営業組織には、さまざまなタイプの営業担当者がいます。それは以前と比べても多様性が出てきており、もしかしたら上司や営業マネジャーにとっては頭の痛い問題なのかもしれません。それでも、新たな若い営業担当者と一緒に組織を作り上げていかなければ営業部門の底上げにはならず、組織全体の業績を上げることもできないでしょう。
優秀な営業組織を作り上げるために必要なのは何か、それを作り上げるために営業マネジャーや上司の立場にある人は何を意識すべきなのか、このあたりを整理してみたいと思います。こうしたことを理解することで、上司に求められる心得や対応なども見えてくるかもしれません。
営業組織全体の業績アップに必要なのは育成
優秀で強固な営業組織を作り上げるために必要なのは、優秀な営業担当者です。その組織に属する営業担当者全員が能力に恵まれていれば、各々がしっかりと売上を上げ、営業組織としての業績も確実に上げることができるでしょう。ただ、優秀な営業担当者を確保するためには膨大な資金も必要となり、また、優秀だと思って雇ってはみたけれども実際にはそれほどでもなかったというケースも少なくはありません。
優秀な営業担当者がいれば組織としても優秀で強固なものとなりますが、そうした人材を集めるのが簡単ではないことを考えると、本当に必要なことは「育成」だという答えにたどり着くのではないでしょうか。これはおそらく疑いの余地がないでしょう。良い育成システムが備わっていれば、その組織自体の業績もアップし、企業に対して大きな利益をもたらすことになるはずです。
営業担当者を育成するのは、営業マネジャーやベテラン営業マンなど。いわゆる上司と呼ばれる立場の人間が若い営業担当者に対してどう接し、どう指導していくのか、これが非常に重要なポイントとなってきます。
4つの基本的な営業担当者の育成方法
営業マネジャーなどの立場にある人間が部下の従業員を育成する方法には、大まかに4つあるとされています。
1つは、「OJT」と呼ばれるもの。これは、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」の頭文字をとったもので、日本語では「現任訓練」と呼ばれることが多い育成方法。現場で実際に体験しないとその仕事に必要なことがわからないという考え方から、営業組織でいえば、若い従業員にも積極的に営業活動をさせ、現場においてトレーニングを積みながら育成しようという手法です。
1つは、「Off-JT」と呼ばれるもの。これは、「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」の略称です。OJTは現場で経験を積ませて育成していく手法ですが、このOff-JTは、現場ではなく、例えば社内において上司や営業マネジャーなどが営業ノウハウや企業として確立している手法などを学校で学ぶように教え込む育成方法を指しています。
1つは、人事制度による人材育成。組織の在り方によって、そこに属する人間の能力の発揮のされ方は大きく変わってきます。頑張りが評価されるような組織であれば、若い人も一生懸命結果を出すよう工夫し活動するようになるでしょう。年齢に関係なくポジションを与え、仕事を任せることで大きく成長する営業担当者もいるはず。そうしたことも含めた人事制度によって人材育成を図ることも検討する必要が出てくるかもしれません。
1つは、自己啓発による人材育成です。従業員に対して高い意識を持たせ、自らその能力を開花させようと働きかけることにより人材育成を図る手法がこれ。営業担当者自身に意欲がなければ成立はしませんが、その意欲を湧き出させるのも営業マネジャーの手腕にかかっていることを考えれば、十分に効果が期待でき、そして試してみる価値のある人材育成方法となるでしょう。
どれか1つにこだわる必要はなく、全てを取り入れてももちろん構いません。大事なことは、人材を育成するベストな手法も考えながら積極的に試してみることです。何がハマるかはわかりません。営業担当者ごとにハマる手法が異なることもありますから、いくつも試しながら効果の高い人材育成方法を見出していきましょう。
営業担当者の何を育成すべきかを整理
優秀な営業担当者を要しながら優秀な営業組織を構築するためには、育成が重要であることはすでに述べた通りです。では、具体的に若い従業員のどの部分を育成する必要があるのでしょうか。これを整理していきましょう。
1つは、営業スキルです。技術がなければ一生懸命顧客訪問を繰り返したとしても、契約を勝ち取ることは困難でしょう。逆に、育成によって営業スキルが上達すれば、少ない訪問回数で契約が取れるなど、非常に効率のいい営業活動を行うことができるようになるはずです。営業に関する技術、これを育成することは欠かすことができません。
1つは、知識です。効率のいい営業活動を行うこと、あるいは、それ以前に営業戦略を立てること、これには膨大な知識が必要です。どのような仕事にも共通して言えることですが、知識がある人とない人とでは成績が変わってくるのは当たり前。もちろん、知識が豊富な人ほど能力が高く、より良い成績を収めることができるはずです。知識と行動力が伴ってこそではありますが、行動力があっても知識がなければ結果が出ないことを考えると、知識を蓄えさせるための育成やトレーニングがいかに重要なのかがわかるのではないでしょうか。
1つは、態度です。営業担当者は、常に顧客と接する仕事です。態度が悪ければ、良い商品でも売ることができません。逆に、そこそこの商品でも態度や人柄に魅力があれば、顧客にも「この人だったら信用できるかもしれない」と思ってもらうことができるでしょう。それが単純に契約に直結するかどうは別として、しかし、営業担当者にとって態度という要素は無視できないものとなるはずです。
営業マネジャーは部下に対してこうした点を特に重視し育成していくことが求められます。どれも欠かすことができない要素ばかりですから、バランスよく育成していくことを心がけていきましょう。