エリアを設定し、そこで営業活動を行うことで無駄を省くという考え方の元に行われるテリトリー制。これはやり方次第ではとても有効なのですが、このテリトリー制を考える時、どのようにテリトリーを設定していくのかについてフォーカスされることが、非常に多くなっています。
もちろん、それも重要でしょう。地理的な特性によってテリトリー設定をする場合もあれば、戦略的な面に注目し、例えば潜在顧客の多いテリトリーを設定し新規顧客の開拓を積極的に行うということも考えられます。しかし、営業活動を行うのは営業マンです。この営業マンをどのテリトリーへどのように配置するのか、これも無視することはできません。むしろ、非常に重要な要素となってくるでしょう。テリトリー制で営業活動の効率をアップさせられるかどうか、これは営業マンの配置にかかっていると言っても過言ではないのです。
テリトリー制を導入するにあたって非常に重要になる営業担当者の配置、これを適切なものにするためには何を考慮すべきなのか、それについて整理していきたいと思います。
営業担当者の属性をチェック
一番に考えなければならないのは、企業や営業部が抱えている人材の特性です。その中でも、属性についてはしっかりとチェックしておくことが求められるでしょう。
属性とは、名前や年齢などにはじまり、営業活動に関連することで言えば、営業経験がどの程度あるのかや保有している資格、業務に関する特徴などがあげられます。業務に関する特徴とは、得意なことと解釈しておくといいでしょう。おしゃべりが得意、機動力がある、コミュニケーション能力が高い、このようなことが挙げられるのではないでしょうか。
人件費も属性の一つ。どの程度の人件費がその営業マンに費やされているのか、これをチェックしないわけにはいきません。新人とベテランではかかる人件費が異なりますし、同じテリトリーに人件費の高い人を多く費やせば、それだけコストがかかってしまうことになるため、非常に重要な属性の1つとなるでしょう。
営業担当者ごとにこれらは必ず異なるため、しっかりと整理しながら、どのテリトリーに誰を配置するのかを慎重に検討していくようにしてください。
営業実績もチェックし整理する
営業実績も当然考慮しながら、各テリトリーに営業担当者を配置していきます。商品ごとに売り上げ業績が異なる営業マンもいるでしょう。それらを整理し、また、予算の達成率などもデータとしてまとめておく必要があります。さらに、その売り上げや業績を上げるために費やされた経費はどの程度だったか、これもテリトリー制における営業担当者の配置を決定する上では重要な要素となってくるでしょう。
営業活動の経費は主に交通費や飲食代となるはず。これを整理しておくことで、それぞれの営業マンの営業効率を割り出すことができます。この経費やコストは、訪問1件あたりどのくらいだったのかという数字もあると、より営業担当者の配置を決定するときに役立ちます。
顧客や消費者への訪問件数と訪問回数、これを新規の顧客と既存の顧客ごとに分けたデータも必要です。1日、あるいは1週間など、特定の期間にどれだけの顧客を訪問したのか、これも割り出しておきたいところ。合わせて、平均の顧客数や新規顧客数もデータ化し、さらには喪失顧客数も営業マンごとに割り出しておきましょう。
顧客1件あたりの売り上げやそこから生まれた利益、これも営業マンごとにかなり差があるはず。テリトリーに配置するときの参考とすることができるので、整理しておかなければいけません。そして、意外と重要なのが、顧客からのクレーム数と、その中身のチェック。これも営業実績の一部として捉えておきましょう。クレームが多い営業マンを同じテリトリーに複数配置するのは得策ではありませんから、この点も無視はせずにしっかりとチェックしておいてください。
メンタルや育成の観点からも整理しておく
営業実績はもちろんですが、各営業マンの抱えているメンタル、これもそれぞれのテリトリーに営業担当者を配置する際には重要になってくるでしょう。単にメンタルが強い弱いという点のみではなく、例えば、創造性に優れている営業マンであるかどうか、帰属意識の高い営業マンであるかどうか、攻撃型なのか、それとも守備型なのか、このような人間が本来持ち合わせている性格的な部分を考慮して配置をすることがポイントとなってきます。
積極的なのか消極的なのか、マイペース型なのか行動的なのか、こうした点も、このメンタルや性格の観点から分析していく必要があるでしょう。
さらには、育成するべき対象か否か、これも人材配置を行うときには重視しなければなりません。
当たり前のことですが、若く育成がまだまだ必要な人材が多数を占めるテリトリーがあれば、そこを任されたベテラン営業マンや営業マネジャーの負担が過剰に大きくなってしまいます。逆のパターンでも、もちろん弊害が出てくるでしょう。
若い人材と経験豊富な人材のバランスを考えながら各テリトリーへと営業担当者を配置していく、この見極めが非常に重要になってくるのです。
いくら適切なテリトリー設定ができたとしても、営業担当者の配置を間違えてしまえば、ほぼ意味がないと言ってもいいでしょう。テリトリー制とは、それだけデリケートなシステム。
このシステムの有利な点を最大限活かすためにも、営業担当者の配置は慎重に行わなければいけません。