『社長なら必ず知っておきたい「スモールM&A」という選択肢』でご紹介したとおり、会社の出口戦略として、M&Aという選択肢を選ぶ社長さんが増えています。それは、「ハゲタカ」や「乗っ取り」などのネガティブなM&Aのイメージが薄らいできたことと、大手企業のものと考えられてきたM&Aが中小企業にとって身近な存在になってきたという背景があるでしょう。では、会社の値段はどうやって決まるのでしょうか?
「自分の会社がいくらで売れるのか? 」これを知りたくない社長さんはいないでしょう。社長さんにとって、自分の会社は自分そのものです。会社は、血と汗と涙の結晶。長い年月をかけて会社を育ててきたのですから、「第三者的にみて、自社の値段がいくらなのか」は当然気になりますよね。しかし、日々多忙なはずですから、なかなか会社の価値に関して話す機会も少ないでしょう。社長業は孤独で、外部から評価されるという機会があまりありません。また、それを相談できる相手も限られるはずです。
「これだけ長年苦労してきたのだから、経済的に報われたい」
そのような本音があっても、相談できる相手がいないですよね。顧問税理士さんや銀行の担当者には、相談したくても本音を話しにくいはず。「実はもう飽きたししんどい。そろそろ辞めたい」なんて相談は、税理士さんや銀行にはできません。
「会社をM&Aしよう」と決断し、M&Aアドバイザーに相談すると「譲渡希望金額」を必ず聞かれます。譲渡希望金額とは、「会社をいくらなら売っても良いか? 」というものです。トータルの投資金額や将来の予測利益などを考慮し、譲渡希望金額を算出します。あくまでも「希望金額」ですので、社長さんが自由に設定して良いと思います。
「利益の2年分」「利益の3年分」「利益の5年分」など、譲渡金額の目安となる数字はありますが、絶対的に正しい計算式はありません。業界によっても異なりますし、「不動産は所有物か賃貸か」「社員は全員引き継げるのか」「銀行からの借入金はどうするか」など、さまざまな要素から譲渡金額は導き出されます。そのため、会社の実態を把握できないと、適正な譲渡金額を算出することはできないでしょう。
そして、最終的な譲渡金額は、買い手企業の主観で決まることが多くあります。提示された譲渡希望金額で会社を買うかどうかを決めるのは、最終的には買い手企業だからです。もちろん、「そんな金額では売らない」と決断するのも売り手企業の自由です。
価格交渉も、M&Aアドバイザーの重要な役割のひとつです。しかし、売り手企業の希望金額を、あるいは買い手企業の希望金額を押し通すことが重要なのではありません。多くの場合、売り手企業の譲渡希望金額は高くなりがちです。ですから、価格のすり合わせは必須。あまり強気になりすぎると、売り時を逃してしまうこともあります。そのため、ときには「この価格では買ってもらえません」「自分が買い手だった場合、この金額で買うでしょうか? 」など、クールに感じてしまうかもしれませんが、本音を話してくれるM&Aアドバイザーの存在が不可欠です。
譲渡益を得て、社長さんが幸せになり、会社を得て、買い手企業の成長が加速し、新たな経営者を得て、社員のみなさんがより生き生きと働けるようになり、お客様により良い商品・サービスを届けられる。これがスモールM&Aのメリットであるはず。これらを実現してくれるM&Aアドバイザーをぜひ選んでくださいね。
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency
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