「お腹がぽっこりしてきた」「ズボンのファスナーが上がらない」という人は、メタボリックシンドロームにご用心。「健康診断で引っかからなかったから大丈夫」と思っていても、いつのまにか基準値を超えてしまうかもしれません。
今回は、メタボリックシンドロームの診断基準について詳しくご説明します。
「メタボリックシンドロームとかメタボとかよく聞くけど、そもそもどういう状態なの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
メタボリックシンドロームとは、肥満(内臓脂肪型)と高血圧、高血糖、脂質代謝異常(高脂血症)※1が重なり、動脈硬化が原因で起こる心臓病や脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞などの病気になりやすい病態を指します。
このような動脈硬化が引き起こす重篤な病気を未然に防ぐために、肥満の度合いや血圧、血糖、コレステロール値がある一定の基準を超えていないかどうかを定期的にチェックする必要があるのです。
※1脂質代謝異常(高脂血症):体内で脂質が上手く調整されない、食事からのコレステロールが多すぎるなどの原因により、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が多い、あるいはHDL(善玉)コレステロールが少なくなっている病態。LDLコレステロールが血管へたくさん運ばれるとドロドロとした粥状の物質が血管壁にたまり、やがて動脈硬化をまねきます。
内臓脂肪蓄積がどれくらい蓄積されているかを必ずチェックします。
男性の場合、ウエスト周囲径(腹囲)が85cm以上(女性は90cm以上)かどうかを計測します。
必須項目に加え、以下の3項目のうち2項目が当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。
なぜ内臓脂肪が必須項目なのかというと、内臓脂肪が高血圧や高血糖、脂質代謝異常に比較的関わっていることが近年の研究によってわかってきたからです。そもそも内臓脂肪は、いわゆる「エネルギーの蓄え」。しかし、内臓脂肪が必要以上に増えてしまうと、先に述べたような動脈硬化性の疾患を引き起こしてしまいます。
食事では、食べ過ぎを避け「腹八分目」にとどめましょう。野菜たっぷり・動物性脂肪が少なめの和食をメインに、バランスのいい食事を心がけてください。夜遅くにドカ食いするなんてもってのほか。間食やアルコールも控えましょう。
血圧が高めの人は塩分の摂り過ぎにご用心。ラーメンのスープは飲み干さない、醤油をかけ過ぎないなどの工夫が必要です。LDLコレステロール値が高めの人は、コレステロールを多く含むレバー、卵、タラコなどは控えてください。
定期的な運動も欠かせません。ウォーキングやジョギング、エアロバイクなどの有酸素運動で脂肪を燃焼しましょう。軽いウォーキングから始めてみたり、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使ったり、というのもいいでしょう。医師と相談の上、できる範囲から取り組んでみてください。
今はまだ基準値を下回っていても油断は禁物。食べ過ぎや運動不足がすすめば、あなたもメタボリックシンドロームの診断基準に引っかかってしまうかもしれません。
食事や運動に気を配り、健康的に過ごしましょう。
【文責:編集部】