日本最大の観光名所として知られる京都。大型連休などはファミリーで観光旅行に行く人も多いと思います。京都観光と言えば、「寺社仏閣をめぐり、景観を楽しみ、歴史に思いを馳せる……」そんな方が多いのではないでしょうか?
確かに寺社仏閣が多く、景色も鮮やかな京都ですから、それらを見て周るのがモデルコースと言われています。でもそれって、家族旅行においては子供目線を無視したオトナ目線の“オトナよがり”かもしれません。特にまだ年齢的に幼い子供は、「歴史なんかよりもっと楽しい所に行きたい!」と思っているはずです。オトナも子供も両方が楽しめる、そんな旅行にしてあげてはいかがでしょう?
安心してください。京都は寺社仏閣だけではありません!いま地元京都では「攻めているな~」と、かなり話題になっているおすすめのホットスポットがあるんです。それが「京都水族館」。
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京都水族館は、2012年3月にオープンしたばかりの新しい施設です。いま、この京都水族館が“攻めている”と話題になっています。そもそも水族館は海の近くにあることが多いのですが、京都水族館は珍しい内陸型で、内陸型水族館の中では日本最大級の規模となります。とはいえ、一般に大型水族館と言われるその他の水族館と比べると、展示されている生物は150種15,000匹、水槽総容量は約3000トン。例えばお隣の「大阪海遊館」に比べると、かなり小さめの規模となります。2、3時間あれば充分に周れる広さです。
それでも大阪海遊館ではなく、京都水族館に行きたいという声が最近どんどん多くなってきています。どうしてそんなに注目されているのか?一般的な水族館とどう差別化をはかっていて、どのような魅力があるというのか?確かめるため、実際に行ってみました。
館内に入って最初の「京の川ゾーン」でまず目に飛び込んでくるのが、オオサンショウウオです。京都の地元を流れる鴨川に生息しているというオオサンショウウオですが、まずその体の大きさに驚くことでしょう。水槽の隅に巨体を寄せ合っている姿は、インパクト大です。
京都水族館はオオサンショウウオを特に水族館の目玉として推していて、「オオサンショウウオの日」を制定するほどです。オオサンショウウオの姿形が数字の「9」に似ている事と、9月ごろからオオサンショウウオの活動が繁殖のために活発になることから、「9月9日」を「オオサンショウウオの日」として、京都水族館が2018年4月に一般社団法人 日本記念日協会へ申請し、認定されました。それほどまでにオオサンショウウオ愛に溢れています。
館内には、オオサンショウウオは直接触るのは危険なため、触感を再現できるレシピも紹介されています。
館内のショップでオオサンショウウオのぬいぐるみを購入すると、ショップのスタッフから独特のかけ声をかけられるとSNS上でも話題となっています。5種類のサイズ展開をするオオサンショウウオぬいぐるみの中で、一番大きいXXLサイズとXLサイズを購入すると、レジでの精算が終わったタイミングでレジスタッフから「オオサンショウウオお買い上げ~」と威勢のいい大きなかけ声がかけられ、その後ショップスタッフ一同で「ありがとうございま~す!」と言うコールがされます。ホストクラブのシャンパンコールさながらのそのかけ声は、面白がってくれる人もいれば、恥ずかしがって逃げていく人もいるといいます。このように、京都水族館は全館あげてオオサンショウウオを激推ししています。
京都水族館はカフェにも力を入れていて、ユニークで美味しいメニューがたくさん取り揃えられています。中でも人気なのは「すいぞくパン」という、海の生き物の姿を模したかわいらしいパンです。ダジャレのようなその名前と、かわいらしい見た目から、子供向けのパンと思いきや、前日の夜からじっくり発酵させて形づくった本格的なものです。
