事業を展開して、営業活動を行なっていれば、顧客や消費者からクレームを受けることなどいくらでも考えられるでしょう。その時にどのように対応するのか、これによって企業の未来が大きく変わってきます。営業マネジャーや営業担当者としての力量も問われることになるのですが、では、クレームや苦情を適切に処理するためにはどのような体制を整えておくことが求められるのでしょうか。
ごくごく基本的なことではありますが、顧客や消費者からのクレームを受け入れるための体制から、受け入れたクレームや苦情を対処するためにはどのような準備が必要なのかなどについて掘り下げていきましょう。これらはすべて顧客管理の一端を担い、顧客や消費者の満足度を上げることに直結させることができます。そう認識し、しっかりとした体制の構築やシステムの整理などをしておくようにしてください。
クレームを受け入れる体制を準備しておこう
企業や営業部に何よりも求められるのが、クレームやデータを受け入れる体制の構築です。それがなければクレームや苦情が届きにくく、その状態に顧客や消費者が不満を募らせてしまう可能性も出てくるでしょう。これはとても危険な状態。優良な企業や大きな企業というのは、あらゆる形で顧客や消費者からのクレーム・苦情を受け入れる体制を整えています。まだ整っていないのであれば、まずはここを整えておく必要があります。
フリーダイヤルで顧客や消費者の声を拾う、これは非常に一般的なクレームの受け入れ体制であると言えるでしょう。電話は顧客などの声を直に聞くことができる非常に貴重なツールです。一方通行ではなく、そこでそのクレームや苦情、意見などに対応することもできるため、早急に問題や顧客の抱えている不安などを解決・解消できるというメリットもあります。
最近増えてきているのは、企業や商品等のオフィシャルサイトからメールや問い合わせフォームなどを用いて消費者の意見を募る手法。これはいわゆるノイジーマイノリティではない、一般的な消費者の意見を拾えるツールとしての活躍が期待できるでしょう。インターネットを活用したクレーム・苦情の受け入れ体制は必ず用意しておきたいところです。アンケート用紙などは、昔も今も非常に有効なツールとして働きます。店舗などがある場合は特に有効性が高く、率直な意見も汲み取ることができるため、可能である限り用意しておきましょう。
クレームや苦情を受け入れる体制というのは、このようにいくつかの手法が考えられるのですが、これらがないという事態は避けなければいけません。必ず顧客や消費者の声が聞こえるような体制を整えておく必要があります。
苦情などはデータベース化し活かせるようにしておくこと
クレームや苦情は、必ずデータベース化しておきます。これを無視すると、また同じようなクレームや苦情を受けることにつながり、徐々に企業としての信用を失うことになってしまうでしょう。
データベース化しておけば、それを新たな商品やサービスの企画・開発時や、商品の改良、営業活動の戦略などに活かすことが可能となります。クレームは宝の山であるというようなことはよく言われますが、それはこのデータベース化ができているかどうかがポイントであり、データベース化されていなければ、受けたクレームや苦情は決して宝には変わってくれないのです。
クレームなどを単にまとめておけばいいというわけでもありません。それを項目などごとにまとめ、すぐに活かせるような形を作っておきます。それぞれの項目にも関連性を設け、検索や比較がしやすい形にしておく必要もあるでしょう。そうした形にしておくからこそ「データベース化」となるわけですが、ただ記録しておくだけでは全く意味がないと思っておかなければいけません。
また、そうしたデータなどをまとめる形やシステムは、随時改良することも心がけてください。クレームや苦情が多くなれば、それを効率的に処理するシステムも必要になってきます。項目分けなどをさらに細かくする必要性にも迫られるはず。
その都度改良し活かしやすいようにしておかなければ、これもやはり光り輝く宝にはなってはくれません。
クレームへの対応を項目ごとに整理する
上で「項目」という言葉を使いましたが、これは企業ごとに考える必要があるでしょう。ただ、クレームや苦情のデータを集積する際に最低限用意しておかなければならない項目がいくつかあるので、それを挙げておきます。
当然ですが、「クレーム内容」は欠かすことができない項目です。どのような内容の苦情だったのか、顧客や消費者の意図を汲み取りながら、どこに一番の問題点があったのかを考えながら整理しておきましょう。
「顧客情報」も欠かすことができません。似たような属性を持つ顧客や消費者からのクレームなのか、それともバラバラなのかで、今後の対応や活かし方も変わってくるはず。できるだけ詳細に顧客情報をまとめておきましょう。
「対応内容」も必ずまとめておかなければならない項目の一つ。もしクレームを受けた時点であれば「対応予定」を書き込み、クレーム処理をしている途中であれば「対応状況」と「担当者」も記載しておきます。それがどのような「対応結果」につながったのか、これも当然整理しておかなければ、その処理や対応を今後に活かすことができません。
結果的に「クレームの原因」は何だったのか、どこに問題があったのかを整理し、結局はどこに落ち着いたのかといった「改善や提案事項」もまとめておきます。それらを総括して「対応結果」も整理しておきましょう。当然ですが、クレームの発生日時や対応日時なども正確に記載しておかなければいけません。
これらの項目を中心にデータベース化しておくことで、クレームは宝の山へと変わってくれます。顧客や消費者の満足度をアップさせることに活用することができ、営業活動においてもクレームなどを受けないような戦略やアプローチ手法を生み出すことに役立たせることができるでしょう。