クレームは受けない方がいい、そんなことは当たり前です。どの企業にとっても、どの営業部や営業マンにとっても、クレームや苦情といったものは受けないに越したことはなく、受けたいとも思っていないはず。「クレーム大歓迎!」としている企業であっても、それは最終的にはクレームをなくすための主張であることは明白です。
しかし、事業を展開している限りは必ずクレームを受けることになる、これも仕方がありません。中には単なる言いがかりのようなものであることも少なくありませんが、それも全てクレームや苦情としてしっかりと丁寧に処理することが求められるでしょう。クレームの処理や苦情への対応はどのような意識を持って行うべきなのか、その初歩的な部分に関してまとめていきたいと思います。
企業の存続にも関わるクレーム対応
まずは、クレームや苦情といったものに対して、どう向き合うのか、ここが重要なポイントとなってきます。「面倒くさい」、「ノイジーマイノリティだ」、「そんなことでいちいちクレームを入れてくるな」などと思ってしまう営業担当者もいるかもしれません。
こういった意識を持っていると、必ず失敗することになるでしょう。そうした意識は態度や行動、つまりクレーム対応にも反映されてしまいます。そうなればクレームや苦情を訴えた人以外も、大げさに言ってしまえば社会全体を敵に回すことにも繋がり、それが企業の存続にも影響を与える可能性が出てきてしまうのです。
過去にも、クレーム対応を間違えたせいで大きな損失を出したり倒産したり、その危機に直面した企業や店舗などが数え切れないほどあります。法律や条例などに抵触していれば問題外であり、それはクレームが出てくる前に対処すべきですが、そうではなく、社会のニーズやルールといったものにマッチしないトラブルやクレーム対応などでも、企業が危機に陥る可能性はゼロではありません。
クレームや苦情というものと向き合う時には、このような意識を持つことが大前提。その上でどのように対応・処理していくのかを考えるようにしましょう。
クレーム対応と回避ができる制度や仕組みを構築する
企業に持ち込まれるクレームや苦情に適切に対応するためには、そのための制度や仕組みを設けておく必要があります。そもそも、クレームや苦情を受け入れる体制ができていなければ、それは大きな問題となるでしょう。顧客や消費者がいつでもクレームや苦情を入れられる体制を整えておくことは企業として絶対に欠かすことができません。
日本には「公益通報者保護法」があります。これは、内部告発などを行なった者を守る法律ですが、こうしたものも当然遵守しながら、取引先や贔屓にしてもらっている顧客からもクレームが入れやすいような体制を構築しておく必要があるでしょう。これは単にクレームや苦情にとどまらず、例えば法律やコンプライアンスに違反していることが発覚すれば、その情報が企業の然るべきところに通報される、提供される仕組みを設けていくことも求められます。そもそも、クレームや苦情、事故などを回避するための制度を設けたり整備しておくことも必須でしょう。
大企業では当たり前のように構築され整備されているこのような制度や仕組み。本来はすべての企業に備わっていなければならないものですが、これから企業を成長させていきたいと考えているのであれば、これらは必須のものとなるはず。まだしっかりと整っていない企業は、早急にこの制度や仕組みの構築に動き出さなければいけません。
クレームは有効活用することが可能である
クレームや苦情は適切に対応し処理をすればそれで終わり、というものではありません。そのクレームや苦情は企業にとってはまさに宝の山のような存在。それが八つ当たりや言いがかりのようなものであったとしても、もし自社の取り扱う商品やサービス、あるいは営業活動などがパーフェクトなものであれば、わざわざクレームや苦情などを入れてはきません。どのような内容でも、そこには企業そのものや商品・サービス、そして営業活動などの質やレベルを向上させるためのヒントが隠されていると思っておく必要があるのです。
また、クレームや苦情を訴えてきた人や企業などの顧客・消費者が必ずしも、自社を敵対視しているとは限りません。上手な対応や処理をすることで、逆にコアな顧客へと変化することも十分に考えられます。クレームや苦情は、それを単に処理することのみに注力するのではなく、それを有効活用することまで考えつつ対応するようにしましょう。そこまでできれば、企業は必ず成長していくはずです。