「ゆくゆくは海外進出して、世界のシェアを取っていく! 」という野望を持っている社長さんも多いでしょう。海外進出って、ワクワクしますよね。時代はGo Global。海外の販路を開拓したり、海外に事業拠点を持つことは、やがて普通のことになるはずです。それは大手企業だけの話ではありません。中小零細企業でもベンチャー企業でも、海外進出は当たり前のことになるでしょう。
「日本でうまくいったから、海外でもいけるだろう」
「日本の高品質な商品は、粗悪品が多いアジアなら絶対に売れる」
「親日国なら、日本人経営者やマネージャーは尊敬されるはずだ」
そう考える日本人の方は多いかもしれませんが、実際はそう簡単ではありません。海外でも活かすことのできるノウハウはたくさんあると思いますが、全く同じことをしても同じ成果を生むとは限らないでしょう。日本商品は確かに人気ですし、「日本製品だから」と安心して買ってくれるローカルの人が多いです。しかし、オーバースペック(過剰品質)な商品を持ち込んでしまい、高すぎて売れないということもあります。また、ASEAN諸国は親日国がとても多いですが、「日本人(外国人)から指示を受けたくない(使われたくはない)」という声も聞かれます。親日国の方が嫌日国よりは仕事がしやすいということは確かにありますが、上から目線のマネジメントではだれもついてきてはくれません。
仮説を立てて事業を進めていくことはとても大切なことですが、思い込みで進めると予期せぬ事態に陥ることがあります。思い込みは捨てて、謙虚さと進出する国やそこで暮らす人たちへの敬意を持つことが重要です。
これまで培ってきたノウハウや技術がありますから、本業で海外進出したいと思うのは自然なことです。しかし、勝手の違う海外では思いどおりに進まないことの方が多いでしょう。そのため、「なぜ日本のようにいかないんだ! 」とイライラしてしまうかもしれません。そのうち、「駐在員が悪い」「商習慣が違いすぎる」「この国の国民はダメだ」「民度が低い」と、事業がうまくいかないことを自分以外のせいにし始めます。
それならいっそ、ノウハウのない本業以外の事業で進出するのも良いかもしれません。私は、インドネシアのバリ島でアパート建設と運営をしています。現地法人を設立しており、業種はデベロッパーです。一緒に経営しているのは、日本で会計事務所を経営している税理士の方です。つまり、本業ではないことを海外で行っています。ちなみに私も不動産業は本業ではありません。実家は古いアパートを所有してはいますが、これまで日本の不動産業に関わったこともありません。
このように、ノウハウがないからこそ他業種で日本の中小企業や個人が海外進出し、副業・複業的に経営しながらも一定の実績を作っているケースもあります。
『グローバルM&Aで中小企業の海外進出を実現! 』の記事
(https://shigopro-labo.com/street-smart/shoukei/maglobal/)で書いたように、必ずしもゼロから現地で事業を立ち上げる必要はありません。中小企業の海外進出の手段として、M&Aを活用することはとても有効だと思います。
日本国内の中小企業の多くが後継者不在や後継者不足に悩んでいますが、それは海外の日系零細企業や日本人オーナーの店舗などでも同じことが言えます。
「たまたま現地に移住したけど、そろそろ日本に帰りたい」
「もう年なので、お店に立ち続けるのは正直しんどい」
「もう海外での生活にも、今の仕事にも飽きた」
これらの理由から、事業譲渡やM&Aを考えている現地在住の日本人の方もいらっしゃいます。M&Aで事業を買う以外にも、現地の不動産などを所有・保有することで、現地に足を運ぶ頻度を増やし、海外での人脈を築いていくこともできるでしょう。現地の商習慣や法律などを知り、現地でネットワークを作ってから、本業や副業・複業で海外進出を考えても遅くはありません。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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