自社で取り扱っている商品やサービスを顧客に販売する際、手ぶらで訪問することはできません。訪問し担当者と接触する際には、必ず企画提案書を持参し、それを元に商談する必要があります。トーク力も非常に重要ですが、営業担当者には企画の提案力、これも求められることになるでしょう。話だけを聞いて理解できる人は少ないため、小さな商品であれば現物を、大きいものやサービスであれば企画提案書などを用いて、自社の魅力と商品導入のメリットを伝えなければいけません。
この企画提案書の作成に関して、いくつかのポイントをまとめておきます。どれかが欠けても営業活動そのものを行うことは可能ですが、効率を高め成約率をアップさせるためには、必ず取り入れておきたいポイントとなるでしょう。
企画の提案内容でまとめておくべきポイント
営業組織内全体で同じ企画提案書を用いることもあるでしょうが、できれば顧客ごとに変化を加えたいところ。アプローチする相手が変われば、相手企業の規模や特性、資金力や他の業界や会社との関係性も変わってきますから、それに見合った提案書を作成するよう心がけましょう。
また、企画の提案書は商品やサービスに特化したものではなく、むしろ、自社をアピールするものであるべきです。特に新規の顧客になってもらおうと営業活動をかける相手に関しては、これを強く意識しなければいけません。相手は自社との取引がないわけですから、まずは信頼関係を築くためにも、商品よりも自社の情報を多く盛り込みながら提案できるようにしておいてください。
アプローチする企業の抱える課題と、それを解決するのが自社の商品であるという提案、ここも大きなポイントになってきます。事前に訪問する企業のことを十分にリサーチし、その課題や問題点などを炙り出した上で自社商品を提案しなければ、興味を持ってもらうことはできません。商品の特性や導入するメリットとともに、競合他社の同類の商品と比較した時にどれだけ優秀であるのか、こうした点も盛り込んでおくとさらに興味を抱いてもらうことができるでしょう。
論理的であり根拠のあるまとめ方を
いくら自社の商品・サービスの良さや優秀な点を紹介しても、それに根拠が全くなければ意味がありません。どうして競合他社の商品よりも相手にとってメリットが大きいのか、どうして優秀だと言い切れるのか、こうした点については論理的にまとめなければ、相手に伝わることはないでしょう。
また、論理的であるとともに、分かりやすさも重要です。その内容を理解するまでに何度も説明しなければならないとなれば、これも興味を持ってもらうまでには至らないはず。1度の面談で自社と商品とその強みなどを理解してもらえるような企画提案書を作り上げるようにしてください。
理論的推論には演繹と帰納の主に2種類の手法がありますが、どちらを用いてももちろん問題ありません。ただ、やはり根拠があり、一般論と個別のケースがしっかりと繋がるような推論になっている必要があります。この点を強く意識しながら、且つ分かりやすく営業活動に活用する企画提案書を作成しましょう。
また、できるだけページ数を抑えることも重要です。相手が何ページも目を通してくれるとすれば、それはもう興味を持ってくれたという証拠。そうなるまでには時間がかかり、多くはそこまで辿り着かせてもらえません。1ページや2ページといった枚数でまとめておくことで、とりあえず目を通してもらうことができるはず。その中で何をどう伝えるかを考え、企画提案書を作成する必要があります。
ストーリー性の高い提案書を作成しよう
企画の提案には物語性が必須でしょう。物語性がしっかりと構築されていれば、それを見ていても楽しいですし引き込まれます。商品やサービスを提案する際の書類に関しては、「AIDMA」を意識してみてはどうでしょうか。
注意を意味するAttention、関心を意味するInterest、欲求を意味するDesire、記憶を意味するMemory、行動を意味するAction、これらの頭文字を取って「AIDMA」と呼ばれています。これは、消費者がある商品を認知してから実際にお金を支払うまでのステージを示した言葉。この順番で契約にまで至るので、これを意識することで戦略を分割し練り上げることが可能となるのです。企画提案書を作成する際にも取り入れれば、ストーリー性の高いものを作り上げることができるでしょう。
ストーリー性を持たせるわけですから、最終的には相手にとって「めでたしめでたし」でなければいけません。そこにどう持っていくのか、これを十分に検討するようにしてください。
また、このストーリー性を相手にしっかりと理解してもらうために、図やイラストなども取り入れることをおすすめします。やはり視覚的な効果は非常に重要であり、それがあるかないかで成約率も変わってくるはず。
企画提案書は社内で作成するのもいいですが、もしビジュアル面に不安があるのであれば、外部に発注しプロに作成してもらってもいいのかもしれません。