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  • グーグルの20%ルールも多動力もダメ!
    中小企業がマネしたら会社潰れます
  • グーグルの20%ルールも多動力もダメ!
    中小企業がマネしたら会社潰れます

    2019/05/24  マネジメント

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    「シリコンバレーベンチャー企業の成功術」「うまくいっている経営者の仕事術」など、多くの本やセミナー等で成功術や仕事術が紹介されています。世に溢れるそれらの情報に惑わされて、日々の仕事が疎かになったりしていないでしょうか? 他社の成功法則が自社に当てはまるとは限りません。社員のみなさんに失望されないためにも、どうかご注意を。

     

     

    グーグルの20%ルールとは

    「グーグルの20%ルール」とは、業務時間内の20%を普段の担当業務とは異なることに充てて良いという制度です。グーグルの場合は、異なること=新規事業立案のことです。グーグルは20%としていますが、企業によっては10%や15%というところもあります。グーグルはこの20%ルールという制度によって、今ではインフラとも言えるGメールやグーグルマップ、グーグルニュースなどのサービスを生み出してきました

    いずれのサービスも、当時は画期的でしたし、今ではなくてはならない存在です。これだけ画期的なサービスを生み出した20%ルールは、「他の企業でも取り入れるべきだ」と、多くのアメリカ企業でも導入されているようです。それらの情報は、やがて海を越え、日本にも入ってきます。

     

    ちょっと待って! 因果が逆じゃない?

    グーグルは、20%ルールによって多くの画期的なサービスを発明してきました。それは事実ですし、素晴らしいことだと思います。しかし、グーグルの20%をマネればグーグルのような画期的なサービスを生み出したり、大きな利益を生み出せるかというと、そういうわけではありません。

     

    グーグルには、大きな利益をもたらしてくれるネット広告の仕組みがあります。その仕組みにより高利益体質を維持できるからこそ、20%ルールのような制度をつくれるわけです。先に大きな利益をもたらしてくれる仕組み(因)があり、それにより結果的に20%ルールのようなクリエイティブ(創造的)な制度(果)を作り、さらに利益に貢献してくれる。因果が逆になってしまうと、クリエイティブな20%ではなく、ただのぼーっとする20%になってしまいます。

     

    週8時間を他の業務に充てるなら週休3日制にした方が良いのでは?

    グーグルに限らず、アップルやフェイスブック、アマゾンなど、GAFAと呼ばれるような大成功したベンチャー企業の成功例や成功法則を紹介する本やセミナーは多くあります。しかしそれらをマネしたところで、日本の中小企業経営の役に立つのでしょうか?

    例えば20%ルールとした場合、1日8時間・週5日勤務だとすると、週に8時間を他の業務に充てて良いことになります。8時間といえば、丸1日です。10%ルールだとしても週4時間です。4時間あれば、結構たくさんの業務ができます。もしくは、半休をあげるか週休3日制にした方が社員のみなさんは喜ぶでしょうし、脳や身体が休まり、生産性も上がるような気がします。

     

    もちろん、20%ルールのような制度を導入することで、新しいサービスや商品が生まれることはあるでしょう。しかし、アイディアはふとしたときに生まれることの方が多いのではないでしょうか? シャワーを浴びているときや散歩をしているとき、寝る前などのリラックスしているときの方がアイディアは湧きやすいと思います。多くの場合、メモを取れないシーンが多いですね。それで忘れてしまうこともあるでしょう(笑)。

     

    多動なあまり社員を失望させていませんか?

    あくまでも私の勝手な見解ですが、グーグルの20%ルールは、いろいろなことにチャレンジしたい経営者やエンジニアが、それを正当化するために作り出した制度なのかもしれません。創業社長の多くの方は多動ですし、エンジニアの方も好奇心旺盛な方が多いです。それは少しも悪いことではないのですが、社長の声には影響力があることを忘れてはいけません。社長から「これをやりたい」と言われれば、社員のみなさんにとってはある意味「命令・指示」なのです。社長はただの好奇心や思い付きで口に出したのかもしれませんが、何気ない一言を社員のみなさんが拾い、業務になっていることがあります。

     

    事業ですから、当然ですが失敗することも多くあります。あらゆる事業で全勝できる社長は皆無でしょう。しかし、社員の方のなかには、「社長はミスをしない」と思っている人もいるかもしれません。社長業とは、ある意味でもっともトライ&エラーをくり返す仕事なのですが、社員の方はそうは思っていないのです。そう信じられている社長が、好奇心や思い付きで、意図はなくとも「あれをやりたい(やれ)、これをやりたい(やれ)」と無意識に指示を出し、それに社員のみなさんが応えても失敗ばかり、もしくは成果にならないことばかりをしていたらどうでしょうか? 失敗という経験値が積めればまだ良いのですが、なんの成果にもならないことも多いと思います。それをくり返していたら、社員のみなさんに徒労感が広まり、やがて失望し退職してしまうでしょう。

     

    多動は多動でも戦略的多動に

    ホリエモンこと堀江貴文氏の『多動力』が出版されてから、多動という言葉が多く用いられるようになりました。ホリエモンのようにいくつもの仕事を並行してできる人がマネするには良いのですが、一般的にはいくつもの仕事をこなせるほど人間の能力は高くないでしょう。なんでもできてしまうスーパーマンもいますが、それは稀な人材です。

    ですから一般的には、たくさんの経営課題から優先順位を考え、優先順位1位の課題解決のために一点突破で臨むのが最短ルートのように思います。解決したら次の優先順位1位を決め、また一点突破して次の課題に臨む。そのくり返しです。

     

    しかし、沸々と湧いてきた好奇心を止めることはなかなかできませんよね。そんなときは、「そのサービスや商品を提供してだれかを幸せにするストーリーを、人に語ることができるか」を考えてみてください。ストーリーに自分で感動しちゃったら、それは実現した方が良いかもしれません。

     

    この記事を書いた人の情報
    nakajima
    中島 宏明(なかじま ひろあき)

    2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。

    2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

    マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
    https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency


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