他にも、スイーツなのにいわしの生姜煮を豪快にトッピングした「桜といわしのパフェ」や、皿の上で今にも動き出しそうなニセクロナマコを再現したスイーツ「偽「ニセクロナマコ」ロール」など、メニュー名だけではとても食欲がわくとは言いづらいものがラインナップされています。店員さんに聞いてみると、「メニューを開発するときには、美味しそう、かわいく見えることよりも、いかに対象の生き物を忠実に再現できるかに重きを置いている」とのこと。
その見た目に驚かされるものばかりですが、味をどれも意外にとても美味しいので、お試ししてみることをおすすめします。
京都水族館はスタッフの愛が溢れるユニークな企画も話題になっています。水族館で飼育される約60羽のペンギンのブースの隣には、「ペンギンにも個性と、人間関係のような複雑な関係があることを知ってほしい」という飼育スタッフの思いから、数ヶ月かけて親子や兄弟関係・夫婦やカップルなどの恋愛事情が、テレビドラマなどで作られるようなペンギン関係の相関図として一覧表にまとめられていて、それを眺めながらペンギンを観察する楽しみがあります。
(京都水族館公式ツイッターより引用)
一番モテる「てら(メス)」の複雑な恋愛事情をはじめ、飼育スタッフの小島さんが「たけ(オス)」に巣箱に誘われて、その行為に嫉妬した別のメス「うめ」が小島さんに攻撃をしかけていることなど、飼育員を巻き込んだペンギンたちの関係が、こと細かにまとめられています。昼メロのようなドロドロとしたペンギンたちの関係に、ついつい見入ってしまうと来館者に大ウケしています。
ペンギンを人間のように扱っている例としてもう一つ目を引いたのがこちら。
会いに行けるペンギンアイドルユニット「MIYA-CCO(ミヤッコ)」です。飼育スタッフが選出したという厳選された11羽のペンギンから構成されています。11羽の鳴き声から作成されたデビュー曲「モノクロームラブ」は、実際にiTunesで配信されているそうです。
水族館デートを盛り上げる企画『LOVE SUPPORT PROJECT』においての、「来館者からの恋愛相談にスタッフが真剣に答える企画」でも、スタッフの斜め上すぎる珍回答に注目が集まりました。
「好きな人が卒業してしまったのですが、どうしたらいいですか?」という質問に、「クマノミという魚は彼女がいなくなると自分が女性になろうとします(性転換)。思い切った切り替えって大事やと思います」と答えるなど、企画中は回答用紙を読む人で溢れたといいます。
このように、楽しませようとするがあまり、「“過ぎる”内容」が多いことから、攻める水族館と言われているんですね。
もちろん、おふざけだけではなく、楽しいひとときを思い出に残すための、本当に嬉しいお役立ちサービスもあります。無料で専属カメラマンが写真撮影をしてくれる予約制サービス「Aqualbum(アクアルバム)」を行っています。無料にもかかわらず、プロのカメラマンが約1時間も同行して撮影してくれるという、夢のようなサービスです。
京都水族館が公式ツイッターで実施したアンケートで、回答者の約半数の人が、写真サービスが有料で買うかどうか迷ってもやもやし
た経験や、道行く人に写真を頼みづらい経験があることがわかったため実地された企画です。
「Aqualbum」の予約ができなかった人にもクオリティ高い写真を提供できるよう、水族館スタッフが人気インスタグラマーの「インスタ講座」を受講したというサービスの徹底ぶりです。講座を受講したスタッフは受講完了バッチをつけており、気軽に写真撮影を頼めるようにしています。
でも結局こちらのサービスも、スタッフの徹底ぶりが良い意味で“やり過ぎ”でしたね(笑)
(まとめ)
色々と茶化してしまいましたが、決して馬鹿にしているわけではありません。京都水族館は、スタッフの動物への愛が溢れるユニークな展示と企画が満載です。愛が溢れるあまり、マニアックすぎる展示やメニューが多々あり、結果として他に見たことがない水族館として来館者を楽しませています。
オトナの方々も、きっと京都旅行に行ってきたという話になった時に、ありきたりな寺社仏閣や景観などの感想ではなく、周囲の人たちを楽しませるための話題のネタにもなるはずです。そんな“いま”話題の京都水族館。一度は足を運んでみることをおすすめします。
【文責:編集部】