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  • リーダー、経営者に必要な「思考」と「視点」を考える! 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 その2 (出口治明著 KADOKAWA)
  • リーダー、経営者に必要な「思考」と「視点」を考える! 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 その2 (出口治明著 KADOKAWA)

    2019/06/21  マネジメント

    出口治明氏の座右の書『貞観政要』には、ビジネスマン、特にリーダー、経営者といった「上に立つ人」にとっての叡智が満載。先回に続き、さらにこの偉大なる歴史的ビジネス書から学べることを紹介します。

    (徳本昌大氏のブログ「毎日90秒でワクワクな人生をつくる」掲載文を再編集)

     

    礼楽(タテヨコ思考)が、なぜ経営者に必要なのか?

     

    楽は風俗を移し易え、礼は上を安んじて民を化する働きがある。楽は、志をのべ精神を和らげようとするものである。礼は、己の欲望をおさえ、身を修めようとする。(貞観政要)

     

    唐の時代の太宗・李世民の言葉をまとめた『貞観政要』には、「礼楽」を学ぶことの重要性が書かれています。

    礼楽は、古くから儒家によって尊重されてきました。礼とは、社会の秩序を定めるもので、祖先や目上の人を大切にすること。上に立つ人は、宇宙の秩序や世界の根本原理をよく知っておくべきだという教えです。

    楽とは、人心を感化する音楽のことで、広く理解すれば、風俗や文化を指します。

     

    出口治明氏は、礼楽とは「タテヨコ思考」のことだと述べています。出口氏は、人類の歴史に照らし合わせて考えることを「タテ思考」と、世界の人々のさまざまな状況と照らし合わせて考えることを「ヨコ思考」と呼んでいます。タテ軸は、先人の話を聞くことであり、本を読むことです。ヨコ軸は、自らの足で世界を歩き、見聞を広めることです。

     

    私(徳本)もこの出口氏の考え方に賛成です。読書をして、海外に旅することで人は自分の可能性を広げられます。リーダーは「忙しいから」を言い訳にせず、読書と旅に出る時間を確保すべきです

     

    問題に直面したら、先人の知恵から学ぼう!

     

    人間はみな一緒(ホモ・サピエンスという同一種)なので、何か解決すべき課題があるなら、昔の人がどうしていたか、また世界の人が すべき課題があるなら、昔の人がどうしていたか、また世界の人がどうしているか、うまくいっている事例を歴史と世界の中から探し出せばいい。

     

    タテとヨコに思考を広げれば広げるほど、正しく素早い判断ができるようになると出口氏はいいます。いろいろな人が生きてきた事実を知れば知るほど、多様なものの見方ができ、判断を間違えなくなります。

     

    人間の社会について洞察するときは、過去に起きたことと、世界の人がどうしているのかを知ることが一番です。問題に直面した時には、古今東西の歴史の中から似たようなケースを探し出して、先人たちがどのように対処したかを調べるとよいでしょう。

    最近、日本のメディアの記事がちゃんと事実を伝えていないように感じています。そのため、私は海外のメディアやソーシャルメディアから情報収集しています。様々な情報に接することで、多様な視点を持てるようになり、判断を間違えなくなります。また、自分の視座を広げることで、内向き思考になることも防げます。

    もちろん、時には時間を作り、海外に出て、自分の目と耳で現地の実態を体験するのもよいでしょう。海外とのギャップを知ることで、斬新なアイデアやビジネスのヒントが見つかります。

     

    現代のように進化が激しい時代には、リーダーも絶えず変化する必要があります。礼と楽、タテとヨコの思考軸を持つことで、経営者は失敗を減らせるようになります。

     

    リーダーは目先の小さな利益を追うな!

     

    目先の小さな利益に目がくらむと、大きな利益を失う。 (出口治明)

     

    さらに本書では、「欲に目が眩む愚かさ」についての話が紹介されています。リーダーは物事を考えるときは、時間軸の概念をとり入れることが大切です。目先の利益ばかりを追求すると、長期的な利益を失うことが多々あるからです。

     

    『貞観政要』にも、こうした例が紹介されています。

     

    官吏(国家機関に勤務する公務員)は、特別に優遇されて、たくさんの給料を得ている。人から賄賂を受けたところで、数万にすぎない。ひとたび賄賂が発覚すれば、免職となって、給料を取り上げられてしまう。そのことがわからず賄賂をもらうような者たちは、小さい利を得ようとして大きな利を失っている者である。

     

    昔から役人に賄賂はつきもので、古今東西の日本の官僚も誘惑に負け、失職する人が多いですが、時間軸を考えれば、失敗を防げます。甘い誘惑に負け、目先の賄賂になびくとその後の人生を棒に振ることになります。リーダーは時間軸を正しく設定し、自らのビジョンを達成するために行動すべきです。

     

    次の秦の恵王の事例を読むと時間軸の重要性を理解できます。

    秦の恵王は、蜀を攻略しようとしたが山が険しくて、どうやったら蜀に行けるのか道がわかりませんでした。そこで恵王は5頭の牛を用意して、牛の後ろに黄金を置きました。蜀の人はこの牛を見て、牛が黄金の糞をすると思い、恵王にそのことを伝えます。蜀王はこの牛が欲しくなり、力の強い人間を集めて牛を引かせ、蜀まで牛を運んでしまいました。牛が通ったあとには道ができたため、秦の軍勢は、この道を通って蜀に攻め込み、蜀を滅ぼしてしまったのです。

     

    時間軸を正しく設定することが、リーダーの重要な役割

    恵王と蜀王の故事から読み取れるのは、時間軸を考えることの大切さです。蜀王は、短期的にしか物事を考えることができませんでした。黄金に目がくらんだ恵王は、攻めるのが難しい蜀を簡単に失ってしまったのです。

    リーダーは物事を考えるときは、時間軸の概念をとり入れることが大切です。目先の利益ばかりを追求すると、長期的な利益を失うことが多々あるからです。

    リーダーや経営者は時間軸を自由に使える権限を持っています。長期の事業計画をつくることが経営者の本当の仕事かもしれません。目先の利益にこだわりすぎると、長期の視点が欠け、新たなチャレンジができなくなります。経営者は長期的な視点に立ち、現場では考えられない戦略を考え、競合に打ち勝つ必要があるのです。

    10年先を考え、世の中に貢献するビジネスを考えることが経営者に求められています。

     

    歴史を学べば未来が見える!? 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』その1

    この記事を書いた人の情報
    徳本昌大
    徳本 昌大

    複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。
     サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
    https://tokumoto.jp/

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