小規模な会社や事業の売買である「スモールM&A」が最近、中小企業やベンチャー企業の間で活発になってきました。ゼロベースから事業を立ち上げるよりも、すでに軌道に乗っている会社や事業をM&Aした方が、確かに効率的ですよね。時間を買うという意味でも、ノウハウを買うという意味でも、失敗確率を下げるという意味でも、M&Aは有効な起業の手段です。海外進出や海外事業は、多くの日本人経営者にとっての野望ではありますが、その分ハードルは高く躊躇してしまいがちです。しかし、M&Aを活用して海外進出を実現するのはどうでしょうか? 今回は、ASEANの人口No.1の国・インドネシアでのM&Aにおける注意点をご紹介します。
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とにかく悪いブローカーが多いです。もっともこれは、インドネシアに限った話ではありませんし、M&A業界に限った話でもありません。「海外不動産投資で騙された」という話をよく聞くと思いますが、悪徳ブローカーはさまざまなシーンで暗躍しています。もちろん、ブローカー(仲介業者)も立派なビジネスの一つですので、全否定はしません。しかし、一人の仲介者からの情報を鵜呑みにせず、複数の情報ルートから情報を取ることがインドネシアでは必須です。それはおそらく、他のASEAN諸国でも欧米などの先進国でも同じことでしょう。情報元の人物が本当に信頼できる人かどうか、よく検討してから話を前に進めることをオススメします。私もブローカーに振り回された経験がありますが、それはまた別途本サイトに書きたいと思います。
日本では、税務署の印が押された決算書は信用できる資料であるはずです。しかし、この感覚をインドネシアに持ち込むことは危険です。二重帳簿、三重帳簿が当たり前なのがインドネシア。例えば…
というように、いくつかの帳簿を使い分けていることが多くあります。売り手企業から提出された帳簿が上記のどの帳簿に該当するのか、必ず裏を取る必要があるでしょう。もちろん、証券取引所に上場しているような企業であれば話は別ですが、インドネシアの中小企業や零細企業をM&Aする場合は、帳簿に正しい売上と経費が記載されているかどうか要注意です。
これもインドネシアに限った話ではないのかもしれませんが、M&Aした後のリストラ計画や人材確保は難航します。インドネシアでは、転職を繰り返すジョブホッピングが一般的です。日本人のように(“かつての日本人のように”と表現した方が適切かもしれませんが)、「一社に忠実に」という考え方ではありません。より良い条件の会社に転職することが一般的です。そのため、「だれに会社に残ってもらえるか」「雇用条件はどうするか」「新規採用する必要はあるか」などを予めプランする必要があります。そして何よりも、現地のスタッフの方々の考え方を尊重し、経営者として敬意を表すことが大切です。宗教への理解も当然ながら必要になってきます。インドネシアだけでなく、ASEAN諸国の方々に謎の上から目線で話す日本人の方はとても多いのですが、上から目線でプレッシャーをかけるようなマネジメントでは、だれもついてきてはくれません。インドネシアでのマネジメントの話も、本サイトで後日書きたいと思います。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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