SNS採用……あなたの会社も取り入れていますか?
今や、誰もがTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントを持ってるのが当たり前の時代になっています。そのアカウント自体が時には履歴書よりもその人となりを表し、ポートフォリオとして扱われ、〝SNSきっかけ〟で企業に採用されるというケースが少なくありません。
今回は、実際にTwitter採用されたケースをご紹介していきながら、現代におけるSNS採用について考察していきます。
低カロリーで塩分控えめなヘルシー料理を提供する「タニタ食堂」でおなじみの「株式会社タニタ」では、社長からの「Twitterで募集したら?」の一声により【Twiiter中途採用】を実施し、話題になりました。当時、28万人ほどいた公式Twitterのフォロワーに告知したつぶやきがこちらでした。
(引用:タニタのツイート画面より)
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タニタに転職したい人RT
#タニタ公式中途採用
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140文字という制限があるTwitterの中で、必要最低限のごくごくシンプルなこの告知内容ツイートは、9000件弱のリツイート、3000件超えの「いいね」を記録。
タニタの公式サイトには一切掲載はせず、Twitterからしか入れない応募フォームを設置し、その後、履歴書と企画書を送付してもらうといった応募方法でした。
エントリーがあったのは100人。そのうちの30人から履歴書と企画書を送られてきたとのことです。
「Twitterからしか入れない応募フォーム」ということで、当然のように応募者のTwitterアカウントはチェックされます。
どんな人をフォローしているのか、どんなことに興味を持って発言しているのかなど……まさにそれは応募者のプライベートな部分。
一般の採用面接では、スーツを着て理論武装をし、取り繕ったり良い意味で嘘をついたりと、表面的な部分しかわかりません。
Twitterの場合は、応募者のアカウントを見ることで、ある意味、面接よりも人となりを把握することができます。
また、採用する企業側にとっては、募集する際にかかる掲載料や仲介料などの費用がかからないため、コストがゼロに近いということもメリットになります。
今回のケースでは、タニタのTwitter担当者が日頃、フランクにツイートしていることも影響し、シンプルな短文の採用募集ツイートがバズりました。その結果、たくさんの応募が届いて、Twitter採用が成功したとも考えられます。
もう1つの例としてご紹介するのが、Twitterを通じて企業側から「ウチで働きませんか?」とオファーされたというケースです。
日本人初の1億円プレイヤー誕生や、日本人がNBAドラフト9位指名を受けたニュースなどで話題沸騰中の日本バスケットボール界……。
その国内男子プロバスケットボールのTOPリーグである『Bリーグ』のクラブや選手を分析し、Twitterで発信していた『Bリーグ分析人』というアカウントがあります。
そのアカウントでは、”フォロワー数が多い選手ランキング”や、”バスケW杯本戦メンバー予想”、”得点や出場時間など全6項目で数値化し分析した新人王ダービー”などを独自に分析し、一目瞭然の表とともにツイートしていました。
それを見ていた3人制プロバスケットボールチーム「TOKYO DIME」のオーナー兼・現役Bリーガーの岡田優介選手から「3×3(3人制プロバスケットボール)事業に興味はありませんか?」と、『Bリーグ分析人』にDMが届きます。
2020年オリンピックの正式種目にもなった「3×3」の市場がこれから大きくなりつつある中で、そのDMをきっかけに広報担当として採用されることになったのです。
「将来こうなりたい」というビジョンが明確になっている人が自分の好きなことを発信した結果、そのビジョンに賛同した企業が「弊社で働きませんか?」とオファーを出す……。
企業側からすると、「こういった人材が欲しい」という明確なイメージがあれば、それに合った人物をTwitter内で探すことが可能、というわけです。また、採用面接の場では出会えないような人材にSNSでは出会えるというのもメリットの1つです。
ご紹介したTwitter採用の2つのケースから見えてくるのは、プライベート(趣味)と仕事の境目が曖昧になりつつあるということです。
基本的にプライベートで利用しているSNSアカウントが、採用の判断材料となったり、評価されて「仕事にしませんか?」と逆にオファーされたりします。
「仕事と趣味を切り分けることが当たり前という時代」から、「些細な趣味が仕事にもなりうる時代」へと、SNSの発達により少しずつ変化していっているのではないでしょうか。
頭の柔らかい企業はどんどんこのSNS採用を取り入れています。今やSNSアカウントは、“優秀な人財”を見つけるための、身近で手軽なツールとなりつつあるのでしょう。
逆に就職先を探す就活者たちもまた、自分の興味のある様々な分野の企業の公式アカウントや、社長の公式アカウントに注目し、逐一チェックしています。
今一度、社長自身や企業のSNSの公式アカウントを見つめ直す必要があるかもしれません。
【文責:編集部】