どこかにテコ入れをしながら業績アップを図らなければならないと考えたとき、どこにテコ入れを行うのかは慎重に検討しなければなりません。特に組織形態に手を加える場合には、あらゆる可能性を考えながら、それに着手する必要が出てくるでしょう。組織形態が変われば、それがもたらす結果も当然変わってくるため、イメージや世の中の流れ先行で安易に決定することはできないのです。
もし営業組織に手を加えるべきであると判断した場合、どの点に注意しながらそれを具体的に検討していくべきなのかを考えてみましょう。
規模によって変わる組織の在り方
当然のことですが、企業の規模によってその組織形態は変わってきます。言わずもがな、営業組織もその規模に影響されることになるはずです。
例えば、中小企業であれば、その企業の商品やサービスを流通させるための活動を営業部門全体で担い、その組織内が特に細分化されることはありません。営業部に属している従業員の数が少なく、細分化し分業化してしまえば、それぞれを担当する従業員の数が十分ではなくなり、そもそも組織として成り立たない可能性が高いからです。
逆に、ある程度の規模の企業であれば、人材も豊富にいるため、商品やサービス、あるいは地域、顧客など対象によって分業化し組織を構築することで効率化を測ることが可能となります。このように、企業の規模に影響されるのが営業組織の在り方。効率化を図るためには業務や活動を細分化することも考えられますが、全ての企業にそれが合っているとは限らないのです。
現代に適応するための組織の形も検討する
今ではIT化が当たり前となっており、また、グローバル化も進んでいることで、より企業間の競争が激しさを増しています。逆にそうした技術や価値観の革新や変化によって利を得ている企業も出てきてはいますが、それは組織形態や企業形態そのものにも影響を与えていると言えるでしょう。
例えば、小規模化することで成功を収めている企業も出てきています。その他、分権化やグループ経営、あるいはカンパニー制など、次々と他とは差別化を図る企業も登場し、そして結果を残してきている現状があります。こうした点にも必ず目を向け、組織の見直しを図る必要があるでしょう。他業種であっても、参考にできることは山ほどあるはず。少し前までであれば淘汰されていたであろう組織形態の企業が、なぜ現代で生き残り、また、注目を浴びているのかなどの研究も行えば、自社にも活かせる点が見出せるかもしれません。
組織形態はこのように時代によっても変化し、そして多様化するものなのです。それを認識していれば自ずと研究や検討の範囲も多岐に渡り、より自社にマッチした組織の形やスタイルと出会えるのではないでしょうか。
あらゆる要素を踏まえて検討した上で営業組織形態の変更を
営業組織で言えば、上でも少し触れた、商品別組織や顧客別組織、地域別組織など、いくつかの対象によってそれを組織化し、効率よく営業活動を行う工夫が必要になってきます。もちろん、これもすでに説明したように、企業の規模がある程度の大きさになっていなければ意味がありません。
企業規模のみならず、どのような商品やサービスを取り扱っているのかや、対象としている市場規模はどの程度のものなのか、従業員の能力の程度、こうしたあらゆる要素を踏まえて新たな組織形態を考える必要があるでしょう。盲目的に一つの要素だけにしかフォーカスしないようでは、ベストな組織形態はできあがりません。
また、組織形態を見直すときには必ずコストが必要となり、もし分業化するのであれば、そのコストはさらに大きなものとなるため、安易にこれに手を出すべきではないでしょう。組織のどこか特定の部分のみ手直しをすることで問題が解決するのであれば、その道を選択すべきであり、また、中途半端に組織を細分化すれば顧客へのサービス低下につながる恐れもあるため、そうしたことも慎重に検討した上で組織の改編等に着手する必要が出てきます。
さらには、組織を大きく見直す際には人事関連の問題も生じる可能性が高いため、人事部など、それに関わる部門とのコミュニケーションも十分に経た上で見直さなければならないことも忘れないようにしてください。