企業や営業を担当している者は、顧客や消費者の要望や期待に沿う必要があります。その要望や期待が顕在化しているのであれば、どうそれに応えればいいのかを考えるだけでいいので、あまり大変な作業とはならないはず。
ここでは、そうした顕在化している要望や期待だけではなく、まだ表面に具体的に出てきていないニーズやウォンツを提供する重要性を考えてみたいと思います。それができれば、営業活動にも幅を持たせることができ、また、多くの顧客獲得にもつなげることができるでしょう。
無意識に抱いているニーズを掘り起こせるかが重要
顧客や消費者が「これが欲しい」と具体的に思い描いているものを提供することは、上でも述べたように、さほど難しいことではありません。自社がそうした商品やサービスを取り扱っているのであれば、営業担当者がそれらを「欲しい」と訴えている顧客や消費者に売り込めばそれでOKなわけですから、どの企業でもどの営業担当者でもすぐに行えるでしょう。
もちろん、競合他社がいる場合には自社の商品を選択してもらうための戦略や手法というものは考える必要が出てきますが、そこさえ押さえておけば営業活動そのものは難しい作業とはならないはずです。
難しいのは、顧客や消費者が無意識に抱いているニーズを掘り起こすこと。無意識に抱いているわけですから、営業担当者はそれを知る由もないのです。それでも、顧客や消費者自身、気がついていないニーズやウォンツを掘り起こすことが重要であり、それができなければ、競合他社に水をあけられてしまうでしょう。
これは商品開発をする立場の人にも言えることですが、営業担当者もスルーできない考え方となります。自社で取り扱っている商品やサービスの中に、顧客が無意識に抱いているニーズやウォンツを満たす商品やサービスがあるかもしれないからです。それをもし提供することができれば、その顧客はさらに自社との繋がりが強くなり、売り上げのアップにも大きな貢献をしてくれるようになるでしょう。
ウォンツを探るための顧客管理システムの構築を
どのような顧客がどのような商品を手に入れ、そしてどの程度の満足感を抱いているのか、また、どのような評価をしているのか、こうしたことから顧客自身、気がついていないニーズやウォンツを探ることができるかもしれません。
無意識に抱いているとかまだ気がついていないとは言っても、言葉や行動などから、その一端がにじみ出ることは多々あります。最近ではAIなどを活用し、そうした消費者ニーズや潜在的なウォンツを探るシステムも出てきていますが、企業はそうした顧客管理システムを準備・構築する必要に迫られるでしょう。
また、近年ではネットショップやネット広告などによく見られる、「この商品を購入した人は、こちらの商品もチェックしています」といった文言や、単に「あなたへのオススメ」などとして、チェックしたことのない商品やサービスがパソコンやスマートフォンの画面上に出るシステムも、消費者の潜在的なニーズやウォンツを探り、それを満たすための顧客管理システムと言えるはず。全く意識していなかった商品にもかかわらず、画面上でおすすめされるとついつい調べてしまったり、または、購入経験がある人もいるかもしれません。
営業担当者が直接顧客などに売り込みを行うような企業であっても、この手法を使うことは十分に可能です。「もしかして、このようなものを望んでいるのかもしれない」というニーズやウォンツがこうしたシステムによって掘り起こすことができれば、それを営業担当者が提案することにより、新たな売り上げを上げることができるかもしれないのです。
そのようなシステムや手法が使えるような体制にしておくと、営業活動も非常に効率的に行うことができ、顧客を逃すことなく、むしろ拡大へと繋げることが可能となるでしょう。
潜在的なニーズへの働きかけは営業担当者次第
顧客や消費者の潜在的なニーズがなんとなくでもわかれば、それにマッチした商品やサービスを提供することは可能です。しかし、そこには営業担当者の能力や働きかけ方の工夫の必要性も生じ、これによっても結果を大きく左右することになるでしょう。
潜在的なニーズを満たす商品やサービスがあったとしても、顧客や消費者がそのニーズに全く気がついていなければ、いざ商品やサービスを勧められても、「いや、別に欲しくはない」と思ってしまうかもしれません。そうならないよう、あるいは、そうなったとしても、営業担当者がいかにその商品やサービスの魅力を伝え、理解してもらうか、ここが重要なポイントとなるのです。
顧客管理システムの構築や活用は大切なことですが、それをどう活かすかはやはり人間次第であり、そこには工夫も必要になってくるでしょう。商品の見せ方の工夫、サービスの伝え方の工夫、それらをどう活用すると顧客や消費者にとってどのようなメリットが生まれるのか、こうしたことを上手に提供・提案していく、それがニーズやウォンツを満たすことにつながるのです。
かつて世界中を席巻した、持ち運びが可能な音楽プレーヤーがありましたが、当時あのようなものを口に出して「欲しい」と言っていた人はほとんどいないはず。今では当たり前になっているカメラ付きの携帯電話やスマートフォンも同様です。でも、実際に発売されれば爆発的なヒットとなり、今ではなくてはならないものとなっているところを見ても、実は潜在的なニーズが十分にあったと言うことができるでしょう。しかも、多くの人が気がついていなかったニーズです。
営業担当者は顧客にとってのそうした潜在的なニーズを掘り起こし、そして提供することが仕事です。どうすれば顧客や消費者の満足度を上げられるのか、それを顧客管理によって読み取りながら分析し、その結果を営業活動へと活かしていかなければいけません。