ターゲットを曖昧にしたまま、また、ターゲットの属性や性質を無視したままで営業活動を行うことは非常に危険。顧客や消費者は敵ではありませんが、営業活動は相手との駆け引きなども重要になり、一種の戦いのようなもの。相手のことを知らずに戦いを挑んで勝てるほど、世の中は甘くはないのです。
営業活動が実を結ぶために必要なのは、顧客を理解することです。ここでは、そのことについて掘り下げてみましょう。特に、顧客や消費者が企業や商品・サービスに何を求めているのか、ニーズや期待、こうしたものを知ることの重要性について説明していきます。
企業に多くの利益をもたらす顧客を知る
そもそも顧客を理解するとは、どういうことなのでしょうか。いろいろと考え方はあるかもしれませんが、一番は、自社に多くの利益をもたらす顧客は誰か、企業であれば、消費者であればどのような人たちか、こうしたことを把握することが顧客を理解することと表現することができるでしょう。
できるだけ多くの顧客や消費者に自社の商品やサービスを提供できれば、それだけ企業としては利益を上げることができます。しかし、世の中の全ての人のニーズに答えるのは不可能です。であれば、自社に多くの利益をもたらしてくれる顧客をターゲットとし、その人や企業にお金を落としてもらうことを積極的に考えた方が、営業活動としては効率的でしょう。
また、そうした顧客や消費者の特性などを顧客管理によって把握することができれば、将来的な新規の顧客の掘り起こしにも活用することが可能となります。その新たな顧客もやがて企業に大きな利益をもたらす存在となり、それを徐々に拡大していくことで、企業そのものも成長・発展していくことができるのです。顧客管理は顧客を理解することでもありますが、それは、いわゆる「太い客」を把握しあぶり出すことであると認識しておきましょう。
顧客が欲しているのはコストパフォーマンスの高さ
顧客のことを知る上で大切な認識があります。それは、顧客や消費者が欲しているのは、コストパフォーマンスがいかに高いか、ということであることです。当たり前と言えば当たり前のことなのですが、この認識を前提として置いておかなければ、顧客や消費者のことをより深く知ることはできません。
コストパフォーマンスは、日本語で表現すれば、費用対効果。費用と効果の関係性のことですが、顧客や消費者が負担したコストに対して、では、そのコストで手に入れた商品やサービスによってどれだけの価値を得ることができるのか、この度合いが非常に重要になってくるということです。
商品が高かろうが安かろうが、これは基本的には変わりません。顧客や消費者は常にコストパフォーマンスの高い商品やサービスを求めており、そして期待しているのです。その要求や期待に応えられないとなれば、おそらく顧客は離れていってしまうでしょう。言い換えれば、どれだけ良質な商品やサービスであっても、それが顧客にとって非常にコストのかかるものであれば、そこに価値は見出されないのです。逆に、どれだけコストが安くても効果が低ければ、やはり顧客満足度を上げることはできません。
顧客管理の観点から言えば、顧客や消費者はその商品やサービスに何を求めていて、どの程度の期待をしているのか、これを知ることが重要であるということ。また、その目算を誤れば、やはり顧客は離れていってしまうでしょう。自社が考えている「顧客の要求や期待」と、実際に顧客や消費者が抱いている要求や期待、これらの差を埋めることが、すなわち、顧客を知るということであり顧客管理を徹底するということなのです。
コストパフォーマンスの高さを生み出す要素とは
コストパフォーマンスの度合いは、一体どのような要素から生まれるのでしょうか。ここも押さえておけば、より顧客や消費者の求めているものや期待しているものを知る上で役に立つかもしれません。
コストと聞くと、どうしても商品やサービスの価格が頭に浮かぶはず。もちろん、それも重要な要素の一つです。しかし、それだけではないでしょう。価格や値段などの他にも、顧客や消費者が負担を被らなければならないことはいくつもあります。例えば、手に入れやすいかどうか。
コンビニで手に入る商品と、日本全国に数店舗しかないショップでしか手に入れられない商品があれば、後者の方がコストが高くつきます。つまり、手間がかかるのです。実店舗でしか購入できない商品もあれば、インターネットでしか購入できない商品もあるでしょう。
サービスであれば契約の煩雑さもコストのうち。同じジャンルの、しかし別々の企業の商品を選ばせるときに生じるコンフリクト、こうしたものも、特に優柔不断な顧客や消費者にとっては大きなコストとなるはず。
同じように、効果の部分も、何も商品のデザイン、機能だけにはとどまりません。アフターフォローやサポートが手薄い商品やサービスは、顧客や消費者にとって満足度を下げることに繋がり、これは商品の良し悪しと同じような感覚で評価されることになります。保証や修理などを想像するとわかりやすいのではないでしょうか。そうした対応が手厚ければ、コストパフォーマンスをアップさせる要素となりうるのです。
顧客の要求や期待を正確に知ることができれば、コストパフォーマンスの高い商品やサービスを提供することができ、それが営業活動の成果としても現れてくるでしょう。そのためには情報を集めることが必要となりますし、顧客や消費者が何を考えているのかといった心理面の分析、世の中や業界の状況、こうしたことを加味した上で仮説を立てながら検証し、一定の答えが導き出せたら商品開発や営業活動へと反映させていく、これらをセットで顧客管理であると理解し、顧客や消費者を理解していくことが求められるのです。