『社長なら必ず知っておきたい「スモールM&A」という選択肢』でお伝えしたように、M&Aという選択肢を取る経営者の方が増えています。社長の高齢化や後継者の不在、人材不足による黒字倒産回避など、M&Aを選ぶ理由はさまざまです。しかし、「自分の会社を売却する」という決断はなかなかできないもの。そんなとき、スモールM&Aアドバイザー(ソーシングマネージャー)はどうすれば良いのでしょうか?
「ゼロから会社を立ち上げて、数十年にわたって会社を経営してきた」。そんな創業者の方々にとって、会社は商品ではなく、人生そのものです。
M&A案件を仲介するアドバイザーやコンサルタント、M&A仲介会社にとっては、売り案件はある意味商品ですが、会社を「商品」と認識して売却する経営者の方は皆無でしょう。時間もお金もなかったであろう創業期から、地道な努力を重ねて経営という戦いをしてきたわけですから、買い手企業から声がかかったとしても簡単には決断できませんよね。
「M&Aで会社を売る」という選択肢が頭に浮かんだ後も、さまざまな不安が押し寄せてくるはずです。
不安だらけのなかで、M&Aアドバイザー(ソーシングマネージャー)がいきなり「はい。では会社を売りましょう。お手伝い致します。アドバイザー契約書はこちらです」と言ってきても、経営者の方は正直なところ話を前に進めて良いものか、より一層悩んでしまいますよね。
「本音を話せる相手」になれなければ、アドバイザー契約を結んでいただくことは不可能でしょう。まずはひたすら傾聴し、本当に売却という選択肢が適切なのかどうかをM&Aアドバイザー(ソーシングマネージャー)として相談に乗りながら出口戦略や意思を固めていただくのが良いと思います。
M&Aを含む会社の出口戦略や経営者のその後の人生の相談に乗りながら、直案件を発掘し、M&A案件に寄り添いながら適宜相談に乗る。そして、最後の決断のときにそっと背中を押せる。
これができれば、M&Aアドバイザー(ソーシングマネージャー)として活躍することができるはずです。
経営者の方に寄り添うとき、身につけておいた方が良いスキルがコーチングでしょう。
経営者の方の視点や選択肢を増やしたり、気づきを与えたり、目標達成のために背中を押したり。コーチングの役割は、M&Aアドバイザー(ソーシングマネージャー)の役割そのものです。
多くのM&AアドバイザーやM&A仲介会社にとって、最終譲渡契約を終え、譲渡を見届ければそれで仕事は終了です。しかし、買い手企業はその後も会社経営は続きますし、売り手であってもその後の人生は続きます。
「完全に引退して、夫婦や家族で静かに田舎暮らしや海外移住」という選択肢もありますが、「顧問として会社に緩やかに残る」「コンサルタントとして、一人会社を設立する」「別の事業をスモールスタートさせる」など、実は選択肢は無限にあります。
残りの人生で本当にやりたいことは何なのか、それをコーチングによって引き出し、引き続き寄り添ってサポートするのも良いですよね。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
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