営業マンのアイテムとして、商談のツールとして活躍してくれるであろう「アプローチブック」。活躍してくれるかどうかは、これを自分自身で魅力的なものに仕上げられるかどうかにかかっています。
アプローチブックは、商談に臨む営業マンが、それを相手企業などに提示した時に説得力のあるものでなければいけません。口で説明するだけでは伝わりにくい内容をまとめる、ストーリー性があり、見ていてスッと入ってくる、そんな仕上がりにしなければいけませんが、最終的な目的は、商品やサービスを購入させること。その目的を達成させるために重要なポイントをいくつか紹介していきましょう。
顧客の立場に立って作成したいアプローチブック
アプローチブックは企画提案書とは異なり、顧客ごとに作成するものではありません。同じ商品やサービスを売り込むのであれば、そのアプローチブックを活用することであらゆる顧客に対応することができます。ただ、それでも顧客の立場に立って作成することが何よりも重要です。アプローチブックは営業マンの個性を光らせることができますが、それを重要視しすぎると顧客が置いてけぼりになることもあるため、一番は顧客にとって魅力的であるかどうか、ここを考えながら作成するべきでしょう。
顧客が魅力的だと感じるかどうか、それを左右する最初のポイントはデザインです。アプローチブックが視覚で認識するものである以上、商談相手の視覚にどう訴えかけるかがポイントになってくるのは当然のこと。コストはかかるかもしれませんが、プロのデザイナーに依頼するなどし作成するのも一つの考え方となるはずです。
営業マン自らが作成する際に注意したいポイントは、色をあまり多用しないこと。目立たせようとして色使いを派手にする営業マンもいますが、これは逆効果である場合が多いでしょう。ページ数がいくつもある場合には、色を多用することで統一感も出しにくくなります。ページをめくるたびに相手が疲れてしまうので、色味は抑えながらデザインすることが求められるのです。
読みやすさも重要です。色合いだけではなく、グラフや図の配置、フォントの大きさ、その他全体のバランスなどにも気を配りながらデザインしていかなければいけません。内容も、当然顧客の立場に立つことが原則。カタログでは十分に伝えきれていない内容や、商談相手が不安に思ったり疑問に感じたりするであろうことにもあらかじめ触れておくことで、より信頼感を持ってもらうことができるでしょう。信頼度を上げるためには、客観性も重要です。「全て主観なんじゃないか」と思われてしまったら損。客観的な声やデータも盛り込んでおくと信憑性も増し、相手もより興味を持ってくれるようになります。
アプローチブックは全てにおいて相手本位であり、顧客の立場を考えながら作成することを忘れないようにしてください。自分が顧客の立場だったらと常に考えれば、より質の高いアプローチブックを作り上げることができるでしょう。
営業担当者の個性を盛り込むと効果的
アプローチブックは、営業部署内で共通したものを使うこともありますが、営業マンが個性を発揮しながら作成しても問題はありません。ただ、個性を発揮する場合には注意する点も多々あります。それを踏まえた上で営業マンのオリジナリティを盛り込んでいけば、相手企業の担当者との人間関係の構築に一役買ってくれるでしょう。
例えば、営業マン個人の紹介文章や趣味などに言及しておくと、それが話のネタとなり、盛り上がるかもしれません。少し変わった趣味であれば、相手はきっとそこに触れたり突っ込んでくれたりするはず。それをキッカケに人間関係が深まることもありますから、個性の出しすぎはよくありませんが、営業マンの特性を知ってもらうようなページを用意しておくことは一つの戦略となるでしょう。
読みやすさは重要であるものの、手作り感が感じられると印象が良くなるケースが多々あります。一部分に手書きを採用したり、イラストや自身のキャラクターなどを少し入れたりしておくと、相手もなじみやすくなるのではないでしょうか。通常はA4サイズのバインダーを用いて作成しますが、紙芝居のようにめくりながら説明するタイプや、カード型で端的にストレートに重要な点を伝える工夫をするなどすると、より個性を光らせることができるでしょう。
何度も言いますが、個性の出しすぎには要注意。読みにくくなったり、しつこさが感じられたりすると逆効果なので、そのあたりも意識しながら自分自身の売り込みもアプローチブックによって行うようにしてください。今ではノートパソコンやタブレット端末を使い商談を進めていくことも多いですが、それでも何かのトラブルが起こった時のために、あるいは相手に資料として渡しておく用に、ペーパータイプのアプローチブックも用意しておくことをおすすめします。
商談相手が見やすいかどうかと、個性発揮のバランスは難しいものの、だからこそ商談の結果に大きく関わってくるアプローチブックのでき。何度も試行錯誤を繰り返しながら、より良いものを作り上げる努力を怠らないようにしましょう。