労働人口が減少している現在の日本では、中小企業にとって人材獲得は重要な経営課題の一つです。しかし、採用コストは年々上がり、一人前になるまでの教育コストも合わせると一人当たり600万円以上。職種によっては1000万円を超えるかもしれません。そして、育った頃に辞めていく…なんて悲劇はもうたくさんですよね。
「今までは求人広告を出していれば、それなりに応募があったのに…」
「応募は多少あるけど、採用したい層とは違う人ばかりでコストも時間も無駄…」
「採用したものの、すぐに辞められてしまう…」
多くの中小企業は、このような悩みを抱えています。労働人口が減っている日本ですから、求人広告に掲載しても応募が少ないのは当然といえば当然です。それに、求人誌や求人サイトが乱立していますから、「この媒体に求人広告を出せば間違いない」というのはなかなか言い切れないのが現状でしょう。
仮に採用できたとしても、その後の研修・育成制度がしっかりしていないと、早々に退職されてしまうかもしれません。さらに、人事評価制度がしっかりしていないと、「正当な評価がされない」と辞められてしまう可能性もあります。
私も経営していて何度も感じましたが、「育った頃に辞められる」のが一番の痛手です。入社して早々に辞められてしまう分には、(それでも痛手は痛手なのですが)まだ人間関係が深まってはいないので、精神的なダメージは少ない。ですが、「育った頃」というのは、人間関係も深まっていますから、精神的にも経済的にも大ダメージです。
『CXO(Cクラス)人材のなかでも特に必要とされるCHRO&CHOとは』の記事でご紹介したように、人事の最高責任者であるCHROやCHOの重要度が高まっています。
CHROやCHOのミッションは、「人が辞めない会社づくり」であるといえるでしょう。独立や起業などのポジティブな人材輩出であれば良いのですが、せっかく入社して育ってくれた優秀な人材が他所の会社に行ってしまうのは、経営者であれば誰しも避けたいはずです。
最近は、社員の幸福感に重きを置く「ハピネス経営」という言葉が定着しつつあります。ハピネス経営のなかには、社員のやる気を引き出し、高めるためのメソッドが詰まっています。ハピネス経営先進国ともいえるフランスでは、約2年間でCHOの数が50倍に増えたそうです。
2018年8月15日のダイヤモンドオンラインの記事では、
仕事や職場、人間関係がどうであれば幸せか
(1)職場――民主的で平等かつフェアな業務プロセスや評価システムがあり、普遍的な社会問題(地球環境、人権、社会格差等)に配慮する職場で勤働くことができる
(2)仕事――好きでワクワクする仕事を、ストレスを溜めることなく主体的かつ自由に進められる
(3)人間関係――自分の仕事を認めてくれる信頼できる上司やチーム仲間と階層の隔たりなくカジュアルに協力し合い仕事ができる
引用:「従業員の幸せ第一」経営が仏で拡大、日本でも期待できる理由
とあります。自由・平等・友愛を理念とするフランスらしい言葉が並んでいますので、日本人にすべてが合うかというとそういうわけではないと思いますが、これらすべてを実現できれば、幸福度や満足度は高まりそうですよね。
社員の方々のやる気を引き出し、モチベーションを上げるためには「コーチング型マネジメント」が有効であるとされています。詳しくは、『コーチングスキルを活かしたマネジメントで人が辞めない会社づくりを』の記事をご覧ください。
コーチングとマネジメントは、極めて相性が良いスキルです。コーチングスキルを持ったCHRO・CHOであれば、多くの企業から声がかかるようになるでしょう。人材で困っていない企業はほとんどないですからね。
人事の最高責任者であるからといって、オフィスに常駐することが必須なわけではありません。今は、さまざまなメッセージアプリやビデオ会議ができるアプリがありますので、遠隔でできることも増えています。コミット面談などはフェイスtoフェイスが望ましいですが、信頼関係さえあれば、普段は遠隔でのやり取りでも問題ないでしょう。
コーチングスキルを活かして、CHROやCHOの社外取締役として活躍する。そんな新しい働き方もありかもしれませんね。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
|