この記事は、経営者自身も含めて、働く人たちのうつ病を予防するためにはどうすればいいのかとお考えの経営者の皆様に向けて書いています。
前回、うつ予防が会社にとってなぜ重要なのかということについてお話ししました(「経営者と社員のためのうつ病予防① 経営者と社員のうつ予防は会社の業績を上げる」)。
今回は、うつ病を予防するために「うつ病がいったいどんな病気なのか」について、お話ししたいと思います。
現代の日本では、生涯のうちにうつ病を経験する人が15人に1人の割合でいると言われるくらい、身近な病気となった感があるうつ病ですが、なぜうつ病になるのか、というメカニズムについてはよくわかっていないというのが実情です。
一部、脳内の神経伝達物質の異常が原因であるという説(モノアミン仮説)が有力視されていますが、それすらも仮説の域を出ないのが現状です。
発病のメカニズムがよくわかっていないために、うつ病は「得体のしれない病」という印象をぬぐうことができません。
そして、得体が知れないので、どのように予防すれば良いのかわからずに困っている方も多いはずです。
私は整体師および心理カウンセラーですので、医師でもありませんし、ましてや研究者でもありません。
従って、私がここで解説することは、あくまでも私の私見であるということを踏まえたうえで、お読みいただけたら幸いです。
私は整体師として、人間の身体について勉強してきました。
そして、人間の身体には自然治癒力があり、さらには、人間の身体に出る症状というのは、自分自身を守るための防御反応としての意味があると考えています。
例えば「痛み」というものに関しても、痛めた部分が痛むことによって、そこが壊れていることを知らしめ、さらにはその部分を使わせないようにする(痛くて使えない、動かせない)ことで、修復を早めようとする役割があると考えられます。
もし、痛み止めを服用して、痛みを感じないようにしたらどうなるか?
その部分を痛めているということ忘れて使ってしまうために、さらに状態が悪化することがあります。
ですから、痛み止めを服用して通常通りに動くということはとても危険なことなのです。痛みがあるという状態でいることによって、患部を休ませることができるからです。
私は、うつ病も同じような防御反応としての意味があるのではないかと考えています。
すなわち、ストレスさらされ続けても活動をやめない場合、強制的に体の身体の動きや思考を止めてしまうことで、身体が壊れることを防ぐという意味があるのです。
野生動物としては、最大のストレスは天敵と遭遇した時だと考えられます。天敵と遭遇したときには、戦うか逃げるかの選択を迫られます。首尾よく逃げ切れるか、はたまたやられるか。いずれにしても、勝負は一瞬でつくことでしょう。
従って、ストレスが長期間にわたって持続することはないと考えられます。
さらに、天敵がうろつくところへ、自ら近づいていくことも考えられません。天敵から逃げることは、自分が生き延びるためには正しい選択なのです。
ところが、現代社会においては、天敵ともいえるようなパワハラ上司がいる会社へも、毎日行かなければいけない境遇にある人たちが一定数いるわけです。
逃げ出してしまえばいいのですが、逃げ出すことを良しとせずに、毎日戦いの場へ出かけていくのです。
これは、野生動物ならば「考えらえない」行動です。
こうして人間社会では、長期間にわたって、ストレスにさらされ続け、防御反応としてうつ病になるという状況が生まれるのです。
次回、この「ストレスにさらされる」ということについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
トレーナー、整体師、産業カウンセラー
ナショナル整体学院スポーツトレーナー科卒業
一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
株式会社BBコンディショニング代表取締役
33歳の時、うつ病を発症し8年勤めた会社を退社。経営者の健康問題が、会社経営においてリスクになるという考えから、経営者に対するコンディショニングサービスを展開する、株式会社BBコンディショニングを設立。経営者と従業員の健康づくりに関するコンサルティングに力を入れている。
著書『うつ病を出さない環境づくりが会社の業績を上げる』
ブログ「スタイリッシュエイジング」
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会