メルマガ登録
  • ストスマ
  • >
  • マネジメント
  • >
  • 歴史を学べば未来が見える!? 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 (出口治明著 KADOKAWA)
  • 歴史を学べば未来が見える!? 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 (出口治明著 KADOKAWA)

    2019/06/14  マネジメント

    古今東西、リーダーのバイブルとなっている中国の『貞観政要』。ライフネット生命創業者の出口治明氏にとっても、それは〝座右の書〟であるという。氏はこの古典から何を学び、どう生かしたのだろうか?

     

    (徳本昌大氏のブログ「毎日90秒でワクワクな人生をつくる」掲載文を再編集)

     

     

    リーダーが「いい判断」をするために大切な3つのこと

    「いい判断」をするために大切な3つのこと

    「過去の失敗に学ぶ」「善人を登用する」「戯言に耳を貸さない」(出口治明)

     

    唐の太宗である李世民と諫議大夫の楮遂良の会話から、出口治明氏は「リーダーがいい判断をするために大切な3つのこと」を紹介しています。

     

    李世民は楮遂良に、「あなたは、君主の言動を記録する役割も兼ねている。私が行っていることの善悪も記録しているか」と尋ねました。楮遂良は、「史官の記録には、君主の挙動をすべて書き記してあります。善事だけでなく、過失も含め、包み隠さずに記録しています」と返事をしました。

    楮遂良の返事を受け、太宗は次のように言いました。

     

    太宗曰く、朕、今、勤めて三事を行ふ。亦、史官が吾が悪を書せざらんことを望む。一には則ち前代の敗事に鑑み、以て元亀と為す。二には則ち善人を進用し、共に正道を成す。三には則ち群小を斥け棄て、護言を聴かず。吾能く之を守り、終に転ぜざるなり、と。

     

    太宗は、「史官(歴史の編さんや文書の記録をする役人)が私のことを悪く書かないことを望む」と自分の気持ちを正直に告白しています。太宗は、自分が纂奪者であり、マイナスからスタートしていることを自覚していました。彼は評判を守り、後世に名を残すために、自分の行動を律していたのです。悪口を書かれないために、日々、部下の諫言を聞き、正道を成していました。

     

    太宗は、悪く書かれないようにするために、3つのことを実践していると楮遂良に述べています。

     

    1. 過去の皇帝の失敗から学ぶこと
    2. 善良な人や行いの正しい人とともに、道義的に正しい道を歩むこと
    3. 取るに足らない人たちは退けて、嘘、告げ口、悪口は聞かないこと

     

    「フラットでオープンな組織」をつくれ!

    歴史を見ればすぐわかることですが、人間は、同じ失敗をなんども繰り返しています。先人の失敗を学ぶことで、自分が失敗するリスクを減らせます。

     

    また、リーダーには「良い人脈」が欠かせません。噂話や与太話を聞いていると、優秀なリーダーも判断を間違えます。善人をそばに置き、閣議を設け、みんなで一緒に議論をすることが大切です。

     

    そして部下も堂々と意見を述べる必要があります。情報はすべてオープンにし、議論すべきだと太宗は考えていました。オープンな組織をつくり、オープンな議論の上で組織の進むべき道を決めるのが、公正な組織のあり方です。

     

    リーダーと特定の部下が、ヒソヒソ話を好んでいるかぎり、正しい判断を下すことはできません。「善人を進用し、共に正道を成す」「群小を斥け棄て、護言を聴かず」と考えることで、太宗は「フラットでオープンな組織」をつくれたのです。その結果、太宗の時代に唐は最強な国家として繁栄することができました。

     

    過去の失敗から学び、良い人脈とともに「正しい道」を議論する。そして嘘、告げ口、悪口を聞かず、そのようなことを言う人は退ける……これを実践することで、「フラットでオープンな組織」をつくることができます。

     

    リーダーのための「360度評価」

     

    リーダーは、相手を選ばずに人の話に耳を傾けるべきです。リーダーは、情実や好き嫌いで話を聞く相手を選んではいけません。茶坊主やゴマすり上手な職員の話ばかり聞いたところで、上司に都合のいい話しか聞くことはできないでしょう。リーダーには、相性の悪い人、嫌いな人、厳しいことをいう人の意見にこそ耳を傾け、それを正面から受け止める姿勢が求められているのです。(出口治明)

     

    貞観2年に、唐の太宗(李世民)が臣下の魏徴に「どのような人物が明君で、どのような人物が暗君だと思うか?」と質問しました。日頃から太宗に対して諫言を行う魏徴は、以下のように答えます。

     

    君主が明君と呼ばれるとしたら、その理由は、多くの人の意見を聞いて用いるからです。反対に暗君と呼ばれるとしたら、その理由は、一方の人のいうことだけを信じるからです。

     

    なぜ、多くの人の意見を聞く必要があるのか? それは、見る人、見る角度によって、物事の見え方が変わるからです。 物事は見る角度によって、善にもなり、悪にもなります。したがって、物事を公平に、客観的に評価するためには、さまざまな視点からの意見を集める必要があります。

     

    魏徴が太宗に伝えているのは、「360度評価」の大切さです。360度評価とは、複数の人が評価を行う評価方法です。評価者の評価の違いに着目することで、物事を的確に、立体的に捉えることができます。一部の人の言うことを鵜呑みにするのではなく、リーダーは厳しい部下の言葉を聞かなければなりません。

     

    さらに、リーダーの大事な仕事のひとつは、「事情がわからない中で右か左かの判断を迫られること」です。そのときのためにも、情報をたくさん集めるべきです。様々な部下を用いて、よい情報に積極的に接するようにしましょう。

     

    明君は多くの人の意見を聞いて、よいアドバイスを実践します。一方、暗君は一部の人のいうことだけを信じます。リーダーには、相性の悪い人、嫌いな人、厳しいことをいう人の意見にこそ耳を傾け、それを正面から受け止める姿勢が求められるのです。

     

    リーダー、経営者に必要な「思考」と「視点」を考える! 『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 その2

    この記事を書いた人の情報
    徳本昌大
    徳本 昌大

    複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。
     サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
    https://tokumoto.jp/

    いつまでも錆びない経営者、チャレンジする経営者のための新情報、お役立ち情報が満載のメールマガジン!

    メルマガ登録はこちら

    INTRODUCTION

    紹介
    頑張る経営者のためのお役立ちメディア
    ストリートスマートメディア運営
    株式会社しごとのプロ出版
    〒108-0074 東京都港区高輪3-25-22
    About
    Copyright ©2019 ストリートスマート by しごとのプロ出版 All Rights Reserved.