何かが変化をすれば、それに伴って営業組織の変化も迫られるかもしれません。何かとは、例えば市場のニーズのあり方、顧客や消費者の考え方、時代や流行の変遷、業界内での地殻変動など、さまざまなことが考えられるでしょう。ただ、こうしたことがあっても、必ず組織を改編しなければならないというわけではないことも頭に入れておいてください。あくまでも必要であれば組織を見直すこと、ここがブレてはいけません。
そもそも営業組織を見直すとはどういうことなのか、実際に組織の改編へと動き出す際にはどのような組織を目指すべきなのか、これを知らなければ具体的な行動に出ることはできないはず。この点について、いくつかポイントを絞りながらまとめていきましょう。
定期的な組織体制チェックの重要性
最初に説明したように、市場の状況や環境、顧客などの価値観、そして時代や業界の変化などがあれば、「このままの組織で対応できるのか」、「営業組織を見直さなければならないのではないか」などと考える必要が出てきます。ある程度の期間が経っているにもかかわらず、その組織がベストのままであるとは言えないはず。気が付いていないだけで、その営業組織には時代に合わない部分や不具合が出てきていると考えるのが自然です。
定期的な組織体制のチェックを行いましょう。それは組織の改編や見直しを前提とするものでなくても構いません。あくまでも、今の組織がベストであるかどうかのチェックであり、もしベストでなければ、それをベストにするためには何が必要なのか、この点を知るためのチェックなのです。
これは、たとえ事業がうまく行われ目標を達成できていたとしても、3年や5年、長くても10年ほどの期間、一切その組織をいじっていないのであれば、改めてチェックしてみるべきでしょう。それによって、さらに大きな成果を挙げられる可能性も見出せるかもしれません。
人はもちろん、組織も一時の成功や栄光にすがりがち。大きな成果を上げたからといって、その体制や手法に固執していては成長していけないのです。チェックするだけなら特にデメリットやリスクは生じませんから、一定期間が経過したら組織体制を見直してみることをおすすめします。
顧客や消費者第一で考えた場合の営業組織とは
営業組織は、顧客や消費者に寄り添った体制でなければならず、その重要性は次第に増してきています。そうしなければ商品やサービスを効率よく提供することができず、また、良好な関係を築きにくくなっているのです。営業組織を見直すなどする場合には、この顧客や消費者を第一に考えたものにしなければなりません。もし今現在そのような組織となっていないのであれば、改善する余地があると言えるでしょう。
これまでの企業は、どちらかといえば企業の都合によって商品やサービスの企画や開発、製造や販売を行ってきました。また、それらを流通させるためのチャネルも、やはり企業優先である傾向が強かったように感じます。そうした組織体制を顧客や消費者の満足度などを優先したものにし、そのための商品を企画・開発したり、あるいは流通チャネルを開拓したりするためのものに変えることには非常に大きな意味が出てくるでしょう。
商品が非常に新しく高度なものとなるのであれば、その商品を手に入れた顧客がスムーズに使用・利用するためにカスタマーサポートセンターなどを設置し常に対応できる状態にしておくのも、一つの新しい組織体制のあり方となるはずです。企業によってはそれをアウトソーシングで外部に委託する形も考えられます。
商品やサービスを具体的な形にしていく過程で、顧客や消費者の意見を取り入れることを重視した組織体制の見直しも、やはり大きな意味を持ってくるでしょう。顧客相談室などを設け意見や要望などを集約できれば、それを叶えることができます。
これまでの企業第一でそれを市場に押し付ける形ではなく、顧客や消費者側に寄り添った体制を作るために営業組織を見直す、これは非常に重要なことであり、積極的に進める価値があるのではないでしょうか。むしろ、そのような考え方がなければ、現代では成長し続けることが難しいと認識しておくべきでしょう。
現代に見合った営業組織の特徴を知る
定期的な組織体制のチェックが重要であるとか、あるいは顧客や消費者のことを第一に考えた組織体制にしなければならないなどと説明してきましたが、それは全て時代が求めていることでもあります。時代が変われば組織も変わらなければならないのは当然のことであり、少なくともどこかに綻びが出ていないかのチェックは欠かすことができないのです。
現代にマッチした営業組織の特徴は、例えば、能動的であることが挙げられるでしょう。
つまり、受け身ではなく、環境や市場が変化をすれば、あるいは企業全体の方針や戦略が変化をすれば、それに積極的に対応可能な組織にしていくことが求められるのです。
これは、柔軟性を持っているかどうか、とも言えるかもしれません。柔軟性が乏しければ市場や環境の変化に対応できませんし、逆に柔軟性が富んでいれば世の中や時代の変化にもすぐに対応できるため、組織そのものを見直さなくても企業としての魅力を保ち続けることができるはずです。
さらに、従業員が自ら組織へと参加しモチベーションを維持できる組織であることも重要でしょう。近年、少子高齢化が進み、また女性の社会進出も進んでいることから、組織内の中高年や女性の割合が増加する傾向が見られます。若い従業員を採用したとしても、その若い従業員の価値観は中高年とはまるで変わってきていますから、組織そのものがそれに合わせる必要も出てきているのです。
古い考え方を変えることができず、女性や若者の感覚に対応できなければ、それは時代にマッチできていないと言うことができるでしょう。つまり、現代にふさわしい営業組織であるとは言えません。
顧客志向であるとともに、顧客や消費者に対して組織全体で連携を取りながら向き合える組織であること、これも今の時代に求められている組織の形。組織の一部だけが顧客志向でも意味はないのです。組織丸ごと顧客や消費者優先である意識を持ち、そうした意識が生まれる環境を作ってこそ、現代の営業組織の理想形ができあがると思っておきましょう。
組織改編とは、何もかもを一新することを意味するわけでは必ずしもありません。部分的に問題があるのであれば、それを見直すだけで改善させることも可能です。改善は、新たな機能や職務を追加したりなどが考えられますが、その場合には、さらにそれらの遂行の仕方、権限や責任などを明確にし、それぞれに適切な人材を配置していきます。ここまでできてやっと組織としての体を成すことになるため、物事は一つ一つ慎重に行いながら進めていかなければならないのです。