営業活動を行う目的は、営業部門で定めた目標を達成することです。その目標とは、売上アップであるはず。売り上げをアップさせるには、少しでもシェアを拡大する必要があります。
このシェアを拡大することこそが重要であり、テリトリー制を導入する価値の一つでもあるのです。
テリトリー制とは、営業活動範囲をテリトリーとして定め、その中で担当の営業マンが販促活動等を行うシステムのこと。顧客のフォローや市場分析、ニーズの把握なども、このテリトリー制を導入するからこそ効率よく行うことができるのです。このテリトリー制を存分に活かしシェアを拡大、ひいては目標を達成するためにはどのようなことに着目し、目標設定をしていく必要があるのでしょうか。それを、目標設定に必要な情報やデータに重きを置いて見ていきましょう。
シェア拡大のために必要なテリトリー内情報
目標を達成するために必要なシェアの拡大。テリトリー制を導入しながらそれを行うためには、テリトリーごとの現在の状況、特にシェアの割合などを把握する必要が出てきます。現状がわからなければ目標の立てようがありません。営業部全体、あるいは地域全体でのシェアは把握できていたとしても、それよりも狭いテリトリーでのシェアが把握できなければ意味がないのです。
現在のシェアに限らず、とにかく必要な各テリトリー内の情報。それは、地域の特性もそうでしょう。そこに住む人々や事業を営む人たち、業界の特徴なども、そのテリトリー内の情報として把握しておかなければいけません。それらを収集し整理した上で打ち出すのが、営業目標です。営業目標は将来予測によって導き出されるものと言ってもいいでしょう。この将来予測も具体的な数値で表すことが必要であり、そのためにもテリトリー内の情報を集めることが求められるのです。
テリトリー制は多くの場合、性質を同じとする人や事業所、地域性によってエリアが分けられ、また、あまり広範囲に渡らずエリアも限定的なため、こうした情報が集めやすいというメリットを持っています。この制度の利点を活かし、十分な情報を集めておかなければいけません。
特に重要なテリトリーごとのポテンシャルの把握
シェア拡大のためには現在の状況を把握しておかなければならないと述べました。その現在の状況は自社や競合他社のシェアの割合などのことですが、さらに、テリトリーごとのポテンシャルの把握も重要な作業となってきます。ポテンシャルとは、潜在的なニーズのこと。各テリトリーに存在している人や事業所が自社の商品やサービスを購入・利用する可能性があるのかどうか、これを測定しておかなければいけません。もちろん、具体的な数字で出す作業までが求められます。
ポテンシャルがあると判断できれば、それを掘り起こすことができます。それは自社の顧客となる可能性があるわけですから、営業目標を設定するときにも大いに参考になるでしょう。また、この潜在的なニーズの測定は、自社の顧客になる可能性のある人や事業所の全てが自社の商品やサービスを手に入れた場合を考慮した上で数字として表すこともポイント。もちろん、そのうちの何割が実際に顧客となるのか、こうした細かな想定から分析を行うことも必要です。
いずれにしても、取り扱っている商品が消費財であれば、テリトリー内の1人あたり、あるいは1世帯あたりにどれだけの数・額を購入してくれるのかを算出し、生産財であれば1事業所あたり、あるいは1従業員あたりの購入数・取引額を割り出していく作業が必須となります。
数とともに金額も測定し、その数字と自社の実際の販売数・販売額、競合他社の販売数・販売額を照らし合わせた上で、具体的な目標を設定していきましょう。加えて、これらの数字を元に、また違った角度からの計算も含めて、各テリトリーのシェアも算出していかなければいけません。現在のシェアと目標とするシェア、この2つを割り出すことができれば、それを営業活動の戦略や活動計画に生かすことができるはずです。
消費財・生産財ごとに参考にしたいデータを紹介
上で、消費財と生産財という言葉が出てきましたが、企業によって取り扱っている商品やサービスは異なるため、それによってシェアの算出や目標の設定に必要なデータというものも異なってきます。消費財の場合と生産財の場合では、それに必要なデータにどのような違いがあるのかをまとめてみましょう。
取り扱っている商品やサービスが消費財の場合には、総務省が出している国勢調査が大いに参考になります。また、家計消費状況調査や家計調査年報も参考になるでしょう。地域、あるいは品目、購入媒体などカテゴリ分けされたデータが揃うため、テリトリーごとの一般消費者の動向やポテンシャルをつかむために役立たせることができます。経済産業省が発表している商業統計なども同様に活用が可能です。他にも経済産業省発表の特定サービス産業調査、これも参考になるデータとなるでしょう。
企業が行う市場調査とは異なり新しい商品やサービスのデータ、あるいは宅配販売など特定の販売経路が反映されていないことも多いですが、それを考慮しても参考にできる部分はいくつも見つけられるはずです。取り扱っている商品やサービスが生産財の場合も、消費財と同様に公的機関の発表している統計やデータが役に立つことが多々あります。例えば、経済産業省の工業統計調査、総務省の事業所・企業統計調査などがそれにあたります。
また、農林水産省発表の農業センサス・漁業センサスも、この業界に需要のある商品やサービスを取り扱っているのであればチェックすべきデータとなるはずです。その他、企業名鑑、イエローページ、商工会議所会員名簿や業界団体名簿、業界団体統計、帝国データや商工リサーチなども要チェックです。
企業ごとにチェックすべき媒体や参考になるデータには違いが出てきますが、こうした情報やデータがポテンシャルの把握やテリトリーごとの目標設定に役立つことは間違いありません。目標の達成、そしてシェア拡大のために有効に活用し、テリトリー制の元での業績アップのために役立たせてみましょう。