顧客の全てが自社に対して、もしくは自社の商品などに対して100%満足しているのであれば、現状のままで企業を運営し営業活動を行なっていっても構わないのですが、そんな都合のいい結果は顧客満足度調査によって出るはずもありません。必ずどこかに課題が見つかるでしょう。
課題が見つかるということは、顧客満足度を上げるために何かしらの手を打たなければならないということでもあります。その、何かしらの手を打つために必要な具体的行動にはどのようなものがあるのか、これを見ていきたいと思います。どのような手を打つにしろ、全ての企業や営業部門、あるいは顧客満足度をアップさせることを目的に組織されたプロジェクトチームなどに共通した考え方ですから、ぜひ参考にしてみましょう。
顧客満足度を受けて新たな目標を設定する
顧客満足度があまり高くない項目やカテゴリーに対して課題を見つけたら、それを改善するための施策を講じますが、期間を定めて具体的な目標を設定することが必要になってくるでしょう。その改善策や施策を行い顧客満足度をどの程度まで引き上げるのか、これを定めるのです。
企業や商品全体の評価があまり高くない場合には、どの部分が足を引っ張って全体の評価を下げているのかを分析します。足を引っ張っている部分が判明すれば、そこに対して具体的で詳細な目標が立てられるはず。納期のスピードが遅いと顧客が感じているのであれば、それを早めるために何が必要なのかを考え、それをいつまでに改善するかを決めなければいけません。その他の項目やカテゴリーについても同様に、問題点をあぶり出した上で、具体的に目標を設定していきましょう。
目標を設定しなければ、顧客満足度が改善することもないと思っておいてください。顧客に不満を抱かせている原因や要因がわかったとしても、それをどう改善していくかを話し合ったとしても、期限を決めた上で具体的な改善策を導き出しておかなければ、いつまで経っても満足度は低いまま。それでは企業の成長は見込めません。この目標は、できる限り数値として表せるようにしておくと、より具体性が増して達成しやすくなるはずです。
対策や戦略や改善に関する案を比較検討する
目標を設定したら、さらに具体的な改善案を検討していきますが、それは1つや2つではなく、複数のパターンが出てくるはず。それらをしっかりと比較検討することも求められます。改善案同士を比較検討するだけではなく、現状とも比較し、どれがより満足度を上げることに寄与するかを考えなければいけません。
現状のままでは満足度は決して上がらない、そうとも言えるかもしれませんが、しかし、顧客満足度調査を開始した時期と現状の体制に変更した時期がさほど離れていない場合には、まだ様子を見る必要も出てくるのではないでしょうか。あるいは、ガラリとシステムを変えるのではなく、現状に何か付け足す形で顧客満足度をアップさせる施策も考えられるはず。
また、比較検討するときには、顧客満足度ばかりに目を向けるわけにもいきません。新たな体制やシステムを構築するということは、それなりのコストがかかるということです。コストが上がったにもかかわらず顧客満足度が改善されなければ意味はありませんから、あらゆるバランスを考えた上で実際にその改善案に着手するかどうかを決める必要が出てくるでしょう。
競合他社の取り入れている体制やシステム、あるいは異業種であっても、ある企業が取り入れている体制やシステム、アイデアといったものは大いに参考になるはずです。アンテナを伸ばし、幅広い視点を持ちながら、対策や戦略、そして改善案などを導き出し、その中からベストだと思われるものを選択するようにしてください。
満足度を上げる過程をオープンにする
どのような改善案を図ったとしても、数週間や数ヶ月間で顧客の満足度を上げることなどできません。そんなに簡単に顧客からの絶大な信頼が得られるようであれば苦労しませんし、どの企業も業績が下がったりなどしないでしょう。どんなに完璧だと思う改善案を実行に移したとしても、それが実際に顧客満足度を上げるとは限りませんし、その改善案を実行するためにはコストがかかり断念せざるを得ないという状況になる企業も出てくるはず。
顧客満足度は、ある程度の時間をかけて少しずつ上げていくことを念頭に取り組まなければならないのです。
そのある程度の期間で講じる改善策は、あらかじめ顧客や消費者に対してわかるように提示し、また、取り組みを始めてから定期的にその案や施策の進捗状況などをオープンにしていくことを心がけましょう。
これは、自らに対して「必ず顧客満足度を上げるんだ」と鼓舞する効果も期待できますし、顧客のために取り組んでいる姿をその顧客や消費者に対して見せることによって、企業としての取り組みを理解してもらうということにもつながります。それそのものが顧客満足度をアップさせることに寄与するのです。
もし全てを隠して実行してしまえば、顧客がそれを実感するまでに時間がかかってしまいます。しっかりと改善案と進捗状況や達成状況を提示すれば、顧客はその点を意識するようになり、企業に対してより強いチェックや監視をしてくれるという効果も期待できるはず。
もちろんそれは企業にとって喜ばしいこと。さらに成長するために何をすればいいのかが見つけやすくなるでしょう。