがなくなってしまいますよね。
『伝わるWebライティング』における“フレンドリー”とは、この場合くだけているとかなれなれしいというより、相手のことを思いやって、そのような負担をかけないよう、すんなり伝わるように構成されている、ということを指すのでしょう。
文章を書き上げたら「わかりやすく、役に立ち、相手にとって親切か」を念頭に入れてチェックするようにしてみてください。
できれば、書いている最中も意識しましょう。
『ミザリー』『スタンド・バイ・ミー』など数々のヒット小説を生み出したスティーヴン・キングの著書に『書くことについて』(小学館文庫)という自伝的読本があります。
その中で書かれていることのいくつかをご紹介しましょう。
「文章はシンプルであれ」と言わんばかりのメッセージですね。
別のページで彼は、
何かを書くときには、自分にストーリーを語って聞かせればいい。手直しをするときにいちばん大事なのは、余計な言葉をすべて削ることだ。
とも触れています。これはスティーヴンがかけ出し記者だったころにリスボンの週刊新聞の編集者に言われた言葉だそうですが、それ以来ずっと「文章は飾り立ててはならない。
手直しするならどんどん削るべきだ」と思っていたのでしょう。
ごちゃごちゃ飾り立てた文章は読みにくいもの。
ひと言ですべてを言い表せるような表現をいかに身に着けるか。
それには読書量を増やし、語彙のストックを溜め込んでおく必要があります。
読書でいえば、自分が書きたい文章の読者となりうるターゲット層が読みそうな書籍や雑誌に目を通し、文章のトーンを把握するのも手です。
私も実際、女子大生や新人OL向けの商品やサービスならいわゆる「赤文字系雑誌」、ママでもおしゃれや暮らしに気を使いたい人向けなら「LEE」、40代サラリーマン向けなら「UOMO」など、ターゲットが読みそうな雑誌から情報を拾ったり文章のトーンを参考にしたりします。
雑誌だけでなく、書籍も参考にしましょう。
現役バリバリのビジネスマン向けに役立つ情報を発信したいなら、人気のビジネス書を。
自分が好きな作家、この人の文章は上手いと思う作家の本を熟読し、いい文章を学ぶのもおすすめです。
新聞のコラム欄を参考にするのもいいでしょう。雑誌や書籍は、文章上達の一番のテキストです。
文章は、文章からでしか学べない。それを肝に銘じ、語彙力や表現法を磨いてください。