事業を行なっていれば、必ずと言っていいほど予期せぬ出来事が起こります。あるいは、どうしても短期的に解決しなければならない問題や課題が生じることもあるでしょう。そうした時に組織し、問題解決に有効に働く「タスクフォース」と呼ばれるものがあります。これはどのような組織なのか、どのような特徴を持ち、どのような注意点があるのか、そうしたことを整理してみましょう。
営業組織を運営する場合にも導入が考えられるこのタスクフォース。突然課題が見つかった時にあたふたしていては時間も労力ももったいないので、すぐにタスクフォースが組織できるよう、基本的なことを学んでおくことをおすすめします。
特殊な課題に対応するための「タスクフォース」
「タスク」とは、仕事や任務を指す言葉。フォースとは、軍隊などを意味する単語で、それらを合わせた「タスクフォース」は、課題や任務を遂行するための部隊・組織などと捉えることができます。元々は軍事用語でありアメリカ海軍などで使われていた言葉ですが、現在では一般企業でもこの言葉を用い、特別な課題や問題を解決するための組織のことを指してこう呼ばれることが珍しくなくなってきました。
企業で言えば、新しい商品やサービスを企画・開発したり、新市場の開拓、あるいは自社の商品やサービスの売り上げを際立ってアップさせたりしたい時などにこのタスクフォースが組まれ、その任務をこなすことになります。その他、不祥事や組織上の問題があれば、それを解決されるために組まれることもあるでしょう。
通常業務であってもこうしたことは行われますが、タスクフォースを組織する場合には、より喫緊の課題を突きつけられているケースであることが一般的。ある一定期間内に、しかも短期間に新しい商品を開発しなければシェアを確保できず企業が赤字の危機に陥ってしまうとか、商品の売り上げを短期間でアップさせなければ倒産の危機に直面してしまうとか、そのようなケースにタスクフォースが組織され、その課題や問題の解決のために動くのです。
その任務が遂行されればタスクフォースは解散され、メンバー等は通常の業務に戻ることになります。また、タスクフォースは指揮命令系統も非常にシンプルであり、社内全体で取り組むのではなく、その任務にあたることを任された選抜メンバーによって、課題や問題と向き合う点が特徴的です。
当然ですが、メンバーの選抜も非常に重要な要素となります。専門性を持ち、さらには処理能力や分析能力、コミュニケーション能力を持っており、活動量や作業量も非常に多くなければ、短期間で結果を出すことはできません。組織するだけではほとんど意味をなさない、このタスクフォース。そこでどのような結果や成果を残せるのかが、当然重要になってくるのです。それ以前に、このタスクフォースが組めるような組織に、そもそもしておくことが企業や営業組織には求められます。
タスクフォースに期待できる機能とは
ある特殊な、そして明確な問題や課題を解決するために組織されるのがタスクフォースです。つまり、その問題や課題へのアプローチがしやすいという点に大きなメリットがあります。当たり前のことではありますが、問題に対して柔軟に動くことができる点は期待できるでしょう。短期間に結果や成果を出すことができるのも大きな特徴です。これも、やることが明確になっているからこそ。
柔軟性や機敏性という意味では、市場や環境などの変化に対応しやすくなり、顧客や消費者のニーズに対しても即座に応えることができるようになるはず。もちろん短期間でそれをしなければならないケースに限りますが、必要な時には大きな効果を期待することができるでしょう。
営業組織にはさまざまな人が属し営業マンとして活動していると思いますが、その中から優秀な人材をタスクフォースとして組織することができます。これが大きな成果や結果を出すことが可能となる理由です。もっと言えば、自由にこうしたチームを組むことができるとも言えるでしょう。比較的能力が劣ってしまう営業マン抜きで課題に取り組むことができるのです。タスクフォースにはこのようなメリットや利点があります。必要に迫られれば積極的に組織し、短期間で問題や課題の解決に取り組むことを考えなければいけません。
注意点も把握した上でタスクフォースの組織を
タスクフォースは上でも既に触れているように、短期間で結果を残すために組織されるチームです。その課題や問題が解決されればそれで解散となるため、それによって少々デメリットや欠点が生じる可能性も出てくるでしょう。
タスクフォースで課題に対処し、それがうまく解決した場合には、そこに何かしらのノウハウや実績が残ります。知識や情報、スキルといったものが獲得できるわけですが、チームが解散した瞬間にそれらが何事もなかったように消滅してしまっては、あまり意味がありません。
このようなデメリットを回避するためには、タスクフォースで培ったものや得たものを通常の営業組織に反映させることが必要です。それができれば、特殊な課題であっても、その後は特別なチームを組まずに解決することができるようになるでしょう。
また、ある程度の規模の企業でタスクフォースを組織する場合、各部門が優秀な人をそのチームに入れることに抵抗感を持つケースも少なくありません。営業部内でタスクフォースを組織する場合も同様です。それに駆り出されれば通常の業務に支障が出てしまうからです。ここをどう調整するかが大きなポイントとなるでしょう。
普段は一緒に仕事をしていない人同士がタスクフォースで顔を合わせ仕事をすることもあるはず。そのような時のコミュニケーションに問題がないか、ここも注意しながら組織していかなければいけません。優秀な人材を集めればタスクフォースを組織することは可能ですが、そこには課題もあり難しい調整が迫られることも知っておきましょう。それをクリアするからこそ、企業や各部門が直面した問題を乗り越えることができるのです。