「最近、仕事の効率が悪く、生産性が低くなっている気がするけど、何がボトルネックになっているんだろう…?」
「社内の人間関係のトラブルが多くて、社員がまとまらず困っている…」
こんな悩みを抱えていませんか?コーチングは、このような悩みの解決にも対応可能な柔軟性の高いメソッドです。
あなたは“抽象思考”という言葉を聞いたことはないでしょうか。
コーチングではこの、抽象思考の度合のことを「抽象度」と呼びます。
抽象度を上げて物事を見ると、見える世界が変わってきて視野が広くなります。
視野が広くなるということは、自分が抱える問題の解決にもつながっていくでしょう。
では抽象度を上げるとは、どういうことでしょうか。抽象度を上げるとどのような効果があるのかを見ていきたいと思います。
まず、一般的な抽象度の意味とはなんでしょうか。
抽象度を上げるということは、物事を抽象化して見ることです。抽象化の反対は、具体化になります。
例を挙げると、「ゴールデンレトリーバー」や、「ダックスフンド」、「アメリカンショートヘアー」などの動物の種類が具体的なものです。
この具体的な動物の名前を1段階抽象度を上げると「犬」と「猫」となります。
これはカテゴリー分けの、1段階上を見るということですね。
さらにもう一段抽象度を上げると「哺乳類」となり、最終的には「生物」となります。
「ゴールデンレトリーバー」「アメリカンショートヘアー」→「犬」「猫」⇒「哺乳類」⇒「動物」⇒「生物」
具体的な例から抽象度を上げていくことで、このように潜在的情報がぐっと増えていきます。
ですので、モノの見方が変わり、視野が広くなることで、思考も変化していきます。
これをコーチング的観点で応用させると、“自らの幸せしか考えていない人は、最も抽象度が低い”と言えます。
反対に、“地球全体の人の幸せを考えている人は抽象度が高いということ”になりますね。
もっと抽象度を高めると極端な話ですが、“宇宙全体の幸せを考えている人は、最も抽象度が高いと言える”でしょう。
「次の休みはどこに遊びに行こう」と考える人より、「週末どこに家族を連れて行けば、みんなが楽しめるだろう」と考える人の方が、物事を視野が広く見ているでしょう。
さらに、地域、国、アジア…などと抽象度をさらに上げていくとどうなるでしょうか。
そうすると自分一人の力だけではなく、たくさんの人と連携する必要が出てきて、さらに物事を俯瞰で捉えることができます。
また、抽象度を上げると問題解決につながることもあります。
例えば見知らぬ土地の、初めて行く喫茶店に行くとします。「駅から近いのですぐわかる」という情報だけで、道を歩いていたら、なかなかたどり着けません。
そこで地図アプリで自分の位置と目的地を確認すると、すぐ目的地に着いたという経験はありませんか?
道に迷った時に、俯瞰してものを見ると、自分の位置も目的地もわかりました。これはまさに、抽象度を上げたら問題解決につながった例です。
俯瞰してものを見ることは、さまざまなことに応用できます。ビジネス空間においても同じです。
たとえば、もしも社内で人間関係に問題が生じた時でも、関わっている人々の相関図をつくり、全体像を把握する。
このようにして抽象度を上げることによって、問題となっているボトルネックの箇所がわかり、問題解決につながるでしょう。
抽象度高く考えられる人は、目の前の課題や目標(ゴール)に対して、必要に応じて抽象度を上げ下げして、目標(ゴール)達成のために具体的に何をして毎日を過ごせばよいのかが分かるようになってきます。
抽象度は高ければそれで良い…というものではなく、上げたり下げたりすることが大切です。
しかし、上げることができないと、下げることもできないのが抽象度の特徴です。
抽象度を上げることで問題の糸口に気づき、そこから改めて抽象度を下げることで、具体的に何をすべきかがリアリティーを持ってイメージできるのです。
抽象度を上げて見ることができる人は、より充実した人生を送ることができるのです。
また、この抽象度の概念を知っていれば夫婦間のトラブル回避にも役に立ちます。
喧嘩している夫婦がいるとします。子供の育て方、お金の使い方、住む地域のことなど、自分の意見と相手の意見が合わないことで喧嘩は起きるでしょう。
相手の意見が理解できない、自分の意見を押し付けてしまうことが、喧嘩が終わらない原因です。
このような時にも抽象度を上げてみるのをおすすめします。
問題を一段高い抽象度で俯瞰すると、お互いが違う意見を持ち、価値観があることが見えてくる。
高い抽象度から見れば、自分の意見と相手の意見が、同じ価値に見えてきます。「私はこう思うけど、相手はこう思う。では、2人でこうすれば一番いいだろう」という答えが見えてくるでしょう。
喧嘩は自分の欲求を相手に受け入れてもらいたくて起きるものです。
しかし、自分の欲求と相手の欲求が同じ価値と思うことで、欲求を受け入れてもらいたいという気持ちより、違うもの同士がどうやれば上手くいくかの解決策を発見するという方向に動きます。
同じ土俵に立ってしまうことで喧嘩になってしまうのですから、抽象度をひとつ上げた共通の目的を見つけて、それを達成する方法を見つけることが、問題解決の糸口を見つける方法なのです。
抽象度を上げることで、視点が変わり、視野が広くなって、問題解決につながることがわかりました。
『いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできない』というアインシュタインの言葉があります。
問題解決できないのは、その問題に対して同じ視点、同じ抽象度でものを見ているからかもしれません。
もしあなたが問題解決に行き詰まっているのなら、抽象度を上げて、視野を広げてみることをおすすめします。
【文責:編集部】